2025年3月21日金曜日

宮城県水産技術総合センターとの勉強会が開催されました

2025年1月21日に5301教室にて、石巻市渡波にある宮城県水産技術総合センターと海洋生物・環境コースとの勉強会が開催されました。

 

太田尚志教授による開会の挨拶

初めての開催となる今回は、石巻専修大学の玉置仁教授と宮城県水産技術総合センター 環境資源チームの高津戸啓介技師による2題の講演が行われました。

 

 

玉置仁 教授 「撹乱と藻場」
 

玉置教授は、震災直後に発生した津波によって大きなダメージを受けた海草藻場の震災後の遷移と回復過程について、長期に渡るフィールド調査から得られたデータを解析した結果を講演しました。

浅所にはアマモ、深所にはタチアマモという2種の海草類が生育する海域において、震災から数年かけてタチアマモが震災前の水準まで回復したのに対し、アマモは回復が遅れている状況であることを観測。震災後に河川からの濁流の流入が増加したことによって水中光量が低下し、アマモの回復を阻害している状況であったことを示しました。

海の環境を知るためには、陸の状況も知る必要があるという示唆に富む講演でした。

 


 

高津戸啓介 技師 「宮城県の海洋環境と水産資源の変動」

高津戸啓介技師は、黒潮の流路の変動が宮城県沿岸の水温に与える影響と、近年の宮城県沿岸の海洋環境の変化、そしてその海洋環境の変化が水産資源の変動に与える影響について、最新のデータと事例をもとに講演していただきました。

宮城県沿岸における近年の急激な水温の上昇は衝撃的なもので、それに伴って従来漁獲されていたマダラなどの冷水性魚種の水揚げ量が減少し、これまで漁獲の少なかったタチウオなど暖水性魚種の水揚げ量が増加している状況は会場からも多くの驚きの声が挙がりました。


 

当日は石巻専修大学の教員・学生と宮城県水産技術総合センターおよび宮城県東部地方振興事務所の方々が参加し、講演のあとには活発な質疑応答や情報交換、議論が行われました。

学生からも多くの質問が挙がり、県の水産系の職員の仕事や宮城県の海洋環境・水産業について大きな学びの機会になったものと思います。


今後も、宮城県水産技術総合センターと石巻専修大学で情報交換や連携を強化し、水産業や海洋環境、環境保全に関する研究の促進を目指すとともに、両機関の研究能力研鑽の場として発展していくよう今後も勉強会を継続していく予定です。

鈴木教授による閉会の挨拶


【リンク】

 

【関連ブログ記事】 

#地域×大学 #海洋生物・環境コース

海洋生物・環境コースでは、フィールドを活かした教育研究活動が多く展開されています。