7月21日(火)、22日(水)の2日間、奈良英利教授(動物機能組織学)の担当で「動物学実習〜組織学〜」が実施されました。
今回の実習では、組織標本の作製からRNA抽出まで、実際に手を動かしながら基礎技術を体験しました。
1日目の組織標本作製、2日目のRNA抽出の様子と、参加した学生の声をお届けします。
1日目 組織標本作製実習
動物組織の標本作製は「切り出し→固定→脱水→包埋→薄切→染色」 という手順で行われます。 今回の実習では、組織を包埋してあるパラフィン(ロウのような物質)のブロックから、厚さ3 μmに切り出しプレパラートに貼り付ける実験と、既に貼り付けてある組織片に染色液で色をつける染色実験が行われました。 | |
![]() |
| ニホンジカの骨格筋 |
最初にパラフィンを溶かす通称「脱パラ」という作業を行います。
キシレン、アルコールと順番に漬けていくことで、徐々にパラフィンが溶け、組織が水に馴染みやすくなります。染色液は水溶性ですので、この過程をいい加減にすると、染色液が組織の中に入っていきません。
「脱パラ」が終わったら染色です。
染色実験では、厚さ3μmに薄切されたニホンジカの筋肉組織が、あらかじめプレパラートに貼り付けてある状態からスタートしました。これはSAの大村 優翔くん(4年生)が準備してくれました。
![]() |
| 奈良研のスーパーエース 大村くんの日常の実験風景 |
今回は最も一般的な ヘマトキシリン-エオジン(H-E)染色を行いました。ヘマトキシリンで核を染色し、エオジンで細胞質を染めます。
しかし、それで終わりではありません。その後、脱水を行い、「透徹」という作業をします。これにより組織がよりクリアにはっきりと見えるようになります。もし、脱水がうまく行っていなければ透徹用のキシレンが白く濁り、最初からやり直しです。
そして最後に封入です。
ここまで頑張って作ったプレパラートを保護するためにカバーガラスを掛けて終了です。皆さん、せっかく染色したプレパラートですので、慎重に封入をしてくれました。観察は翌日です。
![]() |
染色したプレパラートにカバーガラスをかけて封入する作業 |
![]() |
| はい、終了です 最初の無色透明のものと比べてみてください |
染色では待ち時間が結構生じます。その間、同じ班の人に染色の作業は任せて「薄切」の体験です。
![]() |
| ミクロトームを軽やかに? 扱う及川美紀さんと見守る佐藤和歩さん ミクロトームは数μm単位にスライスする機器 (いわば、超高精度なカンナ) |
![]() |
| 薄切なんて朝飯前の大村くん(右)に見られて(見つめられて)、 緊張気味に薄切を行う田口晃那さん(左から2番目) |
この過程は完全手作業であり、いわゆる技術がものを言います。今どきのタッチパネルで自動的になどという甘い世界ではありません。みなさん四苦八苦しながらプレパラートを作ってくれました。
なお今日の染色実験のために大村くんはこれを40枚ほど準備してくれました。感謝です。
2日目 RNA抽出実習
昨今、なんでもキット化され、簡単な英語さえ読めれば(さらに日本語に訳してあれば)、動物の組織からRNAを取り出す作業は比較的簡単です(「如何に昨今のキットが優れているか」という意味)。ですが、それでは授業になりません。
今回はTrizolという試薬を使い、全てマニュアルで作業することに挑戦しました。
正確なピペット操作が求められ、さらに安全性を考慮に入れる必要があります。そうです、Trizolは劇物指定を受けた試薬です(さらに高価!)。この試薬をドバッと使えるのが少人数で実施する動物学実習の醍醐味です。皆が安全に実験できるよう厳重に注意を促した上、ゴム手袋を支給しました。
また今回は最後にRNAの純度を測定します。
RNA抽出は如何にピペットを上手に使えるかも重要になります。その結果、最終的に得られたものの純度が変わってきます。RNAの場合、吸光度(どれくらい光を吸収したか)の比率260/280が2.0前後なら純度は合格です。
![]() |
| 次の行程を予習する?三宅穂波さん(手前) 通常キットを使ってRNA抽出を行っている 鈴木麻弥先生(右、宮城県食肉衛生検査所 所属)も Trizol法を習得するために特別参加 |
![]() |
| レジュメを見ながら丁寧に作業をする橋本航くん |
細かい過程は割愛しますが、最終的にみなさん吸光度260/280が1.9〜2.0の間となり、高純度のRNAを抽出することができました。
なお余談ですが、吸光度260/280の値が最も2.0に近かったのは、特別参加の鈴木麻弥先生でした。流石!
参加した学生の感想
青野夢生さん
一番難しかったのはミクロトームを使った切り出し(薄切)。先輩にコツを教えてもらっても中々うまく行かず、早くすると丸まってしまうし、ゆっくり過ぎると途中で刃が止まってしまうので、そのちょうど良い塩梅を見つけるのが難しかった。最終的にプレパラートに貼り付けられる1枚ができたのでよかった。
菅原実咲さん
組織標本の薄切は綺麗に薄く切るのは難しかったけど、うまく切れたので嬉しかった。RNAの抽出は純度が低く出たので(タンパク質やTrizol中のフェノールの混入が原因で起こる)、しっかり作業できるようになりたいと思った。細胞生物学実習も実施!
3年次の動物学実習は、同じ日程で細胞生物学実習も行いました。ある物質が細胞や組織のどこに存在しているのかを可視化するために使われる「間接蛍光抗体法」を体験しました。
| ゾウリムシの大核と小核が発光 |
野外実習も実施!
7月30日には石巻市内の2カ所の森林での野外実習を実施しました。シカの生息密度の違いが森林に与える影響について理解することが目的です。
昨年度の様子 ↓↓↓
![]() |
| 金華山のニホンジカ(撮影:高槻成紀氏) |
生物科学科をもっと知る
生物科学科では、生き物を観察するだけでなく、組織・細胞・遺伝子などさまざまなレベルから生命現象を学びます。
- 動物機能組織学研究室関連の記事はこちら(奈良英利教授)
- 動物・植物コースの紹介はこちら 「生態系から遺伝子まで、いきものの営みを時空間スケールで理解する」
【関連ブログ記事】





















.png)












.png)