2026年7月15日水曜日

理科教員を目指す学生が仙台市科学館で教材研究 科学を「伝える力」を育てる授業

理科の授業は教科書に書いてあることを覚えるだけではなく、実際に、見たり、触ったり、匂いを嗅いだり、五感を使うことが重要です。

自然科学コースでは、6月27日(土)、科学館を活用する授業を実施しました。理科教員を目指す3年生5名がHOKUSHU仙台市科学館を見学し、展示を「教える側」の視点で分析。

後日、展示物を活かした模擬授業に取り組みました。記事の最後には、参加学生によるコメントも紹介します。

 

目次

  • 理科教材として展示物を観察
    「宮城・仙台の自然」エリア
  • 展示物を活かした授業へ
    「科学の探究」エリア 
  • 純粋に科学を楽しむ心も忘れずに
    「生活と科学」エリア
  • 参加した学生の声
  • 後日談:科学館を活用した授業づくり


2025年4月に全館リニューアル!

当日は展示物・展示方法を観察し、学校現場で活用できる理科教材と科学コミュニケーションについて学びました。

単に見る側としてではなく、教員として活用する側の視点で捉えることは、将来の学校現場に活きてくるでしょう。

アロサウルスがお出迎え
(1億5000万年前)
 

今回の見学は、3年次の必修科目「バイオサイエンスコミュニケーション」の一環です。自然科学コースの教職チーム(渡辺班)の特別授業として実施しました。※教員志望の学生全員ではありません。

 


理科教材として展示物を観察 

「宮城・仙台の自然」エリア

学生たちには、理科教材の視点、科学コミュニケーションの視点で展示物を評価するレポートを課しています。

教員目線で見ることで、子どもの頃とは違った意外な気付きがあるはずです。楽しみながらも、真剣に観察していました。

左はシオガマゾウ
約2000万年前に、塩釜にこんな巨大なゾウが!
 

「これキレイ!!」
宮城に関する様々な標本や化石を展示

「どんな授業で使えるかな…」

植物やチョウ、キノコ、岩石など
とても綺麗な標本が展示されています

レポート用に写真・動画で記録



展示物を活かした授業へ

「科学の探究」エリア 

展示物を評価するレポートの他に、次回の授業までに展示物を利用した授業案を作成します。

2名の班、3名の班ごとに作成・発表し、全員で内容について考察します。身近な教材を見つけ、授業に活用する力は、これから教壇に立つ教員に欠かせません。

物理や化学について、
体験しながら学ぶことができます
 
実物標本の周期表は圧巻!

 

やまびこを体験

「ほら!もっとこがないと!」

「波・音・光」「電気と磁気」
「運動と力」「物質の性質」など分野別に展示
どれもとても勉強になります



純粋に科学を楽しむ心も忘れずに 

「生活と科学」エリア

身近な現象について体験的に学べるエリアです。地震の体験や防災クイズなど、自然災害についても学ぶことができます。

学校現場で子どもたちを守る教員としては、欠かせない知識ですね。

科学は楽しく学ぶもの!
専門知識を得ることも大切ですが、楽しむのが何より

竜巻・台風の発生装置

プラズマボール


2時間程度の滞在時間でしたが、楽しんで科学を学ぶ姿が見られました。 

展示物の評価レポートと、展示物を活かした模擬授業がどうなるか楽しみです。

武藤さん、松坂さん、伊藤さん、藤川さん、大野さん
お疲れ様でした!


 

参加した学生の声


時間を忘れ夢中で見入ってしまい、2時間だけでは足りないくらいとても充実した濃い学びを得ることができました。仙台市科学館はとても楽しく学べる展示物が多くあるため、理科教員を目指す人は一度は訪れた方がいい、魅力的な施設だと感じました。

普段と違った視点で科学館を回ることができ、とても楽しかったです。地学や生物の展示は見るだけになりがちな印象がありましたが、巣穴を上から観察したり、葉の標本を自分で引き出して見たり、風を感じながら地域の自然環境を学べたり、岩石に実際に触れたりするなど、自分の体を使って体験できる展示が多く、素通りせずに主体的に学べる工夫がされていました。


教科書で学んできた原理や法則が目の前に広がっているのを見て、「これ知ってるやつだ!」と嬉しい気持ちになりました。将来は、経験による学びの重要性を理解したうえで「内発的動機付け」を生徒に自然に促せるような授業を作りたいと思いました。

授業を行う上で、どこかから動画を引用するのではなく、先生が「自分がやってきた動画があるので見てください」の方が生徒も興味を持って見てくれると思いました。黒板の授業だけで終わらせず、できるだけ視覚化できるように工夫していきたいです。

 

展示を見て終わるのではなく、「なぜこのような現象が起こるのか」「身近な生活ではどのような場面で利用されているのか」といった問いを設定することで、生徒同士が意見を交流しながら理解を深められる授業を展開できると感じました。将来教員になった際には、科学館などの地域資源を積極的に活用し、事前学習・見学・事後学習を関連付けた授業を実践したいです。 



後日談:科学館を活用した授業づくり

展示物評価のレポートでは、錯視、炎色反応、光の三原色、種子散布、電磁誘導、形状記憶合金、光ファイバーなどに関する展示物がピックアップされ、特徴を考察していました。

波の実験

模擬授業では2つの班が「定滑車・動滑車」「進行波・反射波・定常波・合成波」についての展示物をピックアップ。授業の導入に工夫が見られ、スライドも見やすいように作りこまれていました。それぞれの模擬授業で体験的な活動も取り入れられており、科学館での学びが活かされていました。


身近な物で「てこの原理」を体感


【リンク】

  • HOKUSHU仙台市科学館 「ふれる科学、ためす科学」がコンセプト。地下鉄南北線「旭ヶ丘駅」から徒歩5分。入館料は一般550円。

 

  • 自然科学コースの紹介はこちら  自然科学コースでは、生物・化学・物理・地学・数学を幅広く学びます。学校や地域と連携した実践的な授業をとおして、科学を「伝える力」を育み、理科教員として必要な資質・能力を養成しています。 
  • オープンキャンパス情報はこちら  教員採用試験に向けた取り組みについては、7月18日(土)19日(日)、8月8日(土)9日(日)のオープンキャンパスで学生から直接話を聞くことができます。

 

 

【関連ブログ記事】 

#自然科学コース #学生の声  

 

教員採用試験に向けた4年間計画

4年次:直前対策としての勉強会、面接・集団討議の練習(自主ゼミ) 

 

教員採用試験の受験者数は、昨年度の7名から今年度は10名以上へ増加(昨年度の過去最多をさらに更新)。また、物理の自主ゼミには1年生17名が参加しており、これは1年生の約2割に当たります。

早い段階から教員を目指す学生を継続的に支援し、地域で求められる理科教員の育成に着実に貢献しています。


2026年7月10日金曜日

深海魚を未来の資源に? 仙台うみの杜水族館「深海ナイト水族館」に出展

来場者に説明する鈴木先生
(掲載許可確認済)
 

生物の可能性を、社会へ。 

2027年4月、生物科学科に「生物資源コース」が誕生します。

生物資源コースでは、海洋生物・昆虫・植物・微生物などを「社会に活かす」方法を学びます。未利用魚の活用や食品開発など、地域産業につながる研究にも取り組みます。 

 

深海魚の透明骨格標本

 

深海魚がプラスチックや新素材に?

今回は、生物資源コースの特徴のひとつである「生物資源の有効利用」についての取り組みを紹介します。

地域水産利用学研究室(鈴木英勝教授)は、市場価値が付かず廃棄されてしまう未利用魚「インディーズフィッシュ」を新たな資源として活用する研究を行っています。

3月7日(土)、仙台うみの杜水族館で開催された「深海ナイト水族館」に出展しました。2021年から6年連続、継続的に出展しています。

 

三陸沖は「世界三大漁場」のひとつ。

そこで漁獲される深海魚や未利用魚について解説するパネル展示に加え、深海魚の透明骨格標本や深海魚から作ったプラスチック・ブロック資材の試作品の展示を行いました。

研究室の学生5名が解説役を務めました

ペンギンコスチュームでイベントを盛り上げ!

約800名が来場し、終始にぎわっていました(主催者発表)
会場には卒業生の姿も見られました

毎年恒例の無料ガチャガチャも実施。長い行列ができていました。

小魚の透明骨格標本や、アニサキスストラップ、透明骨格標本ペンなどの変わり種が景品です。深海魚に限らず、海洋生物の魅力を持つ「入口」になればと思います。


世にも珍しい透明骨格標本ペン(手前)
奥はアニサキスペン


生物科学科の卒業生が「深海ナイト水族館」を紹介(昨年度のもの)

ミヤテレ「OH!バンデス」のコーナー【うみの杜にっき】では、本学の卒業生で仙台うみの杜水族館の飼育員として働く佐藤光優さんが出演。約8分間、たっぷりと深海魚の魅力を紹介しています。

 


参加学生の声

  • 岡 亮佑 さん
    たくさんの方々と交流することができました。今年は昨年よりも多くの来場者が訪れ、大変励みとなりました。また、夜の水族館という特別な空間の中で活動できたことも印象深く、貴重な経験になりました。
  • 千葉 広大 さん
    未利用魚の活用法を、多くの人に伝えることができたました。準備した透明骨格標本のペンやアニサキスストラップのガチャガチャも人気で、とても嬉しかったです。
左から、淀川さん、千葉さん、岡さん、
鈴木先生、吉田さん、佐々木さん



【リンク】

 

【関連ブログ記事】 

#地域×大学 #学生の声

#地域水産利用学研究室 #海洋環境・生物コース #生物資源コース

  

2026年7月7日火曜日

博士1年・小田晴翔さんが笹川科学研究助成に2度目の採択 カニの「巣穴」から進化の謎に迫る

 

採択率19.8%という狭き門を突破

海洋ベントス学研究室に所属する大学院博士後期課程1年(D1)の小田 晴翔さんの研究課題が、「2026年度笹川科学研究助成 学術研究部門」に採択されました。

研究対象は、大学周辺に数多く生息するクロベンケイガニ。今回は、学部時代から続く研究内容と、小田さんのコメントを紹介します。 

研究課題は「新仮説×進化説
 ―巣穴から考える半陸生イワガニ類の性的二型の進化―」

 

小田さんは2024年度にも同研究助成に採択された経験があり、助成対象者として選ばれるのは2度目となります。1度目の採択の記事はこちら

※笹川科学研究助成は、若手の研究を支援するために公益財団法人日本科学協会が実施している研究助成制度



学部から一貫してクロベンケイガニを研究

半陸生のカニ類は、水中から陸へと進出し、干潮時の干潟や河口域などの水辺付近など陸上において活動するカニ類の総称で、スナガ二類(スナガニ上科)とイワガニ類(イワガニ上科)に代表されます。

スナガニ上科(ハクセンシオマネキ)

イワガニ上科(ハマガニ)

 

石巻専修大学のキャンパス周辺に数多く生息しているクロベンケイガニは、半陸生のイワガニ類の仲間で、小田さんは卒業研究から一貫してクロベンケイガニの研究に取り組んでいました。

クロベンケイガニを採集する小田さん

 

「脚タップ」から「巣穴」へ

前回の助成対象課題「すね毛×脚タップ=クロベンケイガニ:形態から考える社会行動の進化」では、半陸生のカニ類の中でもクロベンケイガニで極端に発達している歩脚の剛毛(すね毛)に疑問を持ち、クロベンケイガニで頻繁に行われることが報告されているleg-tapping(脚タップ)という社会行動との関連性について検討を進めました。

クロベンケイガニの「すね毛」

脚タップ行動

 

今回の研究課題では、以前の研究課題の過程で得られた「半陸生のイワガニ類でみられる性的二型が従来の性淘汰の理論では説明できない」というアイデアをもとに、自身の観察結果から性的二型の進化を駆動した要因として「巣穴」に着目した研究へと発展させました。

クロベンケイガニの巣穴


小田晴翔さんのコメント

この度、クロベンケイガニの巣穴と性的二型の進化に関する研究内容で、2度目となる笹川科学研究助成に採択していただきました。

性的二型の進化は、主に性選択(配偶者を巡るあらゆる競争に作用する選択圧)によって駆動されるとされており、従来の定説では、求愛行動などの繁殖に関わる社会行動に選択圧が「直接」作用することで性的二型の進化が駆動されるとされてきました。

今回採択された研究課題では、クロベンケイガニの雄が“雌にモテる“巣穴を形成することで、その巣穴を介して「間接的」に選択圧が作用するという、新たな性選択モデルの提唱を目指しています。

前回採択された研究の結果から新たに着想を得て、さらに発展させた内容となっています。チャレンジングな研究内容で、取り組むべき実験も多い研究計画ですが、良い成果を挙げられるよう精進していきたいと思います!

巣穴実験中の小田さん



石巻専修大学は、海・川・山などの身近なフィールドを活用した研究活動が数多く行われています。

地方の大学ではありますが、世界にチャレンジする環境があります。在学生の皆さん、そして未来の仲間となる高校生の皆さんの挑戦を期待しています。 


 

【リンク】

 

【関連ブログ記事】

#海洋ベントス学研究室 #海洋浮遊生物学研究室

#学生の声 #大学院 #海洋生物・環境コース 

小田さんは学部時代から学会発表をしたり、海外でも発表を行うなど、精力的に研究活動を行っています。今年度は本学の非常勤助手も務めています。

       

2026年7月3日金曜日

「伝える力」が今に活きる 東仙台中学校で活躍する卒業生・大宮さんにインタビュー

卒業生の大宮洸平さんが大学に遊びに来てくれました。

大宮さんは現在、仙台市立東仙台中学校で理科の教諭をしています(社会人2年目)。

「教えることが好き」「子供が好き」という大宮さんに、中学校での仕事や大学時代の思い出についてお話を聞きました。

 

 

  「中学校の先生」になってみていかがですか?

生徒と過ごす時間がとても楽しいです。授業、部活、生徒指導など大変なこともありますが、その分やりがいも大きく、楽しく過ごしています。

最近は、脊椎動物・無脊椎動物の分類を学ぶ授業で解剖の実験をしました。生徒たちは楽しみながらしっかりと実験に取り組み、共通点や相違点にういて考えることができていました。

これからはさらに経験を積んで、生徒たちから信頼される先生になりたいです。

大宮さん提供写真

 

  大学時代の思い出は? 

フットサルサークルで活動していました。当時は人数も多く、とても楽しかったです。仲良かった友人たちとは今でも飲みに行ったりしています。

最近、サッカー部ができたとのことで、後輩たちが活躍するのを楽しみにしています。

イメージ写真

 

  授業や卒業研究で学んだことが今に活きていますか?

卒業研究では、数理生物学研究室で数理モデルの研究に取り組んでいました。

漁獲によりクロマグロの個体数がどのように変動するか、生息地を回復させることと絶滅がどのような関係にあるか、といったテーマを数学を使って研究していました。

卒業研究ポスター発表会にて
ポスター発表会の様子を見る

 

現在の教員生活で特に生きているのは、相手に「伝える力」です。

卒業研究やレポート作成をとおして、相手に分かりやすく伝える力を養うことができました。その経験が中学校での授業作りに活かされています。

教員採用試験に向けて勉強中…

「理科を専門的に学べることと、
教員志望の学生への支援が手厚いことが
学科の良いところです」と話してくれました



  後輩へのメッセージをお願いします

辛いことから逃げずに、やり切ってください。必ず将来活きてきます。そして、大学生活を思いっきり楽しんでください。

「学生時代カレーをよく食べていたので、
食べて帰ります」と学食へ

 

卒業後に母校を訪ねてくれることは、教職員にとって大きな喜びです。 

現在は1年生の担任をしていて、忙しくも充実した日々を送っているようでした。

これからのさらなるご活躍を期待しています。ぜひまた遊びに来てください!

 

 

【リンク】

 

【関連ブログ記事】  

#卒業生(卒業生インタビューなどを紹介)

#教員採用試験(自主ゼミなどの学習支援や授業の様子を紹介)

 

 

卒業生が多方面で活躍しています 

 


現在は「アクアマリンふくしま」で解説員
理工学部の特設サイトでインタビューが掲載


卒業後、オープンキャンパスのときに来学
(妹さんも本学に在学)