2026年5月14日木曜日

コケゴカイ「80年の謎」を解明! 修士1年の高橋陽大さんが日本生態学会東北地区大会で最優秀賞


海洋ベントス学研究室の大学院修士1年の高橋陽大です(学年は2025年度、当時)。

12/6~12/7に開催された「日本生態学会東北地区第70回岩手大会」で口頭発表を行い、なんと最優秀賞を受賞することができました!

今回は受賞の報告も兼ねて、これまでの研究の過程について紹介させていただきます。

学生発表31件の中から、最優秀賞を受賞
 

 

身近なのに謎が多い「コケゴカイ」を研究

私は、学部3年で研究室に配属してから、身近な海にたくさん生息しているのにあまり生態が知られていない「コケゴカイ」という生き物に興味を持ち、研究対象にすることに決めました。

コケゴカイは海に生息する環形動物である多毛類(ゴカイ類)に分類される種で、日本各地の干潟でよく見られる普通種ですが、これまであまり研究が行われておらず、謎が多く残されている生物です。

卒業研究では、コケゴカイの基本的な生態情報として寿命や成長、繁殖期などを明らかにするために、地元の松島湾で個体群動態を追跡する調査を開始しました。

この調査は2024年1月の吹雪の夜から始まり、現在まで毎月の定期調査を継続しています。

初めての調査は吹雪の夜

 

 

「自分の殻を破りたい」 学部時代から学会発表に挑戦


日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会

初めての学会発表は学部4年時(2024年)の9月に行われた日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会でした。

この時の学会のイメージはベテラン研究者が集まって高度な議論をするというものであったため、学会発表はとてもハードルの高いものだと思っていました。発表に申し込んでからはとても不安な日々でしたが、自分の殻を破りたいという思いで準備や発表練習を重ね、無事に初めてのポスター発表を成功させることができました。

 

日本生態学会

その後、2025年3月に開催された日本生態学会札幌大会でもポスター発表を行いました。

初めての学会ポスター発表では、結果や考察を単調に話すだけになりがちで、研究の面白さを十分に伝えることがでなかったのではないかという反省があったので、2回目の学会発表ではなるべく相手を見て話し、双方向のやり取りであることを意識して発表を行いました。

前回よりは緊張もせずに自信をもって発表することができたと思いましたが、さまざまな分野の研究者が参加する学会であったため、ベントスのことを詳しく知らない方々にも研究の面白さを伝えるには、まだまだ発表の仕方に工夫が必要であると感じました。

どちらの学会でも発表を通して様々な気づきや学びがあり、他大学の学生や研究者の方々と交流することで研究の世界の広がりや研究分野の多様さを実感するとても貴重な経験ができました。

 

 

採択率11%の研究助成金も獲得!

私は早い段階で大学院への進学を決めていたため、大学院での研究活動を充実させるために、研究計画を練り上げて2024年12月に水産無脊椎動物研究所の育成研究助成に応募しました。

翌年3月には助成対象者に採択していただき、4月から大学院での研究をスタートさせました。

 

 

 

調査フィールドを広げ、意欲的に活動


大学院では、毎月の松島湾での個体群動態の追跡調査は継続しつつ、コケゴカイの分類学的再検討や繁殖生態の解明に向けた研究も新しくスタートさせました。

また、松島湾以外でのコケゴカイの生息状況や個体群動態を調べるために、県外の調査にも積極的に参加したりと、意欲的に楽しく活動に取り組んでいます。

松島湾で行っている個体群動態の調査を3月と11月に北海道のコケゴカイ北限の地(有珠湾)でも行いました。

3月
北海道、有珠湾(コケゴカイ北限の地)

11月

 

松川浦サイト(福島県)での
環境省モニタリングサイト1000干潟調査

 

日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会 

2025年9月に開催された2025年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会では、コケゴカイの分類の再検討の成果について口頭発表を行いました。

私はもともと大勢の前で話すのが苦手であったため、学会での口頭発表は私にとっては非常に大きな挑戦でした。初めての口頭発表の会場はとても広い部屋だったので、とても緊張してしまいましたが、何度も発表練習を重ねて本番に臨んだため、言葉に詰まりつつも無難に発表を終えることができたと思います。

この発表の内容は、コケゴカイの分類は1940年に国内で初記録されてからの長い間曖昧なままであり、見直す必要があるというものでした。私の研究の結果、コケゴカイは日本の干潟の普通種ですがまだ学名のない未記載種であることが示唆されましたので、今後は新種記載を目指して頑張りたいと思います。



80年以上謎だった「生殖群泳」の謎を解明!

コケゴカイの繁殖生態の研究では、コケゴカイが「生殖群泳」を行うのかどうかについて調べました。

「生殖群泳」とはゴカイ科の多毛類に広く見られるもので、遊泳に適した体に変態した雌雄の個体が繁殖のために同調して一斉に水中に泳ぎだし、放卵放精を行うという繁殖行動です。コケゴカイの生殖群泳はこれまでまったく確認されておらず、本種は生殖群泳を行わない種であると考えられていました。

しかし、これまでの調査によって生殖変態をしたコケゴカイの個体が採集されていたため、実はコケゴカイも生殖群泳を行うのではないかと思い、2025年の夏の夜中に頻繁に干潟に通ってコケゴカイの生殖群泳を捉えるための調査を始めました。

夜中の調査

初めのうちは何の成果もなく、「大変な研究を始めてしまった」と後悔が頭をよぎることもありましたが、それでもあきらめずに遊泳のタイミングを予測しながら干潟に通い詰めました。

その結果、ついにコケゴカイの生殖群泳の観察に成功しました!!!

 

これは、国内初記録から80年間以上わたって謎であったコケゴカイの繁殖生態の核心部分を解明する初めての発見です!!!



日本生態学会 ベントス研から学生15名が参加

そして、この研究成果を2025年12月に開催された日本生態学会 東北地区大会(岩手大会)で発表を行いました。

今回で学会発表は4回目、口頭発表は2回目の挑戦です。今までの経験と反省を生かして、「どうすれば今回の発見の面白さや重要性を伝えられるか」を考えながら準備を進め、発表に臨みました。

コケゴカイ(環形動物門:ゴカイ科)における
生殖群泳と生殖変態の初記録
—長年知られなかった繁殖生態の解明—
 

これまでの経験や念入りな準備のおかげで、今回は声のトーンやテンポ、表情にまで意識を行き渡らせ、研究成果を思う存分に発表することができました。

発表が終わってからも多くの質問をいただき、たくさんの人に興味を持っていただけたことが実感できました。

 

この大会では、ベントス研から15名の学生が参加し、私のほかに以下の5名も発表を行いました(学年は当時)。

  • 大見川遥(M2)行動観察による海産等脚類の球体化の捕食回避機能および乾燥耐性機能の評価 
  • 大山雄太郎(M2)金華山島のニホンザルにおける海藻採食行動はどんな時に多く見られるのか —各海藻類の利用可能性からのアプローチ— 
  • 小田晴翔(M2)クロベンケイガニにおける性的二型の進化要因の検討 ―社会行動からのアプローチ― 
  • 甲地由樹(B4)汽水性多毛類ヤマトスピオの地理的遺伝構造 
  • 谷川涼太(B4)宮城県石巻市渡波海岸における海岸ベントス相

東北地区大会(岩手大会)に参加したベントス研メンバー



そして発表の翌日、学生発表賞の表彰がありました。

学生の発表31件の中から2件の最優秀賞と4件の優秀賞が選出され、なんと、私も最優秀賞を受賞することができました!!!!!

そして、同じ研究室の大見川先輩(修士2年)も優秀賞を受賞しました!

大見川先輩とダブル受賞!

 

大学ホームページでも取り上げられました 

 

さらなる研究へ

長くなりましたが、受賞の喜びを噛みしめつつ、私の研究の軌跡を紹介させていただきました。

これまでたくさんの貴重な経験をさせてもらい、さまざまな力を身に着けてくることができました。しかし、まだまだやるべきことは残されていますので、慢心してはいられません。今後も研鑽を積み重ねさらなる成果が上げられるよう、頑張ります!!!


 

【リンク】

 

【関連ブログ記事】

#学生の声 #大学院

#海洋ベントス学研究室 #海洋生物・環境コース 

 

2026年5月12日火曜日

【生物科学科 新入生レポート3】大学から30分で絶景!新歓ハイキングで親交を深めました

 

4月16日(木)、フレッシャーズセミナーAの時間を使って、大学の裏山(トヤケ森山、通称:馬っこ山)に新歓ハイキングに行きました。

 

トヤケ森山は標高173 m。30分ほどで登ることができ、山頂からは石巻市街を一望できます。新入生の皆さんは会話を楽しみながら親交を深めていました。

山の一部は大学の演習林になっており、動物や植物に関する研究でも活用されています。


 

ハイキングスタート!

2号館の実験室に荷物を置いて出発(この実験室は、2年生3年生で使うことになります)。

登山道の入り口には10分で着きます

歩きやすい道が続き、
会話を楽しみながら登っていきます

担任3名を含む、約10名の教員も参加
新入生との会話を楽しみました

道中では植物観察
(アケビの雌花と雄花)

シカを見たという学生も

あと少しで山頂です

ほぼ山頂まで車で来ることも可能です
(救護用の車を用意しているので安心)

 


約30分で山頂へ! 

360度パノラマが最高!
石巻市街を一望することができます
 

頂上では、思い思いの時間を過ごしました

 

 

名残惜しくも下山

ゆっくりしたいところですが、午後の授業もあるため10分~20分ほど滞在して下山しました。

ミツバチが専門の藤原先生は大きな網を持参
 

 

フィールドでの学び 

藤原先生についていった学生には、昆虫についての特別レクチャーが行われたようです。学生からは「めっちゃおもしろかったです!」という声が聞かれました。

 

藤原先生はテレビ番組「鉄腕ダッシュ」に出演し、ミツバチの専門家としてアドバイスを行っています。 5月3日の放送内容を見る


「新たな桜の名所を」ということで
千本の桜が植樹されています

みんなで集合写真!

 


参加した学生の声
  • 大変だったけど、自然に触れることができてすごく楽しかったです。がんばって登ったあとに見ることができた頂上からの景色も素晴らしかったです。 
  • 仲良くなりたての友だちと一緒にハイキングをすることで、より仲が深まったと思います。一緒に頂上で写真を撮れて素敵な思い出になりました。
  • みんなで山を登る経験があまりなかったのでとても面白かったです。5月にある花山での実習や海での実習も楽しみです。
  • 先生とたくさん話ができて楽しかったです。研究室に興味が湧きました。
  • 道中で中川先生が植物の説明をしてくれてためになった。頂上にチドメグサが生えていたので怪我した時に行ってチドメグサの効果を実感してみたい。
  • パラグライダーもできるらしいので、いつか挑戦してみようと思いました。
  • まだあまり分かっていなかった石巻市の地形などを一望できて、すごく綺麗で発展している街だと思いました。
  • 景色がとても綺麗で、ギリギリ自分の住んでいる場所が見えたので達成感があった。
  • 以前から気になっていたトヤケ森山でいろいろな植物や岩石、昆虫を観察できたのですごく楽しかったです。
  • 馬っ子山を入学前に遠目に眺めていて行ってみたいなと思っていたところ、授業で行くと知ってとても嬉しかったです。またのんびり登ってみたいなと思いました。 

 


大学のすぐ近くにある自然を活かした今回のハイキング。

「フィールドの楽しさ」を肌で感じつつ、学生同士や教員とのつながりを深める貴重な機会となりました。


 

【関連ブログ記事】 #学生の声

  

2026年5月7日木曜日

【生物科学科 新入生レポート2】数字で見る生物科学科(コース別人数・男女比・出身地)+ 時間割も紹介


4月1日~6日は、オリエンテーション期間。

履修方法の説明をはじめ、アイスブレイクや健康診断など、大学生活をスムーズにスタートするための様々なプログラムが行われました。

 

今回の新入生レポートでは、学生自己紹介と履修相談 の様子をお伝えします。

「コースごとの人数は?」「女子学生はどのくらい?」「出身はどこ?」 そんな疑問に数字で答えながら紹介していきます。

 

 

 

学生自己紹介 ~数字で見る生物科学科~


自己紹介では、出身や趣味・特技、所属コース、将来の目標などを自由に発表。

ゲーム・アニメ好きな学生が多く、生物への関心の高さも感じられました。共通の話題から、自然と打ち解けられそうですね!

 

将来の目標はさまざま

  • 水族館の飼育員になりたい
  • 理科の先生になりたい
  • 狩猟免許を取りたい
  • 環境保全に携わりたい
  • 大学院に進学して研究者になりたい

新入生からはさまざまな声が聞かれました。「大学生活の中で、やりたいことを見つけたい」という学生も。これからの成長が楽しみです。

 

 

コース別人数|「海洋生物・環境コース」が人気 

  • 海洋生物・環境コース  45名
  • 動物・植物コース    22名
  • 微生物・生命分子コース 11名
  • 自然科学コース     12名 

三陸・金華山沖は「世界三大漁場」のひとつ。大学のすぐ近くに川も流れ、海洋生物の学びに適したフィールドが広がっています。

また、理科の教員を目指す学生の多くは自然科学コースに所属しています。



男女比|女子学生が増加傾向

  • 女子 25名
  • 男子 65名 

新入生90名のうち、女子学生は25名。4人に1人以上、という数字。

近年は女子学生の割合が増加しており、3割に届く勢いです。大学院では、修士課程進学者の半数が女子学生になっています(4名中2名)。 

 

 

出身地|県内半数・県外半数 

  • 宮城県 45名
  • 岩手県 10名
  • 秋田県  7名
  • 福島県  6名
  • 山形県  5名
  • 青森県  4名 

地方の大学は地元出身者が多くなりがちですが、生物科学科は(宮城が多いものの)広範囲から学生がやってきます。高校に比べて多様なバックグラウンドをもつ仲間と出会えるのは大学の魅力です。

今年度は県内と県外がちょうど半々。例年は、県外出身の学生の方が約6割程度と多めです。

東北6県に限らず、栃木3名、東京2名、神奈川2名、埼玉1名、茨城1名など関東出身の学生も。今年は北陸出身の学生もいました(富山1名、福井1名)。

 

今後、アイスブレイクの世話人などで活躍してもらう「クラス委員」も決めました。

立候補であっさり決定! 活躍を期待しています。



 

時間割作成は先輩がサポート ~時間割も紹介~


時間割作成(履修登録)は、新入生にとって最初の大きな壁。

単位、選択必修、CAP制など、分からないワードだらけで誰しもが苦労するところです。

オリエンテーション期間では、時間割作成の時間をたっぷり取ってあり、余裕を持って時間割を決めることができます。

  

 

先輩学生が新入生をサポート 

履修については1対1でじっくり指導する必要があり、教員だけでは手が足りません。そこで頼りになるのが経験者である先輩たち。

声をかけたら、後輩のために駆けつけてくれました。自身の経験をもとに「この授業はこういう内容だよ」「この組み方がおすすめ」などをアドバイス。

毎年恒例で、まさに「チーム生物科学科」の強みです!(新入生の皆さん、将来よろしくお願いします)

2日間に渡って、履修指導が行われました
並んでいる学生が駆けつけてくれた先輩たち

 

 

シラバスで授業内容をチェック 

まずは、卒業までに必ず取らなければいけない必修科目を入れます。

あとは、自分の興味のある科目を入れます。科目名だけで判断せず、授業内容が書いてある「シラバス」をチェックすることが重要です。シラバスだけでは難しいところがありますので、このあたりに先輩たちのアドバイスが効いてきます。

自習のための空きコマを敢えて入れてみたり、午後は丸っと休みにしてみたり、時間の空け方にも好みが分かれるところです。教職と取るかどうかでも変わってきます(教職の人は余計に取る必要あり)。

困ったらとりあえず相談!

たぶん大丈夫…でも、確認してもらうと安心ですね

先輩は履修のコツが分かっています

交流も深めながらの時間割作成
雑談にも大事な情報が?

パソコン・スマホでシラバスをチェックしつつ、
あちこちで相談する姿が見られました


前期の時間割の例を紹介!

青バックは必修科目です(全員が取る科目)。

 

 

科目ピックアップ

  • 基礎生物学基礎化学基礎数学では、高校までの知識を確認しながら授業を進めます。高校で未履修であっても安心です。基礎数学に関しては、理工基礎演習Aが補習科目(寺子屋)になっていて、教員を目指している先輩たちがサポートします。
  • キャリア入門は、1年次から就職を意識した科目。
  • いしのまき学には、石巻のことを知って、好きになってもらう狙いがあります。石巻の自然、歴史、産業、文化、震災などについて専門家が週替わりで講演。石巻市長や石巻市博物館の方による講演も予定されています。
  • フレッシャーズセミナーAは、充実した学生生活を送れるようにするための科目。前半はアイスブレイク、ハイキング、図書館ツアーとさまざま。後半は教員による研究紹介が行われます。
  • 情報活用法では、学生生活で必須となる学内のオンラインシステムや、ワード・エクセル・パワーポイントの基本について学びます。
  • 野外生物実習は、5月から6月にかけて土曜日に行われます。海洋、動物、植物の実習に全員が参加します。
  • これ以外にも前期には、基礎物理学、中国語A、歴史学、文学、法と人権、健康科学と身体運動などの科目が開講されています。

 

トヤケ森山ハイキング
(後日、レポート予定)

野外生物実習
(昨年度の様子)

 

 

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