2023年11月30日木曜日

11月の記事まとめ

船に乗って海洋観測(3年次海洋生物学実習)


   記事をまとめたページはこちら(タグごと、月ごとで記事をピックアップしています)




大学ホームページ記事からのピックアップ

深海を体験!
大学HPより

中央が太田教授(海洋浮遊生物学)
大学HPより

 

 

2023年11月29日水曜日

【2年次・自然科学基礎演習】学生が先生役となって模擬授業 伝える力を身につける

学校での授業さながらに、
中学理科の内容を正しく分かりやすく伝える
 

どんな職業に就いても必ず必要となるのが「伝える力」

たとえば、せっかく良い商品があっても、その良さを伝えなければ売り上げにつながりません。メールでも会議でもどんな場面でも、伝える力の重要性は高まっているように思います。


生物科学科には2年次に、主にプレゼンテーションについて実践しながら学ぶ「基礎演習」という科目があります。令和4年度からスタートしたカリキュラムでの新しい科目で、今年が初実施です。

3年次のバイオサイエンスコミュニケーション、そして4年次の卒業研究につながる科目です。

 

 

中学校の教科書が題材
 

今回は、自然科学コースの「自然科学基礎演習」の様子を紹介

基礎演習は4つのコース別々で実施しています(少人数教育)。

自然科学コースでは、中学理科(と中学数学)の内容についての「模擬授業」を行うことにしました。いきなり授業は少しハードルが高いので、「例題を説明して、問題を解いてもらって解説」を基本スタイルとしました。

教員志望の学生が比較的多いコースですので、授業方法を考えるきっかけにもなると思います。

 



まずは班での発表  発表準備が3~4コマ分

自然科学コースの2年生は15名で、4つの班に分かれて準備をしました。各班に教員もひとりついて、アドバイスをします。(班発表が終わると、全員実施の個人発表に移ります。)

意見をまとめるのは大変ですね

 

班全体で良い発表をするための話し合い

何を伝えたいのか、全体のストーリーはどうするのか、どんな問題を出すのか、パワポを使うのか板書にするのか、配布資料はどうするのか、などなど考えるべきことは山盛りです。

「そもそも雲ってどうやってできるんだっけ…」
「まずそれを聞いてみればいいんじゃない?」

教員からのアドバイスも参考にしつつも、
意見を出し合って、検討を重ねました
(グループディスカッションの練習)
 


 

 

いよいよ班発表の本番! 2コマ分

ひとつの班の発表時間は30分。1日で、ふたつの班が発表を行いました。


A班 日本の天気・天気の変化の予測

安部、小沼、佐藤、小林(担当教員:山崎)

「石巻の天気を予想してみましょう」
身近な題材を選ぶと、聞く人の興味を惹きますね

各班で問題を用意
解いてもらって解説するまでが発表です



B班 消化のしくみ

大杉、伊藤、小野寺、古川(担当教員:指方)

「まわりと相談してOK!考えてみよう」
雰囲気作りが自然とできていました



C班 物体の運動の速さの変化

須賀、今野、松木、葛西(担当教員:前田)

平均の速さ、瞬間の速さについて
(中学理科でも「微分の考え方」をやっているのですね)


D班 雲のでき方

佐々木、千葉、菊地(担当教員:渡辺)

「雲のでき方」ミニ実験 

ポンプを使ってペットボトル内の圧力を高めて…

 

それぞれの班に工夫が見られて、聞いていて楽しいものでした。 荒削りな?ところは、個人発表で改善していってほしいと思います。




聞き手(学生と教員)が評価して、コメントをフィードバック

聞く側もただ聞くだけではなく、発表者の評価をします。相手の良いところ、改善の余地があるところを考えることで、聞く側も成長できるでしょう。

良かった点や改善点をまとめて、発表者にフィードバックしました。

A3用紙いっぱいにコメントが






班での発表を、個人での発表に生かします

班発表が終わったら、次は個人戦(と言っても協力はします)。

選ばれたテーマを見てみると、植物の細胞、遺伝の規則性、水の分解、イオンと原子のなり立ち、電気の正体、月の満ち欠けなど、多岐に渡ります。今度は数学のテーマを選んだ学生も。

班発表での反省を生かして、相談しつつも個人個人で内容を吟味していきましょう。どのような授業が繰り広げられるのか楽しみです。




【関連ブログ記事】#自然科学コース

卒業研究ポスター発表会


2023年11月22日水曜日

宮嵜教授が執筆を担当した本が出版されました 世界最大のヒゲカビコレクション

 

宮嵜厚教授(菌類発生生理学)が分担執筆した本が出版されました。 

石巻専修大学の「ISUヒゲカビコレクション」についての記事です。※ ISU = Ishinomaki Senshu University

 


大熊盛也監修『微生物資源の整備と利活用の戦略』NTS

「石巻専修大学の接合菌類ヒゲカビのコレクション」

 

    

石巻専修大学(ISU)が保有する「ヒゲカビ」の株数は世界最大!

  • ISU(805株)
  • アメリカのATCC(73株、多くは変異株)
  • オランダのCBS(現・Westerridijk)(22株)
  • イギリスのIMI(現・CABI)(16株)
  • FGSG(10株)
  • ARS(NRRL)(7株)
  • ベルギーのBCCM/MUCL(7株)
  • 日本のNBRC(7株)
  • ドイツのDSMZ(5株)
  • 韓国のKACC(5株)
  • ニュージーランドのICMP(4株)

※ 本文より抜粋(令和5年3月現在) 

 

 

  宮嵜教授のコメント 

 

「微生物は生命科学の基礎研究とバイオテクノロジー分野を牽引する役割を果たしてきた」(発刊にあたってより)のですが、その微生物に関し、性質等の情報が充実しており容易に入手して利用できることは、研究の再現性、研究の進展にとって重要な要因です。そのためには正確に同定された微生物資源の保存・維持が必要です。

今回の出版は、微生物資源学会のメンバー、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の微生物資源領域に携わる総勢81名が細菌、古細菌から微細藻類、細胞性粘菌、ゾウリムシ、そして菌類(酵母、カビ、キノコ)まで、研究・収集・保存・分譲を手掛けるコレクションの特徴や課題・展望を俯瞰した総括本として価値のある一冊です。

 

私は、微生物資源学会のメンバーとして「石巻専修大学の接合菌類ヒゲカビのコレクション」を執筆しました。

ヒゲカビを教育・研究に活用しているのは日本において本学のみでユニークな存在です。

トヤケ森山に住むタヌキ糞から発生したヒゲカビ

 

コレクションのヒゲカビは、ファージの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞したマックス・デルブリュックが、研究人生の後期に着目し彼の元に集ったラボメンバー達と収集・作出(変異株)した系統群であり、伝統のあるコレクションです。

今後もヒゲカビの発生(形態形成や有性生殖)に関して、野生株と変異株を比較しながら教育・研究を進めていきます。

 
 
 

2023年11月15日水曜日

【画像25枚+動画】3年次の海洋生物学実習を行いました! 海洋環境観測からベントス調査まで

 

台風の影響で延期になっていた海洋生物学実習が9/21~9/23に行われました(もともとの予定は8/28~8/30でした)。

 

海洋環境観測と磯調査の基礎を修得するために、実際にフィールドに出ての調査です。

 

  • 1日目 乗船実習で使用する機材の説明(室内講義)
  • 2日目 プランクトン調査と海洋観測(乗船調査)
  • 3日目 岩礁・転石潮間帯のベントス調査と乗船調査のデータ解析


 


1 日 目  乗船実習で使用する機材の説明

1日目は、大学で海洋観測と磯調査の事前説明会。海洋観測で使用する機材に実際に触れてみて、構造と仕組みを学びました。

プランクトンネット、透明度板、水中照度計、バンドーン型採水器など、使用する機材の構造や仕組みについて、プランクトン研究室の太田先生から説明がされました。

プランクトンネット
メッシュの目合いは100 μm(左)と300 μm(右)

透明度板

水中照度計
 
バンドーン型採水器


 

 

2 日 目  プランクトン調査と海洋観測

2日目は朝に大学に集合して、バスで宿泊施設の相川地区コミュニティーセンター(北上町)まで移動しました。そこから相川漁港まで徒歩で移動し、乗船開始です。

前半と後半に分かれ、それぞれ漁船2艘で追波湾(おっぱわん)の調査を行いました。

船に乗るのはほとんど初めてという学生も多くいました
ドキドキワクワクの出航です





 

 

観測地点に到着したら作業開始です


プランクトンネットを使用したプランクトンの採集

バンドーン型採水器を使用した水深別の採水


透明度板を使用した透明度の測定

CTDを使用した水温、塩分、クロロフィルa濃度、
溶存酸素濃度の深度プロファイルのデータ取得

この日は波が高くて船酔いでダウンする学生(教員も?)が続出でした。つらい思い出になってしまった学生にはかわいそうですが、船酔いしやすいかどうか知ることができるのも乗船実習ならでは。




調査終了後は希望者は船に残って釣り大会。しかし残念ながら釣果はゼロ。潮が速く、魚がいる水深まで仕掛けを落とすのが難しかったようです。

 

夕食は焼きそば、おにぎり、豚汁を作ってあとは外でBBQ。

3年生は入学当初からコロナ禍の中で学生生活を過ごしてきました。今回初めて泊りがけでの実習を行うことでき、これまであまり話す機会のなかった学生同士の交流の機会にもなりました。





3 日 目  岩礁・転石潮間帯のベントス調査と乗船調査のデータ解析

 

3日目は早起きして朝の6時から磯観察です。

潮の満ち引きによって水没と干出を繰り返す潮間帯の調査は、潮が引いている時間にタイミングを合わせる必要があります。

この日は小潮のため潮の引きが悪く、潮間帯の上部しか見れませんでしたが、それでも様々なベントスを観察することができました。


実習では、優占種や普通種、希少種など、FランクからSSランクまで難易度別に用意された生き物を探して見分ける課題をクリアしていき、その場の生物相の特徴をつかむトレーニングを行いました。

一番進んだグループはSランクのクリアまで到達していました!


クロヅケガイ(上)とクビレクロヅケ(下)

アラレタマキビ(左)、タマキビ(中)、クロタマキビ(右)

イソガニ
 

アカイソガニ(宮城県レッドリストで準絶滅危惧)

オオウスイロヘソカドガイ
(左の1個体、宮城県レッドリストで準絶滅危惧)
とキントンイロカワザンショウ(右の3個体)
 


磯観察終了後は宿泊場所に戻ってロープワーク講習会



その後、大学に戻って乗船実習で取得した
データのグラフ作成を行いました


3年生はこれから研究室配属です(追記:10月の頭に研究室配属が決定。今年はすんなり決まりました)。

それぞれ卒業研究を進めていくにあたり、今回の実習の経験がきっと役に立っていくことでしょう!



 

【関連ブログ記事】

#実験・実習 #海洋生物・環境コース

※ 来年度からは新カリキュラムでの実習です。4つの実習(海洋生物・環境科学実習、動物学実習、植物学実習、そして生命科学実習)から自由に選択できるようになります。


2023年11月9日木曜日

合格おめでとう! 教員採用試験で2名が合格しました

 

宮城県の中学理科1名と岩手県の中学理科1名の計2名が合格しました。おめでとうございます!

「ああだったね、こうだったね」と
受験当日の様子や試験勉強の思い出話を

上村朋範君(左)と阿部文哉君(右)

 

 

ふたりから合格コメントが届きました。

 

  阿部 文哉 君

この度、中学理科で宮城県教員採用試験に合格することができました。

教職セミナーや人間学部での対策講座では、集団討議の練習や面接練習など、1人ではできない練習ができて非常にありがたかったです。

面接練習の様子
2次選考に向けて特訓! 今年も卒業生が応援に駆けつけてくれました
 

指導いただいた先生方や、1次2次の試験対策を共にした教職セミナーの仲間、2次試験対策に協力してくださった先輩方や後輩にはとても感謝しています。

関わってくださった方々に感謝し、自身の成長を続けながらこれからの大学生活を過ごしていきたいと思います。


 

  上村 朋範 君

岩手県の教員採用試験(中学理科)に合格することができました。

今回の結果は早め早めに理工学部や人間学部の先生方にご指導していただいたおかげだと思っています。特に、教職教養では教育法規等をあまり知らなかったため、大変勉強になりました。

 

また、教職セミナーで努力し続けられたのも、同じく教師を目指してセミナーに参加していた同期や後輩の皆さんのおかげだと思っています。

様々な情報を交換をしたり、問題を出し合ったりすることでお互いが切磋琢磨し合い、落ち着いて本番に臨むことができました。ありがとうございました。

理科実験セミナーでの様子(人間教育学科ブログ)
第1回理科実験セミナーを実施

 

後輩の皆さんに伝えたいことは、早め早めの行動を大切にすることです。

早めに採用試験の問題に取り組んだり、あまり知らないような教職教養の指導をお願いしたりなど、今からできることは多いです。合格に向かって頑張ってください。

 

改めまして、ご指導いただいた理工学部の先生方、人間学部の先生方には大変感謝しております。本当にありがとうございました。

 
 



おわりに(合格実績について)

教員採用試験対策の自主ゼミである「教職セミナー」を始めて4年。

受験者は多くありませんが、高い合格率を出していると思います。

生物科学科独自に、模擬授業を練習

岩手県の中学理科を受験する学生が出たのは今年が初めて。1名受験の1名合格 です。

岩手県の倍率は中学全体で3.1倍。1次では教科等専門、教職専門、そして論文があり、理科は物理・化学・生物・地学のそれぞれで比較的高いレベルの問題を解く必要があります。2次では面接3回のほか、観察・実験に関する実技もあります。


卒業生が2次対策に協力
手前が卒業生の菅原さん(中学校教諭)

宮城県は、1次は基本中心の問題で、2次は面接2回と集団討議となっています。宮城県の中学理科で見てみると、教職セミナー開始4年で 7名受験、6名合格 。合格率は 86% となっています。

 

宮城県の中学理科での合格実績

  • 令和6年度 1名受験、1名合格 (1次受験者 29名 →2次受験者 27名 → 名簿登録者 24名)
  • 令和5年度 2名受験、2名合格 (1次受験者 30名 →2次受験者 26名 → 名簿登録者 20名)
  • 令和4年度 受験者なし     (1次受験者 38名 →2次受験者 35名 → 名簿登録者 26名)
  • 令和3年度 4名受験、3名合格 (1次受験者 36名 →2次受験者 32名 → 名簿登録者23名)


これからは卒業研究が本格化

阿部君は二枚貝生理学研究室(高橋教授)
上村君は菌類発生生理学研究室(宮嵜教授)

 


【大学ホームページ関連記事】 12月25日追記


 

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#教員採用試験 #学生の声


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