2023年10月31日火曜日

10月の記事まとめ

3年次の動物学実習(ネコの行動観察など)や植物学実習(高山植物の観察など)の記事では、学生が実践的に生物科学について学んでいる様子を伝えています(★印)。海洋生物学実習の記事も近日公開!

 

サイエンスフェス「知の玉手箱」では、地域の方々に科学の面白さを伝えるべく学生が奮闘。海洋ベントス学研究室では、4年生が学会に参加してポスター発表。

生物科学科の学生が多方面で活躍しています。その様子をぜひご覧ください。



   記事をまとめたページはこちら(タグごと、月ごとで記事をピックアップしています)


3年次の植物学実習




大学ホームページ記事からのピックアップ

 

動物生態学研究室(辻准教授)4年の富山さんがロードキル研究や学科のことについてインタビューに答えています。

富山愛加さん
「地元の問題に携われていることに喜びとやりがい」
 

 

学生が金華山での「鹿の角切り」に参加
【関連リンク】



ペデストリアンデッキが新しくなりました


2023年10月26日木曜日

堰は魚類の河川内移動を妨げるのか?:ニホンウナギを例にして(京都大学、久米学氏による講演)

 

10月17日(火)に、第90回のライフサイエンスセミナーを開催しました。


今回は、京都大学の久米学氏(フィールド科学教育センター・海洋生態系部門、特定助教)をお招きしました。

講演タイトルは「堰は魚類の河川内移動を妨げるのか?:ニホンウナギを例にして」です。

海洋生物コースの3年生は授業の一環として参加
積極的な1年生も参加していました
 

日本人にとってなじみ深いウナギ。稚魚であるシラスウナギは不漁が続いています。

そんなウナギの生態について、研究成果を交えて丁寧に話してくださいました。講演では、調査のため電気ショッカーでウナギを採集する様子や、ウナギが堰(せき)のぼる様子を捉えた動画も紹介。

堰の高さや堰の数がウナギの河川内移動にどのような影響を与えるのか? 大型個体、小型個体でどのような違いがあるのか? 多くの学生・教員が興味を持って耳を傾けていました。

講演後には、積極的に質問する学生の姿が

最新の研究成果を、直接研究者から聞く機会は学生にとって貴重な経験となったはずです。


#学生の声 を紹介します。
  • ニホンウナギと堰の関係性などについて、とても興味を持ちました。
  • 久米先生の研究内容や行動力などにとても魅力を感じました。ニホンウナギの生活史などについても個人的に調べていたので、とても面白い内容でした。
  • 川でスズキを釣るのが好きで、両側回遊魚のスズキはなぜ海と川を行き来するのか疑問に思っています。もし機会があれば両側回遊魚について研究してみたいです。
 

 

 

 

【関連リンク】 

 

久米学氏、個人のホームページ

 

ウナギ調査の様子 

フィールドでの奮闘が、とても分かりやすく紹介されています(田中三次郎商店のページ)

「言われたことをただやるのではなく、多少間違えてもいいから、自分で考え、意見を持つようになってほしい。」「フィールドにはさまざまな学びの要素があって、身近な自然の中で何かを発見する力も、コミュニケーションの力も磨かれるんです。」(本文より引用)

 

2023年10月18日水曜日

サイエンスを身近に 「ひらいてみよう!知の玉手箱」を開催

ベントス写真展の前で
ベントス研所属の3年生がアピール

準備や当日の説明に、多くの学生が協力してくれました


科学の魅力を知ってもらおうと、理工学部3学科合同のサイエンスフェス「知の玉手箱」を開催しました。10月7日8日の土日、石鳳祭(大学祭)との同時開催です。


当日は、子どもから大人まで、老若男女問わず、多くの方々にご来場いただきました。嬉しいことに、卒業生の姿もちらほら。教員との昔話に花を咲かせました。

 

生物科学科のブースでは、4つのコース「海洋生物・環境コース」「動物・植物コース」「微生物・生命分子コース」「自然科学コース」の魅力を玉手箱に。

地域の皆さまに楽しみながらサイエンスに親しんでもらうことを目的に、教員・学生がさまざまな企画を考えました。その一端を紹介します。

DNAストラップ・ファージストラップの作成

在学生や小学生に人気で、人が途切れることはありませんでした
受験を検討しているという高校生も来てくれました


今年も「ちいかわ」を描きました

モモンガ「おもしろそうだな」

自分好みの色で作成してもらい、それをプレゼント!
ファージストラップであれば、軽く1億パターン(本当)

2重らせん構造を模したDNAストラップは、
アデニンとチミン、グアニンとシトシンの塩基対を再現


「去年も作りました!」
「子どもが楽しめるのでありがたい」
といった地域の方のお言葉も

お手伝いの学生が小学生に丁寧に教えていました



透明骨格標本も展示
ウシガエルの幼生、アカガエル、メダカなど

トリプシンというタンパク質を分解する酵素で透明化


「つかめる水を作ろう」は小学生に人気!

アルギン酸ナトリウムの性質を利用したカプセル作り
(カルシウムイオンと反応して、ゲル化して固まる)


シカなどの全身骨格標本
今年の1年生が作ったものも展示

普段は学内の「標本展示室」で見ることができます


植物の種はどのように飛んでいく?
実際の種を飛ばして実験


「動物組織おみくじ」
実際の組織をテレビに写して解説


生物ポストカードをプレゼントしました
(植物、動物組織、寄生虫、大学風景など)


石巻専修大学ではどんな研究をしているの?

実物の「ヒゲカビ」を展示して、
生殖についての解説を行いました




育友会が餅つきイベントをして、お餅を配っていました
※育友会は、PTAの大学版のようなもの


外では、機械工学科によるミニ電車試乗体験
ライブを行ったアイドルも乗っていたようです


※ 今年は、お笑い芸人 四千頭身ちゃんぴおんず
アイドル EMPATHY などのライブがありました

学生もライブ等で活躍!
ダンス愛好会のインスタ には当日の動画も


とっても小さなロボットシステム
MEMS(メムス)の展示

ロボットについて水野先生と学生が解説
学生にとっては「伝える力」を養う機会に


おわりに

物理学者アインシュタインの言葉に次のようなものがあります。

The more I learn, the more I realize I don’t know. 

The more I realize I don’t know, the more I want to learn. 

「勉強して知れば知るほど、知らないことがどんどん増えてきます。そして、知らないことが増えるほど、もっともっと学びたくなるものです。」といったところでしょうか。

 

「知の玉手箱」での体験をきっかけに、サイエンスを学ぶことの楽しさにハマる人が増えることを期待しています。

 

石鳳祭の最後は、Switchなどが当たるビンゴ大会

最初に当選された方は遠慮して、
Switch以外のものを…(なんと優しい)

 

ご来場、ありがとうございました! 来年もお待ちしております。

 

 

「知の玉手箱」の内容が河北新報に取り上げられました




【関連リンク】

#地域×大学 #在学生 #卒業生

ベントス研 X(Twitter)でも当日の様子を紹介

 

 

 



2023年10月13日金曜日

3年次の動物学実習を実施しました(ネコ、ゾウリムシ、細胞性粘菌、そしてRNA)

8月30日、31日、そして9月22日の3日間、生物科学科の動物コースの3年生を対象に「動物学実習」を実施しました。

動物学実習は動物コースの学生のみ履修できるコースの特色が最もよく表れる実習です(旧カリキュラム)。

 

 

1日目 細胞性粘菌の単離・ゾウリムシの観察

 

8月30日は、

  • 阿部知顕先生の「土壌試料からの細胞性粘菌の単離」
  • 栁先生の「ゾウリムシの細胞構造の観察」

が実習として実施されました。最後には、翌日、田代島でのネコの行動観察のガイダンスが辻先生の説明のもと行われました。

土壌試料からの細胞性粘菌の単離」では、大学敷地内の植林、草地、花壇などから土壌試料を採取して培養することにより、細胞性粘菌を選り分ける単離培養法について学びました。

 

 


2日目 ネコの行動観察

8月31日に、昨年度に続いて田代島に行きました。

田代島は「ネコの島」として知られ、多くの観光客が訪れる場所です。百匹以上のネコが、島の人と仲良く暮らしています。

 

石巻から船に乗り、40分程度で島に到着しました。ここからてくてくと歩き、観察場所の「島のえき」を目指します。

道すがら、ネコたちに何度も出会いました。私たちがそばを通っても、逃げたりしません。この島のネコは人懐っこい個体が多いです。

 

ここが「島のえき」です。以前学校だった建物を、休憩所・カフェとして活用しています。

 

ガイダンス後に、さっそく観察開始です。今回の実習の目的は、

動物の行動サンプリングを体験する

ことです。1時間、好きな個体を選び、連続観察してもらいます。一頭を見失うことなく観察するのが大変だということを理解してもらうためのテーマだったのですが…ごはんタイム直前だったこともあり、ネコたちは「島のえき」周辺でゴロゴロ。教員の目論見は見事に失敗です。

 

午後からは、特にテーマを決めずに自由観察してもらいました。

「島のえき」のスタッフの方に名前を教えてもらい、個体差に関する調査を始めた学生もいました。

 

談笑する奈良先生とSA(スチューデント・アシスタント)たち。先生とゆっくりおしゃべりできるのも実習の良いところです。

 

実習の日はとても暑かったので、ネコたちはいつの間にやら林の中へ。それを追いかけて学生たちも林へ。

 

「うわぁ、可愛い!!」

 

「こいつ、ちゃんと日陰を探して寝てるよ」

 

気持ち良さそうに寝ているネコを見ていると、私たちも癒されます。


 

最後に管理人の犬塚さんと一緒に「島のえき」で記念撮影をしました。サポートありがとうございました!

 

 

 

 

3日目 細胞性粘菌の観察・RNAを目で見てみよう!

9月22日には、8月30日(1日目)に培養を開始した細胞性粘菌の観察を実施しました。

大学構内の様々な所から土を採取し、寒天培地にて培養していたものが、3週間も経つと粘菌が育っている様子が見られました。

※イメージ写真

 

午後には奈良先生の「RNAを目で見てみよう!」という実習が実施されました。

培養しているマクロファージ(白血球の仲間で細菌などをバクバク食べる細胞)から、RNAを取り出して、アルコールで処理後、遠心機にかけると白い塊としてRNAが検出される様子を体験しました。

 

 

まだまだ扱い慣れているとは言えないマイクロピペットを駆使して、最終的には参加者全員が取り出すことに成功しました。

 

 

動物コースの実習を体験して、皆、卒業研究でやりたいことが、はっきりとしてきたようです。

実習前に比べて、後期の授業をより集中して履修してくれることを期待しています。 

 

 

 【関連ブログ記事】 #実験・実習

 

 

2023年10月10日火曜日

日本ベントス学会で発表しました! ベントス研学生の学会参加レポート

 

海洋ベントス学研究室4年の小田晴翔と小林真緒です。

私たちは、9月1日~3日に北海道大学(函館キャンパス)で開催された「2023年 日本ベントス学会・日本プランクトン学会 合同大会」と、その前日に開催された「日本ベントス学会 若手の会」に参加してきました。

小田晴翔さん(左)、小林真緒さん(右)

 

ベントス学会はベントスに関する知識・情報の交換を通じて、研究者間の交流を深め、ベントス研究の総合的発展に寄与することを目的とする学会で、毎年、日本プランクトン学会と合同で大会を開催しています。

 


日本ベントス学会 若手の会

初日の若手の会は、北海道大学の臼尻水産実験所で開催され、34名の参加(そのうち29名が学生)がありました。

北海道大学の臼尻水産実験所

実験所の外はすぐ海です
 

若手の会では、学会以上に他の研究者と気軽に話すことができました。

参加者の方々は皆とても友好的で、すぐに輪に入れてもらうことができ、初めての参加でも楽しむことができました。研究紹介を軸に親睦を深める交流会もあり、他の方々の研究について沢山の話を聞くことができました。

研究についての意見交換だけでなく、普段の採集でのあるある話や趣味について話すなど、研究者同士の横のつながりを深めるきっかけになりました。

 

エクスカーションでは実験所の前で磯観察を行いました。

フィールドワークが大好きな私たちは北海道という地で全国の研究者と磯観察ができるという夢のような時間を存分に楽しみました。

 

若手の会に参加して横のつながりを深めたことで、それ以降の学会も楽しむことができ、来年の参加も待ち遠しくなりました。

ベントス学会若手の会
参加者の集合写真




日本ベントス学会・日本プランクトン学会 合同大会

学会では、ベントスという共通の対象を研究していながらも、扱う分類群が違っていたり、研究分野も分類学や生態学、行動学など多様な観点からアプローチした研究が行われていたりと、日頃からフィールド調査などでベントスに触れている私たちでも、全てが新鮮に感じました。

 

自分の卒業研究とは直接関係のない話であっても、研究手法や発表の仕方など、大変勉強になる研究発表がたくさんありました。

研究デザインやスライド作成のレベルの高さを痛感し、自分の研究デザインや研究計画を再度見直すきっかけとなりました。

 


私たちは以下のタイトル・内容でポスター発表を行いました。


小林 真緒

東北地方におけるHeteromastus属多毛類(イトゴカイ科)のDNA解析による分類学的検討

イトゴカイ科Heteromastus属の多毛類は、東北の干潟に多く生息していますが、分類学的問題から現状では種同定が困難な状況です。

私の研究では、青森県から福島県まで様々な地点から採集したサンプルのDNA解析を行い、分類の検討を行いました。

その結果、別種レベルに相当する遺伝的な違いが見られる5系統が確認され、予想以上に多様性が高いことが分かりました。

調査域を広げ、より多くのサンプルを解析することで、新しい系統が発見される可能性が期待できるため、今後も研究を継続する予定です。 




小田 晴翔

宮城県舞根湾で採集されたクサフグの口腔内に寄生していたウオノエ科等脚類について

舞根湾の調査中に採集したクサフグの口腔内にウオノエ科等脚類が寄生していたことを発見しました。

DNA解析と形態観察を行った結果、2021年に新種記載されたばかりのフグノクチヤドリであると同定されました。

クサフグがウオノエ類の宿主となるのは今回の研究で初めての報告になります。また、フグノクチヤドリの北限記録を大幅に更新しました。



私たちは初めての学会参加でしたが、緊張しながらも自分らしく伝えることができました。その際、発表に対して様々なコメントやアドバイスをいただき、今後の研究に活かせることも多く、大変勉強になりました。

初めはとにかく緊張していたのですが、たくさんの人に発表を聴いてもらううちに楽しめるようになり、また来年も発表したいと思いました。



石巻専修大学からはこの他、以下の発表がありました。

  • 阿部博和准教授「スピオ科多毛類における生殖群泳と生殖変態の発見」
  • 小林元樹研究員「DNAリファレンスデータベース構築から見えてきた干潟の環形動物の多様性」
  • 太田尚志教授「沿岸プランクトン生態系に及ぼすスギ花粉の影響2―動物プランクトンの成長、生残、繁殖について―」(プランクトン学会側での発表)
ポスター発表中の阿部博和准教授

口頭発表中の小林元樹研究員
個人のホームページはこちら



初めての学会参加でしたが、研究者同士の繋がりが強い学会だと思いました。

学会を通じて、ベントス学を盛り上げようという熱い想いを沢山の方々から感じました。学会に参加することで様々なものを得ることができましたが、何よりも他のベントス研究者と交流し、繋がりができたことが1番の収穫です。

多方向からの意見や、専門家の方々からのアドバイスを頂けたことで、今後の研究の具体的なビジョンが見え、研究のモチベーションが上がりました。 

小田さんの卒業研究はクロベンケイガニ

私たちは学会に対して敷居が高いというイメージを抱いていましたが、実際に参加してみると同年代の学生研究者と意見交換をして仲良くなれたり、様々な研究者のすごい発表が聴けたりと、とても楽しむことができました。

是非とも学部生のうちから学会に参加してみましょう!視野が広がり、自分の興味を引くテーマに出会え、卒業研究の具体的なイメージを持つことができると思います。

また、わかりやすいスライドの作成や内容の伝え方など、 社会に出てからも役立つスキルを身に付けるきっかけになるかもしれません。

Heteromastusのポーズを決める小林さん
(左手は前口葉を表現しています)

 

 

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#海洋ベントス学研究室 #卒業研究 #学生の声

 

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