2023年10月5日木曜日

3年次の植物学実習は泊まりがけでじっくりと

 7月1日(土), 2日(日)に植物コース3年次の植物学実習が実施されました。

1日目は二口渓谷、2日目は蔵王山で植物の生態や高山植物の観察を行いました。


事前授業で高山植物相の特徴や渓畔林の重要性、そして安全対策をしっかり学んでからの実習です。




1日目・二口渓谷

二口渓谷は急傾斜の渓流沿いにある渓畔林です。樹木の種類が多く、渓流の水質の調整や水棲昆虫の多様性にも影響するため、種多様性の保全にも重要な区域です。


雨上がりの森の中
樹皮に残る雨の跡と地衣類を観察


見上げるとぽっかりと空いた林冠

大木がバキッと折れて出来た
(林冠)ギャップでした
高校の教科書に載ってた!と
テンションが上がる学生たち
近くには若くてまだ小さな木がいっぱい
こうやって森林は更新されていきます
オニグルミ
(Juglans mandshurica var. sachalinensis)

割るとこんな感じ
まだまだ食べられませんね

こちらはサワグルミ
(Pterocarya rhoifolia)
長い果穂が特徴です
同じクルミでも全然違います

ベニチャワンタケ科
シロキツネノサカズキ属のキノコ
ちっちゃい!!!


イチヤクソウ(Pyrola japonica)発見

ツヤツヤの葉と白い5弁の花が
愛らしいですが
菌根植物のため栽培は難しく
なかなかのレア植物です


シダ類の同定は
葉の裏の胞子がポイントのひとつ

クモキリソウ(Liparis kumokiri)

マタタビ(Actinidia polygam)は
花が咲く時期になると
一部の葉が白くなり
遠くからでもよく目立ちます

マタタビの雄花
雄しべだけなので実は成りません

お昼ご飯を食べて記念撮影

タマガワホトトギス(Tricyrtis latifolia)
涼しくて湿気の多い沢沿いの林を好む
渓畔林の二口渓谷らしい花です

キツリフネ (Impatiens noli-tangere)

どちらも紫色の花の方がメジャーですが黄色の花は夏らしくて目を引きます。
例年は見ることができなかった花なので今年の学生はラッキーでした。

宮嵜先生が橋の上で川を見ていると思ったら
あんなところにサルノコシカケが!

夜はバーベキュー
外とロッジの中とでまったりと

先生たちとゆっくり話せるのは
泊まりがけの実習ならではですね

2日目・蔵王山

お釜(火口)の周辺と御田の神湿原で植物の観察を行いました。

ミヤマヤナギ
綿毛の中には種子があり風散布します

中川先生が研究材料にしている
ミヤマオダマキ

(Aquilegia flabellata var. pumila)
左のスマートフォンはスケールマーカー

にやにやと何を楽しそうに
撮っているのかと思ったら
宮嵜先生のサービスショットでした

蔵王山といえばコマクサ
(Dicentra peregrina)

奥に見える建物が出発した駐車場です
いっぱい歩いたような近いような
雄大な景色を見ながら昼ごはん
お弁当は朝にみんなで作りました

紫色のハクサンチドリ(Dactylorhiza aristata)
ピンク色のイワカガミ
(Schizocodon soldanelloides)

白く清楚なオノエラン(Galearis fauriei)

御田の神湿原】
湿原を守るため木道の上を歩きます

ウラジロヨウラク(Menziesia multiflora)
ガクウラジロヨウラクの蕾
(Menziesia multiflora var. longicalyx)
ウラジロヨウラクの萼が長い変種です

湿原といえばワタスゲ
(Eriophorum vaginatum)
ふわっふわの綿毛がかわいい!!!

チングルマ(Geum pentapetalum)

咲きかけのサワラン(Eleorchis japonica)

細い道を抜けて帰ります

天気も良くいっぱい花が見られて楽しい実習でした。

 

 

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