ラベル #実験・実習 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #実験・実習 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年10月20日火曜日

【3年次・植物学実習】蔵王山は花の宝庫

 

6月20日(土)、21日(日)に3年次の植物学実習が行われました。

動物・植物コースだけでなく、自然科学コースや微生物・生命分子コースの学生も参加し、14名での実施となりました。

 

残念ながら2日目の日曜日は大雨で二口渓谷での実習は中止になってしまいましたが、1日目の蔵王山はお釜付近だけでなく御田の神湿原も刈田嶺神社の参道も駒草平も、近年稀に見る満開の花々で大変充実した植物観察実習にみんな大満足でした。


蔵王山の御田の神湿原
生態系を守るため木道の上を歩きます

鈴のようなサラサドウダン
(Enkianthus campanulatus)

萼がピンピンと目立つガクウラジロヨウラク
ウラジロヨウラクの変種です

携帯顕微鏡を使って
小さな小さな地衣類を観察
見えますか?



コバイケイソウ(Veratrum stamineum)が
こんなきれいに咲いているのは
この10年で初めてでした

チングルマの花(右)と雌しべが伸びた綿毛(左上)
名前の由来はこの綿毛から


オオシラビソ(Abies mariesii)には
大きな松ぼっくり(球果)が
クリスマスツリーのオーナメントに使われることも
オオシラビソはハイマツと並んで蔵王山の代表的な樹です


マイヅルソウ (Maianthemum dilatatum)

ベニバナイチヤクソウ
(Pyrola asarifolia subsp. incarnata)
これもツツジ科です

ズダヤクシュ (Tiarella polyphylla)
漢字では喘息薬種
ズダは喘息の方言で
喘息の薬として使われていました


砂礫の中で咲き誇る
コマクサ(Dicentra peregrina)


駒草平はコマクサの保全区域となっています



学生の感想

  • 蔵王という厳しい環境で生き抜くために様々に形質を変え、適応していき、それを目で見て感じることが出来た。
  • 場所が少し変わるだけで生育する植物の種類がこんなにも変わることに驚いた。
  • 実際に高山植物が生えている生育環境の中で観察できて、なぜその特徴を持つようになったのか考える良い経験になった。
  • 風が強いところの植物がどれも背が低く地を這うようだったのに対し、風が穏やかな湿原は比較的背が高い植物が多かった。植物が環境に合わせて形を変えていっているのを感じた。

 

  • とても寒冷な環境下で単独ではなく、様々な種と群落を作り生息しており、この厳しい環境で生き抜くためにお互いに協力し相互作用しながら生息しているのではないか。
  • 調べてみたら絶滅危惧種だった種が思っていた以上に多く、あの辺り一帯が保護区になっていることに納得した。
  • 普段あまり観察することのできない植物の自生地での姿を観察することができて興味深かった。
  • 野生のモウセンゴケを見れてすごく驚いた。 

  • 見た目がよく似ているウラジロヨウラクとガクウラジロヨウラクとヨウラクツツジのDNAの塩基配列にはどのような違いがあるのか研究してみたい。
  • ツツジ科の花がいっぱいあったが、種の判別が難しかった。

 
 
 

生物科学科をもっと知る



【関連ブログ記事】

 #実験・実習 #学生の声 #動物・植物コース

 

2026年10月9日金曜日

【3年次・動物学実習】組織を厚さ3 μmに 組織標本作製からRNA抽出までを体験

 

7月21日(火)、22日(水)の2日間、奈良英利教授(動物機能組織学)の担当で「動物学実習〜組織学〜」が実施されました。

今回の実習では、組織標本の作製からRNA抽出まで、実際に手を動かしながら基礎技術を体験しました。 

1日目の組織標本作製、2日目のRNA抽出の様子と、参加した学生の声をお届けします。 

 


1日目 組織標本作製実習

動物組織の標本作製は「切り出し→固定→脱水→包埋→薄切→染色」 という手順で行われます。

今回の実習では、組織を包埋してあるパラフィン(ロウのような物質)のブロックから、厚さ3 μmに切り出しプレパラートに貼り付ける実験と、既に貼り付けてある組織片に染色液で色をつける染色実験が行われました。



ニホンジカの骨格筋

最初にパラフィンを溶かす通称「脱パラ」という作業を行います。

キシレン、アルコールと順番に漬けていくことで、徐々にパラフィンが溶け、組織が水に馴染みやすくなります。染色液は水溶性ですので、この過程をいい加減にすると、染色液が組織の中に入っていきません。

 

「脱パラ」が終わったら染色です。

染色実験では、厚さ3μmに薄切されたニホンジカの筋肉組織が、あらかじめプレパラートに貼り付けてある状態からスタートしました。これはSAの大村 優翔くん(4年生)が準備してくれました。 

奈良研のスーパーエース
大村くんの日常の実験風景


今回は最も一般的な ヘマトキシリン-エオジン(H-E)染色を行いました。ヘマトキシリンで核を染色し、エオジンで細胞質を染めます。

しかし、それで終わりではありません。その後、脱水を行い、「透徹」という作業をします。これにより組織がよりクリアにはっきりと見えるようになります。もし、脱水がうまく行っていなければ透徹用のキシレンが白く濁り、最初からやり直しです。

 

そして最後に封入です。

ここまで頑張って作ったプレパラートを保護するためにカバーガラスを掛けて終了です。皆さん、せっかく染色したプレパラートですので、慎重に封入をしてくれました。観察は翌日です。

染色したプレパラートにカバーガラスをかけて封入する作業

田口育くん(左)、真剣そのもの
福田萌夏さん(右)の恐る恐るといった雰囲気
いいですねぇ〜 

はい、終了です
最初の無色透明のものと比べてみてください

 

染色では待ち時間が結構生じます。その間、同じ班の人に染色の作業は任せて「薄切」の体験です。

ミクロトームを軽やかに?
扱う及川美紀さんと見守る佐藤和歩さん

ミクロトームは数μm単位にスライスする機器
(いわば、超高精度なカンナ)

薄切なんて朝飯前の大村くん(右)に見られて(見つめられて)、
緊張気味に薄切を行う田口晃那さん(左から2番目)


この過程は完全手作業であり、いわゆる技術がものを言います。今どきのタッチパネルで自動的になどという甘い世界ではありません。みなさん四苦八苦しながらプレパラートを作ってくれました。

なお今日の染色実験のために大村くんはこれを40枚ほど準備してくれました。感謝です。



2日目 RNA抽出実習

昨今、なんでもキット化され、簡単な英語さえ読めれば(さらに日本語に訳してあれば)、動物の組織からRNAを取り出す作業は比較的簡単です(「如何に昨今のキットが優れているか」という意味)。ですが、それでは授業になりません。

 

今回はTrizolという試薬を使い、全てマニュアルで作業することに挑戦しました。

正確なピペット操作が求められ、さらに安全性を考慮に入れる必要があります。そうです、Trizolは劇物指定を受けた試薬です(さらに高価!)。この試薬をドバッと使えるのが少人数で実施する動物学実習の醍醐味です。皆が安全に実験できるよう厳重に注意を促した上、ゴム手袋を支給しました。

 

また今回は最後にRNAの純度を測定します。

RNA抽出は如何にピペットを上手に使えるかも重要になります。その結果、最終的に得られたものの純度が変わってきます。RNAの場合、吸光度(どれくらい光を吸収したか)の比率260/280が2.0前後なら純度は合格です。

次の行程を予習する?三宅穂波さん(手前)

通常キットを使ってRNA抽出を行っている
鈴木麻弥先生(右、宮城県食肉衛生検査所 所属)も
Trizol法を習得するために特別参加

 
レジュメを見ながら丁寧に作業をする橋本航くん


細かい過程は割愛しますが、最終的にみなさん吸光度260/280が1.9〜2.0の間となり、高純度のRNAを抽出することができました。

なお余談ですが、吸光度260/280の値が最も2.0に近かったのは、特別参加の鈴木麻弥先生でした。流石!



参加した学生の感想


青野夢生さん

一番難しかったのはミクロトームを使った切り出し(薄切)。先輩にコツを教えてもらっても中々うまく行かず、早くすると丸まってしまうし、ゆっくり過ぎると途中で刃が止まってしまうので、そのちょうど良い塩梅を見つけるのが難しかった。最終的にプレパラートに貼り付けられる1枚ができたのでよかった。

 

菅原実咲さん

組織標本の薄切は綺麗に薄く切るのは難しかったけど、うまく切れたので嬉しかった。RNAの抽出は純度が低く出たので(タンパク質やTrizol中のフェノールの混入が原因で起こる)、しっかり作業できるようになりたいと思った。



細胞生物学実習も実施!

3年次の動物学実習は、同じ日程で細胞生物学実習も行いました。ある物質が細胞や組織のどこに存在しているのかを可視化するために使われる「間接蛍光抗体法」を体験しました。

ゾウリムシの大核と小核が発光
 

野外実習も実施! 

7月30日には石巻市内の2カ所の森林での野外実習を実施しました。シカの生息密度の違いが森林に与える影響について理解することが目的です。

昨年度の様子 ↓↓↓


金華山のニホンジカ(撮影:高槻成紀氏)



生物科学科をもっと知る

生物科学科では、生き物を観察するだけでなく、組織・細胞・遺伝子などさまざまなレベルから生命現象を学びます。



【関連ブログ記事】

#実験・実習 #動物・植物コース 

2026年10月6日火曜日

磯の生き物を探せ! 3年生が「ベントスクエスト」に挑戦(海洋生物・環境科学実習)

 

7/11(土)の地曳網実習に続き、8/12(水)に「海洋生物・環境科学実習」の第2弾として、大室磯浜でベントス(底生生物)に関する実習を行いました。

実際にフィールドに出て、さまざまな生物とそれらが棲息する環境の特徴を実際に目で見て把握することで、海洋生態系に対する理解を深めることが目的です。

ただ観察するだけではなく、無脊椎動物学や海洋生態学などの講義で学んできた様々な知識を有機的に結びつけて、理解を深めます。

 

大室磯浜へ 

ベントス実習は、石巻市北上町十三浜にある大室漁港の外側に位置する磯場(通称:磯浜)で実施しました。

この日は台風が過ぎ去った直後で波の高い日でしたが、磯浜を囲う岩礁域が天然の防波堤としてはたらき、外洋からの波を和らげてくれました。


 

「ベントスクエスト」に挑戦! 

実習では、学生たちが4~5名に分かれて8つのパーティーを組み、FランクからSSSランクまでのミッションを順にクリアしていく「ベントスクエスト」を行いました。

 

ミッションは、特定のベントスの種類を見つけたり、紛らわしい種類を見分けたり、複数の動物門を探したり、同じグループに属する種を指定の数だけ見つけたりと、3年生にとってはどれもこれまでに経験したことの無いような内容でした。

お題のベントスがみつからず苦戦する学生たち

Eランククエストをコンプリート!
タマキビ、アラレタマキビ、クロタマキビ

磯のどこにいる? 

種類によって生き方や生活場所が当然違ってくるので、目的の生物を見つけるためには、どのような場所に生息しているのかを理解していく必要があります。

波打ち際を探したり…

海面よりもだいぶ高い位置を探したり…

4年生・大学院生がサポート 

3年生だけではクリアすることが難しいミッションは、各班を担当するSA(4年生)とTA(大学院生)の学生がヒントを出しながらサポートを行いました。

4年生の二階堂優和さん(手前の帽子の学生)は
昨年の本実習と1年間の研究室での学びの経験を活かして
立派にSAをこなしてくれました

大学院博士課程に在籍する
非常勤助手の小田晴翔さん(手前)は
本実習のTAは今回で4回目
完璧に仕事をこなしてくれました

みつけたベントスはバケツに入れてキープ

台風の後だったので
打ちあがったマボヤもみつかりました

飛沫帯の転石下深くに生息する巻貝類を探す3年生たち


SSランク・SSSランクのベントスを発見!

SSランクのオオウスイロヘソカドガイ
(手前の個体:宮城県レッドリストで準絶滅危惧)と
キントンイロカワザンショウ(奥の個体)を発見!
 
SSSランクのヤマトクビキレ
(宮城県レッドリストで絶滅危惧II類)も発見!
宮城県では希少な種ですが
生息場所が分かれば比較的容易に見つけられます

今回はほとんどのパーティーがSSSランクのクエストまでクリアしてくれました!

学生たちは磯場に生息する生物の多様性に興味津々で、クエストの対象となったベントス以外にもさまざまなベントスたちを観察してくれました。



磯にはこんなにたくさんの生物が!

学生たちが見つけたベントス 


節足動物門

アカイソガニ
ヒメアカイソガニ
ヒライソガニ
イソガニ
イワガニ
オオヨツハモガニ
シワオウギガニ
ホンヤドカリ
ケアシホンヤドカリ
ホシゾラホンヤドカリ
ケブカヒメヨコバサミ
イソカニダマシ
イワフジツボ
クロフジツボ
イソコツブムシ属の一種
ニセスナホリムシ
キタフナムシ
ヨコエビの仲間

ヒメアカイソガニ

軟体動物門
ヒザラガイ
ヒメケハダヒザラガイ
タマキビ
アラレタマキビ
クロタマキビ
イシダタミ
クビレクロヅケ
レイシガイ
イボニシ
アオモリムシロ
オハグロシャジク
マツバガイ

マツバガイ

ベッコウガサ
ヨメガカサ
コガモガイの仲間
アオガイ
クサイロアオガイ
キクノハナガイ
キントンイロカワザンショウ
オオウスイロヘソカドガイ
ヤマトクビキレ
ヒラスカシガイ
アメフラシ
アカザラガイ
イガイ
ムラサキインコガイ

環形動物門
イソゴカイ属の仲間
オイワケゴカイ

刺胞動物門
ヨロイイソギンチャク
ミドリイソギンチャク

棘皮動物門
イトマキヒトデ
ヒメヒトデ
バフンウニ
キタムラサキウニ
イシコ

イトマキヒトデ

ヒメヒトデ

外肛動物門
コケムシの仲間

海綿動物門
ダイダイイソカイメン

尾索動物門

マボヤ

脊椎動物門
ナベカ
アゴハゼ

ダイダイイソカイメン



実習での気付き 学生コメントより
採集クエストを実際に行ってみると、比較的小さな範囲であっても、さまざまな種類の生物が生息していることに気づきました。
普段は何気なく見ている場所でも、注意深く観察することで多くの生物を発見することができ、身近な環境にも多様な生物が存在していることを実感しました。


今回の実習を通して最も印象に残ったことは、一見すると何もいないように見える磯にも、実際に詳しく探してみると非常に多くの生物が生息していたことである。
実習前は、磯で見つけられる生物としてカニや大きな巻貝などをイメージしていた。しかし、岩の表面や隙間、転石の下などを注意深く観察すると、小型の巻貝やヒザラガイなど、普段は気づかないような生物を数多く確認することができた。


同じ磯の中でも生息場所が少し変わるだけで確認できる生物が変化したことから、生物の分布には水分、波、乾燥、岩の形状など複数の環境要因が関係していると考えた。特に転石の下には表面とは異なる生物が見られたため、小さな環境の違いが生物多様性を生み出していることを実感した。
特に印象に残ったのは、外見が似ている生物でも、細かく観察すると異なる特徴を持っていたことである。
例えば巻貝類では、殻の形だけでなく、殻表面の模様、色、殻の高さなどに違いが見られた。単に「巻貝」として見るのではなく、形態的な特徴を比較することが種を判別するうえで重要だと感じた。
今回の採集を通して、ベントスを発見するためには、生物そのものの特徴を知るだけでなく、「その生物がどのような場所を好むのか」を考えながら探すことが重要だと学んだ。
クエスト形式で採集することで、普段なら見落としてしまうような小型の生物にも注意を向けることができ、磯には想像していた以上に多くの生物が生息していることを実感した。
今回の実習によって、ベントスの種類を覚えるだけではなく、生物の形態、生息場所、生活様式を関連付けて観察することの重要性を学んだ。
今後、生物を観察するときには、単に種類を確認するだけでなく、「なぜこの場所にいるのか」「その体の特徴が環境の中でどのような役割を持つのか」という視点を持って観察したい。
  

 

3年生は後期からいよいよ研究室配属(研究室一覧)。

実習で学んだ自然の見方・考え方を、卒業研究にもぜひ活かしてもらえればと思います。

 

 

次は伊豆沼へ! 

9/26(土)には、海洋生物・環境科学実習の第3弾(湖沼編)「伊豆沼の生物資源保全に関わる野外実習」が行われました。

2026年度の入学者のカリキュラムからは、海洋生物・環境科学実習は「海洋生物学実習」と「環境科学実習」に分かれています。

過去の様子はこちら!


生物科学科をもっと知る

 

【関連ブログ記事】 

#実験・実習 #学生の声 #海洋生物・環境コース