2026年10月13日火曜日

震災後に形成された「イトヨの交雑集団」を約10年間ゲノム追跡 国際誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載

撮影:秦康之氏
 

東日本大震災の津波によって生じた新たな水域でイトヨとニホンイトヨの交雑集団が形成されました。

久米学准教授(魚類生態学)は、国立遺伝学研究所の細木拓也博士(現 北海道大学特任助教)、北野潤教授を中心とした、北海道大学、岐阜協立大学、京都大学、名古屋大学、慶應義塾大学、東京大学、東京海洋大学などからなるチームで共同研究。

約10年にわたるゲノム追跡によって、異種ゲノムが排除される過程を捉えました。その成果が9月25日、 国際誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されました。

 

  • 著者:Hosoki, T. K., S. Mori, K. Kagawa, S. Nishida, M. Kume, A. J. Nagano, H. Kanbe, R. Kakioka, K. Nakamoto, Y. Iino, M. Kodama, S. Oba, T. Seong, N. Kabeya, A. Ishikawa, K. Yoshida, Y. Y. Yamasaki, and J. Kitano 

津波により、淡水性魚類のイトヨと
海洋性魚類のニホンイトヨが町の中心部へ
(イラスト:きのしたちひろ)
 

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う大津波により、岩手県大槌町は甚大な被害を受けました。

それにより、町の市街地にはこれまでになかった新規の水域が現れ、そこに流れ着いた淡水性イトヨとニホンイトヨが交雑集団を形成しました(Kume et al. 2018 Scientific Reports 8: 1684)。

10 mを超える津波に襲われた岩手県大槌町

震災により街中にできた水域での調査


本研究では、震災前から震災後約10年の標本からゲノムデータを解析し、たったの10年の間に交雑集団のゲノムからニホンイトヨのゲノムが排除され、淡水性イトヨのゲノムが維持されたことを明らかにしました。

この発見は、種の維持機構の解明に重要な示唆を与えるものです。

イトヨとニホンイトヨの雑種


詳しくは国立遺伝学研究所のプレスリリースをご覧ください。

 

久米准教授のコメント

私たちの研究チームは、震災当初から大槌町を訪れて「震災が生物や生態系に与える影響」を調べてきました。その集大成とも言える成果を公表できたことを嬉しく思います。
復興の過程を見てきたこともあってか、いつしか思い入れの強い街となった大槌町に少しは貢献できたのかな、と思うと感慨深いものがあります。今後も継続的に調査をし、成果を出すことで大槌町に貢献していきたいです。



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