2022年6月28日火曜日

猪突猛進!

 4月から修士課程の1年生が作業を進めていた、イノシシ(Sus scrofa)の全身骨格の組み立てが完了しました!福島県で有害駆除された個体を引き取って標本化したものです。肉塊からの骨の取り出し作業を入れると、半年がかりの作業でした。

イノシシの駆除個体(実際には、ある程度まで処理された状態で引き取っています)。イノシシによる農作物被害はニホンジカ(Cervus nippon)に次ぐ規模。個体群の科学的管理が求められています。詳細は、3年生後期の『野生動物保護論』を受講してください。

このままだと大きくて鍋に入りませんので、ある程度の大きさに切り分けます。左の肉隗は俗にいうバラ肉。右はカタ肉です。

徐肉した骨を茹であげたところです。ラーメン屋さんのような、いい匂いがしました。

タンパク質分解酵素の入った溶液に数日漬けて、細かい肉片を分解します(クリーニング)。

「煮込み」と「クリーニング」を繰り返し、乾燥させた状態の骨です。順番に並べ、マーカーペンで番号を付けていきます。


こちらは肋骨。

背骨の連結が完了しました。椎間板の代わりに、ゴムの板をはめ込んで柔軟性を出しています。細い針金を2-3本通せば、背骨がしっかりとつながります。

前腕を結合したところです。上から肩甲骨・上腕骨・前腕骨(橈骨と尺骨2つでワンセット)です。上腕骨は、豚骨ラーメンのスープを取る『ゲンコツ』と呼ばれる骨です。

後肢骨のつながりを確認中。

本体に肋骨を取り付けます。このあとで胸骨を結合します。


本体に四肢を取り付け、全体的なプロポーションを調整します。もう一息。

頭骨を取り付けて、完成!!M1のみなさん(中川研:工藤君、奈良研:相原さん、高崎研:新井君、辻研:伊藤君)3か月間の作業、お疲れさまでした。

昨年度に製作した二ホンジカ(Cervus nippon)と比べ、ガッチリした体格です。今にも突きかかってきそうで、迫力があるでしょう?

・シカの蹄が2本なのに対してイノシシは4本

・イノシシには、鋭いキバ(犬歯)がある

・シカに比べ、イノシシの首は短く太い

など、同じ日本産の偶蹄類でも、両者には形態的な特徴に違いがあります。


今回のイノシシを含め、これまでに製作した骨格標本はすべて生物科学科の標本展示室で公開しています。オープンしてそろそろ一年。展示物が少しずつ増え、ちょっとした『動物園』のようになってきました。講義の合間に、ぜひ覗きに来てくださいね。


【COMING SOON !!】

さて、これはいったい、何の骨でしょう? この「謎の動物」をはじめ、新たな骨格標本を鋭意製作中。製作スタッフも大募集中です。興味のある人は、毎週木曜日にS4までお越しください。