2021年7月27日火曜日

金華山島の自然

私たちの調査地の一つが、牡鹿半島の沖に浮かぶ金華山島です。この島には、ニホンジカとニホンザルなど、多くの動物が生息しています。コンパクトな生態系ゆえに「生き物のつながり」を研究するうえで絶好の場所です。この島の自然を紹介しましょう。

ニホンジカ (Cervus nippon)

金華山島には、500頭を超える野生のニホンジカが生息しています。

多くの植物が、実をつけ始めました。夏から秋にかけて、サルの重要な食物となります。

オオウラジロノキ(Malus tschonoskii)。リンゴの仲間。

クマヤナギ(Berchemia racemosa)。
赤~黒に熟した果実は、サルの夏の主要な食物となります。

ブナ(Fagus crenata)。島の動物たちの命を支える重要な堅果類。
数年に一度の周期で豊凶を繰り返します(今年はどうやら豊作のようです)。

カヤ(Torreya nucifera)。果実のように見えるのは仮種皮。
秋になると、サルはこの種子を拾って食べます。

ホオノキ(Magnolia obovata)。大きな葉をつけます。
サルはこの葉をバリバリと大きな音を立てて食べます。

クマノミズキ(Swida macrophylla)。

ニガイチゴ(Rubus microphyllus)。梅雨どきが果実のシーズン。

ダキバヒメアザミ(Cirsium amplexifolium)。シカの採食圧に対抗するために、鋭いトゲを発達させています。

ガマズミ(Viburnum dilatatum)。赤く熟した秋の果実は、サルの大好物。

マツブサ(Schisandra nigra)。大きな果実をつけます。

サンカクヅル(Vitis flexuosa)。野生のブドウの仲間。

アオダモ(Fraxinus lanuginosa)。
硬い材は野球のバットに使われます。
 

外来種のヨウシュウセイヨウアサガオ(Datura stramonium)。
工事車両に紛れて入り込み、数を増やしています。在来植物への影響が心配されます。


おっと、危ない!毒蛇のマムシ(Gloydius blomhoffii) がとぐろを巻いていました。

血を吸って風船のように膨らんだヤマビル(Haemadipsa zeylanica)。
調査中の厄介者ですが、彼らも生態系の一員です。

サルの糞に集まってきた糞虫類(センチコガネ類とエンマコガネ類)。
生態系における「分解者」としての役割を担っています。

歩いていたら、シカの死体を発見しました。春先に食物不足で倒れた個体のようです。
数カ月もたてば、このように白骨化します。