2022年7月11日月曜日

【動画あり】潮間帯生物の帯状分布調査と五感を研ぎ澄ました自由観察 1年次の海洋生物実習を実施(渡波海岸チーム)

 

1年次の「野外生物実習」の最後を飾った海洋生物実習。

万石浦チーム に続いて、渡波海岸チームの様子を紹介します。

実習動画ができました!

動画用のドローンを飛ばす太田先生


渡波海岸は万石浦と石巻湾を繋ぐ水路部に形成された磯場で、狭い範囲に多様な生物が生息する場所です。大学から20分程度の距離で、教科書のような潮間帯生物の帯状分布が観察できます。

 

学生は8つの班に分かれ、前半と後半で帯状分布調査と自由観察を交代で行いました。

岩には固着生物がびっしりです。マガキやムラサキガイ、ムラサキインコガイ、緑藻類などが目に入ります。

 

よく観察すると、イソガニ(左上)やイワフジツボ(右上)、ヒザラガイ(左下)、カサガイ類(右下)も見つかります。

 

 オオヘビガイの殻の中からナベカが実習の様子を覗いています。

 


帯状分布調査では、コドラート(方形枠)を用いて、枠内の固着生物の種ごとの被覆度を記録していきます。これを垂直方向に3ヶ所行い、潮間帯の上部、中部、下部で生息する生物の違いを評価していきます。

 

帯状分布調査のすぐ横では、それぞれが思い思いに生物の観察や採集を行っています。

網を使っての生物採集では、アカオビシマハゼやカズナギなどの魚類や、アシナガスジエビ、トゲクリガニ、ヒラトゲガニ(イボトゲガニ)などの甲殻類が採集されていました。

 

石をひっくり返したり、シャベルで砂を掘り起こしたりして生物を探しています。ミズヒキゴカイ科やタマシキゴカイ科の多毛類や、アサリ、マテガイなどの二枚貝類が採集されました。

 

 

学生が「これなんですか?」と見せてくれたのは、宮城県のレッドリストで絶滅危惧種 II 類に指定されているスジホシムシモドキです。なんと体表には微少な二枚貝が付着しています!

スジホシムシモドキにはスジホシムシモドキヤドリガイという環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されている二枚貝が共生することが知られていますが、これまで宮城県内からの記録はないようです。本当にスジホシムシモドキヤドリガイかどうか、詳細に検討する必要がありそうです。

 

ベントス研のツイッター では、調査の様子や色々なベントス動画をアップしています。

 


巨大なカサガイ類、サルアワビも見つかりました。軟体部はきれいなオレンジ色です。

 

 こちらはイソヘラムシ。ダンゴムシやフナムシと同じ等脚類です。

 

 

1年生にとってはどれも初めて見る生物ばかり。どの学生も生物多様性を五感で感じているようでした。

 


実習に同行していた4年生も生物採集に夢中になっていました。


  

 


  野外生物実習まとめ 

1年次の実習は海洋生物、動物、植物の計3回

(海洋生物、動物は2チームで実施)

 

海洋生物実習(渡波海岸チーム)

 

海洋生物実習(万石浦チーム)



動物実習(観察班)

 

動物実習(測定班)

 

 

植物実習

 

 

 

【大学ホームページ関連記事】 それぞれに学生のコメントが載っています

大学HPより

大学HPより