9月13日(金)から9月16日(月)まで、島根大学 松江キャンパスにて「2024年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会」が開催。
海洋ベントス学研究室と海洋浮遊生物学研究室の学生6名が参加し、発表を行いました(大学院生5名・学部生1名)。
日本プランクトン学会と日本ベントス学会は、海洋生態系の中で密接に関係するプランクトンとベントスに関する知見、情報の交換を通じて研究者間の交流を深めるために、毎年合同で大会を開催しています。
初日(9/13)は公開シンポジウム「小型ベントス・プランクトンの系統分類と生態」の後に、学生たちは「日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同若手の会」に参加し、他大学の学生や若手研究者との交流を深めました。
初日に若手の間でつながり深めたことで、学会中も若手の交流が活発に行われていました。
「ウェルカニ!」 |
2日目(9/14)は学生たちの発表日。
石巻専修大学からは以下の発表を行いました。
大見川 遥(ベントス) 修士1年 イソコツブムシ類の球体化による捕食回避機能の評価 |
大山 雄太郎(ベントス) 修士1年 宮城県金華山島における海藻群落の季節的消長 ―ニホンザルにとっての採食可能性の検討― |
小林 真緒(ベントス) 修士1年 Heteromastus 属多毛類のDNA解析と 系統間の形態的差異の検出の試み |
小田 晴翔(ベントス) 修士1年 クロベンケイガニの「すね毛」の雌雄差 |
高橋 陽大(ベントス) 4年 |
畠山 紘一(プランクトン) 修士1年 気仙沼舞根湾におけるDinophysis fortii と Mesodinium rubrum の鉛直分布 |
3日目(9/15)には教員の発表も行われました。
太田 尚志 教授(プランクトン) 動物プランクトンのスギ花粉摂食と同化率 |
阿部 博和 准教授(ベントス) 岩手県小友浦における干潟ベントス群集の長期変化と 人工干潟造成による影響の評価 |
最終日(9/16)は日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同若手の会のエクスカーションで、日本海側の桂島の岩礁・転石潮間帯で様々な大学の学生が入り乱れてフィールド観察が行われました。
学会終了後の 9/17~18 には、隠岐の島にある島根大学の隠岐臨海実験所で合同大会のエクスカーションも開催され、大見川遥さん、大山雄太郎さん、小田晴翔さんの3名が参加しました。
人生初の乗船ドレッジ調査や深夜までに及ぶ生物のソーティング作業を満喫してきたようです。
隠岐の島でのドレッジ調査の様子 ドレッジは網のついた金属枠をワイヤーで海底まで下ろし、 海底を曳いてベントスを採集する方法です |
海底から上がってきた砂泥 ここから生物を選別して研究に使用します |
乗船調査中の小田さん |
大見川さん |
シュノーケリングのために ウェットスーツを着用した大山さん |
海洋浮遊生物学研究室の畠山紘一さんと海洋ベントス学研究室の高橋陽大さんは学会初参加。
初めて学会に参加して発表を行った経験についてコメントをいただきました。
学会の懇親会で談笑する 高橋陽大さん(左)と畠山紘一さん(右) |
畠山 紘一 さん
海洋浮遊生物学研究室 修士課程1年
今回の日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会2024は、私にとって初めての学会参加、学会発表となり、自分の研究内容を見つめ直す機会となりました。
発表ポスターの作成では、わかりやすさと情報の解像度の両立を目指しながら、限られたポスターのサイズの中に必要な情報を収めるためにグラフの選別や並べ方を試行錯誤し、なんとか学会間近に完成させることができました。
学会初日には若手の会に参加し、いろいろな研究テーマを持つ同年代の皆さんとお酒を飲みながら、楽しく交流できました。
お話しているうちに、その人が抱える研究への思いや考え、様々な苦悩への対処、乗り越え方などを聞くことができ、とても勉強になりました。また私の研究内容と近しい方もおり、「仲間がいた!」という嬉しさを得ると同時に、大切な意見交流の場となりました。
学会2日目は私のポスター発表があり、この日は朝から緊張していました。私の発表場所は会場入り口付近だったため、多くの方に発表を聴いていただけました。
この学会にはプランクトンの生態ではなく生理を研究している方々や、ベントスを研究対象としている方々も参加していたため、私が専門とするプランクトンの生態における専門用語などが伝わらず、何度も同じような質問を受ける場面がありました。もっと丁寧な説明の仕方をしなくてはいけなかったと反省しています。
発表の際には様々な質問や意見をいただくことができ、その中には自分では気づかなかった部分やこれからの研究に参考となるようなアドバイスもあり、とても有意義な時間でした。
他の方々の発表も拝見し、その発表の様子からスライドやポスターのデザイン、伝え方なども非常に勉強になりました。
特にグラフについては、デザインの工夫によって情報量が多いのにもかかわらず見やすくコンパクトにまとめられているものが印象に残っています。また、スライドにおける文字量の塩梅やその中でどの部分を強調させるかなど、私が苦手としている部分においてもとても参考になりました。
このような多くの方々の「伝える技術」を目にする機会はこれまで多くなく、貴重な時間となりました。
学会に参加する前は、学会は厳重な雰囲気の場というイメージでしたが、いざ始まると学生の参加者も多く、活気や賑わいがありました。
海洋ベントス学研究室 4年
私は大学院に進学予定であり、学部生のうちに学会を経験してみたかったので今回プランクトン・ベントス学会に参加してきました。
初めての学会参加で初めは不安がありましたが、様々な経験ができ学びのある充実した4日間を過ごすことができました。
口頭発表やポスター発表では、他大学の学生や研究者の方々の様々な分野の研究発表を多く聞くことで自分の研究に対する視野が広がりました。
普段は自分の研究に取り組んだり、同じ研究室の同期生や先輩の研究発表を見たりする機会しかないので視野が狭くなってしまいがちでしたが、様々な採集方法、実験方法、解析方法などがあることを知りました。
また、私はポスター発表を行いましたが、初めての公の場での発表だったため、ポスター作製から発表までたくさんの方々にサポートしていただき形にすることができました。どうすれば内容がうまく伝わるのか試行錯誤しながらポスターを作ったり、発表の方法を工夫したりと苦労もありましたが、当日多くの方々に発表を聞いていただくことができとてもうれしかったです。
そして、今まであまり考えていなかった部分の指摘や似ている研究をされている方のご意見などをいただくことができ、とても有意義な時間になりました。
懇親会やエクスカーションではたくさんの方々と交流することができました。
私は人と話すのが苦手な方であり、学部生の参加が少なかったこともあって不安でしたが、お互いの研究内容や最近の苦労したことなどを話していくうちに何名かの方々と仲を深めることができ、楽しい時間になりました。
他大学の学生と仲良くなることで生物研究に対する熱意や生き物に対する好奇心などを感じることができ、自分の研究の意欲が掻き立てられるとともに、このような場での交流は今後の研究への意見や情報を得られることにもつながるだろうと感じました。
今回は、萎縮してしまってお話しする機会を逃してしまった場面もあったので、次に学会に参加するときにはもっと積極的に参加者の方々と話したいと思いました。
今まで学会は硬いイメージで学生は参加しにくいと思っていましたが、今回の学会を通して学生こそがもっと参加するべきだと感じました。
学会は研究者同士の交流や情報共有の場でありますが、研究初心者である学生にとっては研究がどのようなものであるかを知る機会であり、普段は関わることのできないような他大学の多くの方々と交流できる貴重な場であるため、今後も積極的に学会に参加したいです。
来年の日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会は仙台の東北大学青葉山キャンパスで開催の予定です。石巻専修大学の太田尚志教授、鈴木英勝教授、阿部博和准教授の3名も大会実行委員を務めます。
【リンク】
- 日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会2024
- 海洋ベントス学研究室 HP X Instagram
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