2025年1月22日水曜日

【卒業研究発表会・ポスター発表会】学生が研究成果をプレゼンします


各研究室で取り組んできた研究成果を発表する「卒業研究発表会」および「卒業研究ポスター発表会」が2月に行われます。大学院の「修士論文発表会」も行われます。

「卒業研究発表会」は専門家向けで、一般的な研究発表です。口頭発表のあとに、学生・教員からの質疑応答の時間があります。

一方、「ポスター発表会」 は専門外の人に向けたプレゼンです(保護者の皆様、卒業生の皆様の参加歓迎!)。自分の研究成果を「正しく分かりやすく伝える」という、社会人に必須のコミュニケーション能力を試す場でもあります。

 

 

  卒業研究発表会

口頭発表と質疑応答。学内向けで、場所は5301教室です。時間や発表タイトルは、近日、掲示板などでお知らせします。

  • 2月4日(火) 植物コース
  •   5日(水) 動物コース
  •   6日(木) 海洋生物コース 

3コース体制での発表会は今年度で最後になります。


令和4年度から4コース体制に

海洋生物・環境コース
動物・植物コース
微生物・生命分子コース
自然科学コース

 

 

昨年度の様子と発表タイトル

海洋生物コース  動物コース  植物コース

 

4年間の学びの集大成
学生からも積極的に質問が出ます




  卒業研究ポスター発表会

ポスターを前に、来場者の方に向けて学生が直接、研究内容を説明します。

保護者の皆様や卒業生のご来場をお待ちしております。学生は、聞いてくださる方に合わせて工夫して説明をしますので、気軽に話を聞くことができると思います。質問も自由です! 昨年度のスケジュールはこちら

使用後のポスターは学内に掲示。オープンキャンパスなどで活用されます。

 

  • 2月22日(土) 5号館の学生ホールにて


研究成果を1枚のポスターにまとめて
一般の方にも分かりやすく説明


昨年度の様子はこちら↓↓↓




学生は積極的に参加しましょう!

3年生は、来年の自分のために卒研発表がどんなものか知る機会に、また、どんな研究をしたいかを考える機会になると思います(運営のお手伝いも?)。


1、2年生にとっては、研究室選びの参考として、勉強へのモチベーションアップとして良い機会になると思います。2年生は授業として参加することになります(コース別の基礎演習として)。

先輩方の研究内容とプレゼン方法について、良いところを吸収していって下さい。




  大学院・修士論文発表会

大学院理工学研究科・生命科学専攻の修士論文発表会が行われます。発表20分、質疑応答20分の予定です。
  • 2月12日(水) 2101教室にて



2025年1月16日木曜日

集団討議・模擬授業・ハザードマップ作り 2年次の自然科学基礎演習(渡辺班)の様子を紹介

 

2年次後期の必修科目である「基礎演習」の様子を紹介します。


この科目の大きな目標は「伝える力」を身に付けること。調べて、討論して、まとめて、プレゼンするという作業をとおして、「コンピュータ・リテラシー」を身に付けてもらうことも狙いです。

基礎演習は4つのコースに分かれての実施です。コースによっては外部講師の方(例:水族館職員)に依頼して講演をしていただいたり、コースの色が出る内容になっています。プレゼンの模範となるであろう4年生の卒業研究発表会を最後に見に行くことも授業に含まれています。

 

「自然科学基礎演習」での模擬授業

 

今回は、自然科学コース(渡辺班)の様子を紹介!

自然科学コースでは、2年生約20名が担当教員5名それぞれの班に分かれて演習を行うことにしました。教員ひとりに対して、学生が約4名ずつという少人数教育です。

 

渡辺班は4名全員が中学校の教員志望という学生になりました(毛内、松橋、伊藤、新倉)。

そこで、実際に教員になったときのため、そして教員採用試験の対策にもなるような演習を行うことにしました。少人数を活かして、相談しながら授業プランを考えました。コンピュータ・リテラシーの演習から、集団討議・模擬授業・ハザードマップ作りまで、試行錯誤しながら進めました。その様子の一部を紹介します。



 

集団討議の練習 コミュニケーションをとって、討議に貢献するには?

テスト期間の忙しい時期に、事前準備が大変な模擬授業をやるのは厳しそう…ということで、テスト期間の2週間では集団討議の練習をすることにしました。「集団討議はやりたい!」という学生の要望もあっての実施です。

1回目の課題は

  • 生徒が進路目標を達成するために、学校にはどのような指導や支援が求められますか。みなさんで話し合ってください。(令和6年度・仙台市)

教員志望の学生は少し考えてみましょう。

 

こういったディスカッションをやるのは、ほとんどの人が初めてです。まずは、渡辺がまとめた集団討議のポイントを全員で確認してから、「とりあえずやってみよう!」となりました。

現役の人が初めてやると、特に自分と生徒間だけのことを考えがちです。自身の経験を交えて話せる部分はあるものの、学校と保護者との関係だったり、同僚からの協力、地域からの協力など、色々な視点があると討議に貢献できます。

また、今回のテーマでは「進路」というワードから「進学」だけを重点的に考えがちです。「進路目標を達成」とはそもそも何なのか? テーマを正しく理解する必要がまずありました。


2回目の課題は

  • 自然災害や事件・事故が多くみられる現状で、児童生徒を守るためにはどのような取組をしていくのがよいか、みなさんで話し合ってまとめてください。(令和6年度・宮城県)

1回目の反省点を活かした討論が行われ、成長が感じられました。「自然災害」というワードに目が行って地震や津波の話だけになりがちなところ、事件・事故についても配慮がなされていました。

取り組みの事例としても、避難訓練、防犯カメラ、町内会イベントへの参加、地域の見回り、子供110番、ハザードマップの作成などなど、色々なものが挙げられました。 


実際にやってみると、集団討議での立ち回り方はもちろん、視点を広く持っての討論の必要性に気づくことができます。

集団討議が自分の自治体の採用試験にない学生にとっても、自分にない考えを知ったり、視野を広げることができて、力になったと思います。



自主ゼミである「教職セミナー」では、毎年、学年の隔てなく集団討議の練習の練習を行っています。





模擬授業の練習 興味を引く授業、分かりやすい授業とは?

集団討議の前後には、模擬授業の練習を5コマ程度使ってじっくりやってみました。

教職科目の授業内でも模擬授業はあるものの、1回だけでは全く足りません。教育実習に行く前に、少しでも教育実践力を付けてもらおうと実施しました。


担当範囲決めて、全員で検討

学生が4人いるので、敢えて4つの分野になるよう選んでもらいました:物理(作用・反作用の法則)、化学(酸性・アルカリ性)、生物(消化のしくみ)、地学(地層・化石)

まずは、個人で考えてきた授業内容を全員に共有して、「こういう身近な例から話すのがいいんじゃない?」「ここは丁寧にやった方が良さそう」と、みんなで検討します。


完成度を高めてから再検討

模擬授業は1コマに2人で、ひとり20分授業・20分反省会という形式。

みんなで検討した内容を家に持ち帰って、さらに吟味。パワーポイント、板書、ワークシートをある程度完成させて次の週までに用意します。それをさらに共有して、もう一度みんなで検討して完成度を高めました。

 

 

そして本番

定番の板書&ワークシートスタイルから、黒板に写したスライドに書き込むスタイルまで、それぞれ工夫を凝らした模擬授業が行われました。

色々なやり方を試してみて、自分のスタイルを確立していきたいですね。


伊藤さん
「自分が話しやすい、相手に伝わりやすい
授業形態を研究していきたい」
酸性・アルカリ性(中学3年)
入念に準備していることが分かる授業でした
身近な例を豊富に上げて興味を引き付けていました


毛内さん
「板書計画通りに進めることができたが、
反省点が多かった」
作用・反作用の法則(中学3年)
相手を引き込むトーク力を発揮していました
ちょっとした作業も組み込み、身になるような授業でした



新倉さん
「悪い部分と良い部分がはっきりと
見えたので改善していきたい」
消化のしくみ(中学2年)
実験の意図がしっかり考えられていました
ワークシートも見やすくなる工夫が随所にありました


松橋さん
「板書やスライドを分かりやすくまとめることができたが、
内容が少し薄くなってしまったので改善したい」

地層や化石からわかること(中学1年)
示相化石・示準化石などについて
ポイントを分かりやすく簡潔にまとめていました


 

模擬授業のあとは反省会(相互評価)

それぞれが良かった点、改善できそうな点を言い合い、次に活かしてもらいます。事前準備を頑張りすぎて?内容の詰め込み過ぎになったり、全部言おうと早口になった例もありました。このあたりは経験していくうちに良くなっていくでしょう。

口頭での指摘だけではなく、授業内容・話し方・板書・配布資料などについて、紙でも相互評価もしてもらいました。全体として、良く準備されていて、工夫された授業で頼もしく感じました。今後の活躍に期待しています。

 

 


ハザードマップ作り 指導方法の検討

集団討議の「生徒を守るための取り組み」の事例として、ハザードマップの作成が挙げられました。

もう一回模擬授業をこなすには時間が限られていたため「ハザードマップ作ってみる?」という流れになりました。

まずは大学周辺のハザードマップ(避難の仕方など)を自分たちで作ってみて、実際に指導するときにどのような点に注意すればよいのかを今後考えていきます。 




参加学生全員に基礎演習の感想を聞きました
  • 周りと協力したり検討しながら講義を進めていくのは達成感があり、楽しむことができました。特に集団討議が面白かったのですが、見知った相手だからこを遠慮なく話せたと思ったので、次に練習するときは初対面の人も入れてみたいと思いました。

  • 集団討議、模擬授業がかなり勉強になりました。他の人の意見・授業を聞いたり見たりすることで「こんな意見、考え方があるんだな」「この授業の進め方、おもしろいな」と思うことが多く、良い機会になりました。

  • 模擬授業やパソコンの使い方が経験できたので、今後のためになる授業でした。教員を目指す上で重要なことや必要なことを学ぶことができたので勉強になりました。

  • 教育の現場に立ったときのイメージを具体的につかめるようになりました。友人の授業や討議に参加する姿勢を見て、自分の苦手分野・得意分野が明確になって、どういう行動をすべきなのか自分なりの考えを持つことができるようになりました。

 

 

 


自然科学コースには、触媒化学、電気化学、分子認識化学、ソフトマター物理学、数理生物学、数理科学の6研究室があり、生物科学だけではなく、サイエンス全般を学ぶことができます。

教員免許が他のコースに比べて取得しやすいカリキュラム構成でもあるため、理科の教員を目指す学生が多く所属しています。

 

 

【関連ブログ記事】

#自然科学コース #教員採用試験 

#授業紹介 #学生の声


 

2025年1月9日木曜日

卒業生の研究成果が国際誌に掲載されました! ニホンテンの食物選択について

ニホンテン(動物園の飼育個体)

動物生態学研究室の阿部聡太さん(R4年度卒業生)は、在学中に牡鹿半島に生息するニホンテン(Martes melampus)の食べ物について調査しました。

テンは雑食性・果食性の中型肉食獣で、季節により食べ物の構成が変わることは報告されていましたが、食物選択性のメカニズムは不明瞭でした。

 

  • Abe S., Tsuji Y. (accepted) Feeding strategy of wild Japanese martens (Martes melampus) in northern Japan. Zool. Sci.

 

テンの糞
鉛筆くらいの太さの長細い形状をしています

テンは道の真ん中に糞をする習性があるため、
サンプリングは比較的簡単(『見せ糞』と言います)

牡鹿半島でサンプリングする阿部さん
月に一度の頻度で現地を訪問しました


阿部さんは、牡鹿半島のニホンテンの食物構成の時間的変化を、主要食物(果物・哺乳類・節足動物)の現存量と関連づけて評価しました。

研究室で保管していた過去の糞と合わせ、3年分のデータを分析した結果、

  • テンの食物が果実・節足動物・哺乳類の3つで構成されていること
  • 糞中の果実の割合が、節足動物と哺乳類の現存量が少ない時期に増えること

がわかりました。このことから、テンは代替食物の多寡に合わせて果実への依存度を柔軟に変える戦略(dietaery-switching strategy)をとっていることが明らかになりました。

人間で例えて言うと、「今日の夕飯のおかず、肉がないなら魚でもいい」という感じです。

 

本研究で明らかになったテンの食性の長期変化は、ネズミなど被食者の個体群サイズや、テンに利用される果実の種子散布など、テンが果たす生態学的な役割にも関係します。

森林生態系における種間相互作用を評価するためには、単にテンの食性を調べるだけでなく、それに影響する森林環境を定量的に評価することが大切です。



阿部さんに、在学中の思い出を聞きました
シアトルへの留学や学生団体の広報活動、そして卒業研究が思い出に残っています。卒業研究は大変でしたが、今ではいい思い出です。僕は厳しくも優しい辻先生の下で研究を行った事により、【考える力・まとめる力・伝える力】が身につきました。研究をした経験のおかげで、今の広告の仕事に活かせています。
卒業前に、牡鹿半島ビジターセンターで調査の成果を報告
地元の方に研究の様子をお伝えするのは大切です
 

 


【リンク】

 

【関連ブログ記事】

 

学内に現れたテン
(2015年4月)