「Mammal Research」に掲載 |
辻研究室(動物生態学)の高橋夢湖さん(R2年度卒業)と、鈴木風磨君(R3年度卒業)が行った、石巻市内の野生動物の交通事故(ロードキル)の現状に関する研究成果の一部が、国際誌 Mammal Research に掲載されました。
Takahashi, Y., Suzuki, F. & Tsuji, Y. Spatio-temporal patterns of vertebrate roadkills in a suburban area in northern Japan. Mamm Res (2022).
高橋夢湖さん |
2020年4月から2021年3月にかけて、
- ロードキルの発生場所
- ロードキルの頻度と交通量の関係
- ロードキルの発生時期と動物の生活史との関係
を調べました。一年間に計1059
件のロードキルを記録しました。26種の動物の死体を確認しましたが、タヌキ、イエネコ、ニホンジカの3種のロードキルは発生件数が多く、この3種で全体の7割を占めました。
ロードキルの発生場所
交通事故の多発場所は、タヌキは郊外、ネコは市街地、シカは牡鹿半島を中心とする森林で多く発生しました。
ロードキルの頻度と交通量の関係
タヌキとネコのロードキルは交通量と正の相関を示しました。したがって、動物が道路を横切らないような構造物を設置することが、最も効果的な対策といえます。ロードキルの発生時期と動物の生活史との関係
タヌキのロードキルは、秋に多く発生しました。この時期に独り立ちした、経験不足の若いタヌキが事故に遭うようです。このような季節性は、ネコやシカでは見られませんでした。ロードキル対策は、対象となる動物の生活・行動特性に合わせて検討する必要がありそうです。
動物生態学研究室では、この研究成果をベースに、市内のロードキル問題の解決に向けた取り組みを進めていきます。
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