植物の花の構造を決める4つの器官(萼、花弁、雄しべ、雌しべ)が3つの遺伝子(A・B・C)の組み合わせで決まる、という仮説を「花器官のABCモデル」と言います。中川准教授(植物発生遺伝学研究室)は、大学生のときに出会ったこのモデルに感動して、研究者になろうと思ったそうです。
中川先生が撮影した、花の器官が変化したクラスA, B, C遺伝子の変異体の写真は、2013年から高校の「生物」の教科書と資料集に使われています。
中川先生が提供した写真 「生物」数研出版 |
中川研の学生だった高橋香穂理さん(2017年度卒業)は、当時の教科書のABCモデルの図や説明を調べるうちに、説明不足や図の不備など、いくつかの問題があることに気がつきました。
その問題を解決しようと、高橋さんはシロイヌナズナのクラスA, B, C遺伝子の二重・三重変異体を作り、小さな花を何個も観察して、変異体の花式図を完成させ、学術誌に報告しました。
高橋さんと中川先生の論文は、以下のサイトでご覧いただけます(生物教育)。
この春、高橋さんの作成した三重変異体の花の写真が、高校の生物の資料集に掲載されました!
卒業研究で取り組んだ仕事の成果を全国の高校生に見てもらえるって、なんだか嬉しいですよね。せっかくの卒業研究ですから、皆さんも思い切り一つのことに打ち込んでみましょう。
このクラスA, B, C遺伝子の変異体は、3年次で受講する生物科学実験の教材にもなっています。中川先生が魅了された「遺伝子が壊れた変異体から遺伝子の動きを探る面白さ」をぜひ体験してください。
中川先生、植物研究の魅力って何ですか?
「植物」という存在そのものがわからないことが多すぎて、観察しているだけで謎がどんどん出てくるところですね。調べれば調べるほど新しい疑問が生まれてきます。
私は、変異体から遺伝子の動きを探るという遺伝学・分子遺伝学という研究手法が好きなのですが、植物はそれをしやすい実験材料であるのも魅力です。
植物には、動物や微生物とはまた違う面白さがあるようです。
皆さんも授業や実習・実験をとおして、植物の奥深い世界を味わってみて下さい。
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