3月26日(日)に、「東日本大震災から12年、ベントス研究からみえてきた沿岸生態系の現状・課題と将来に向けて」というシンポジウムが開催されます(東北大青葉山新キャンパスにて)。
ムギワラムシの棲管に登るホソウミニナ |
震災が生態系に及ぼした影響を「ベントス」をとおして見る、そんな興味深いテーマがずらりと並んでいます。
東北を研究フィールドとするベントス研究者の話をまとめて聞ける良い機会です。 参加は無料で、Zoomでも配信されます(事前申込は必要:19日まで)。
阿部博和准教授(#海洋ベントス学研究室)は日本ベントス学会自然環境保全委員会の委員で、当日は開催趣旨の説明と進行役を務める予定です。
阿部准教授からのコメント
ベントスとは,海底で暮らす生物を示す言葉であり,甲殻類や貝類,多毛類(ゴカイ類)などをはじめとした多様な生物を含みます。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波により,東北地方の沿岸環境とそこに生息するベントスは大きな影響を受けました。
東北を研究フィールドとしていたベントス研究者は,地震・津波の直後から沿岸生態系への影響把握を開始し,
これまでの調査の結果,底質に依存するベントスでは,水中で暮らすプランクトンや魚類に比べて地震・津波の影響がより長期にわたる傾向がみられること,
また,地震・津波という大規模な自然攪乱よりも,その後の復興工事などの人為的な攪乱により強い影響受ける様子が浮き彫りになってきました。
そのような中で,自然環境に配慮した復興工事が実施され一定の成果を上げるなど,ベントス研究者の積極的な関わりにより,防災と自然環境保全の両立に向けた大きな前進が果たされた例もみられています。
今回のシンポジウムは,東日本大震災から現在までの多岐にわたる沿岸ベントスのフィールド研究の成果を最近の知見も含めて一度にまとめて聞ける貴重な機会で,ベントス研究と社会との接点に関する話題も多く紹介される予定です。
学生や高校生のみなさんもぜひ奮ってご参加下さい。
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