2024年6月28日金曜日

6月の記事まとめ

海洋生物ラボのヒメタツ

オープンキャンパスでも展示

ヒメタツの飼育については、仙台うみの杜水族館の飼育員の方(本学科の卒業生)による指導を受ける機会がありました → 大学ホームページで紹介

 

 

6月は、シカ、テン、ハクビシン/ウシエビ、クマエビ/ヒゲカビについての研究記事をアップしました。

 

 

5月6月で、1年生は実習を3回実施(海洋生物・動物・植物)。今後ブログで紹介します。乞うご期待!

 

 

   記事をまとめたページはこちら(タグごと、月ごとで記事をピックアップしています。月ごとの一覧は #記事まとめ




大学ホームページ記事からのピックアップ


1年生の実習について

 



#植物発生遺伝学研究室中川繭准教授)



#海洋ベントス学研究室阿部博和准教授)

  • ニュース専修2024年6月号[PDF] 「笹川科学研究助成に採択」M1の大見川遥さん、小田晴翔さんのコメントが掲載。 「ラジオ石巻に出演」3年の甲地由樹さん、2年の工藤萌花さんが出演。コメントも掲載。



#地域水産利用学研究室鈴木英勝教授)

小学生向けイベントの講師として参加
(深海魚とのふれあい、深海の疑似体験コーナーなど)

 

「いしのまき元気いちば」などで販売




オープンキャンパス・進学相談会情報

樹齢270年のミズナラ


 



石巻市の市報で、本学の特集が組まれています。

在学生や卒業生のコメントも掲載しています。ぜひご覧下さい。

表紙には生物科学科の学生も



2024年6月27日木曜日

【動物・植物コースの共同研究】シカの交通事故と植物、ニホンテンの糞から取り出した種子

生物科学科には現在4コース・22の研究室があり、それぞれの研究室は専門分野が違う教員が主催しています。

これらの研究室は基本的には独立に活動していますが、ときどき共同で研究を行うこともあります。今日は、いくつかの例を紹介しましょう。

 


植物系統分類学 × 動物生態学 シカの交通事故と植物

動物生態学研究室の武田悠佑君(4年生)は、卒業研究で牡鹿半島のシカの交通事故(ロードキル)の研究をしています。

 

事故の発生に道路周辺に生育する植物(種類、バイオマス)が影響しているのか否かを評価するために、植物系統分類学研究室の根本先生の協力を得て、植生調査を行っています。

 

植物構成を評価するには正しい識別が不可欠です。2024年の5月に、根本先生に同行いただき、共同で調査を行いました。調査中、根本先生に植物の名前や特徴を丁寧に教えていただきました。

 

 


植物発生遺伝学 × 動物生態学 ニホンテンの糞から取り出した種子

植物発生遺伝学研究室の小野晃寛君(4年生)は、牡鹿半島のニホンテンによる種子散布の研究をしています。

動物生態学研究室と共同で収集したテンの糞から取り出した種子、そして果実から直接取り出した種子をそれぞれプランターに撒いて、発芽率を比べることにより、テンによる種子の飲み込みの効果を評価しようというわけです。

 

植物の栽培管理は、実験系の中川先生の得意分野です。

やった、発芽しました!

 

 

 

 

「生き物のつながり」を探る

これらの研究は、「動物」と「植物」をつなぐ仕事と言えます。

自然界では、「動物」「植物」「海洋生物」は独立して存在するわけではありません。生態系の中で、それぞれがつながっているのです(海と陸も、実はつながっています)。

生物の暮らしを正しく理解するためには、メインの研究対象のことだけでなく、同所的に生息する他の生物も一緒に調べるのが理想的です。


 同じ学科にいろいろな分野の教員がいるため、分野間のコラボがしやすく、生態系における「生き物のつながり」を探る研究のハードルが低いのが、本学の良さだと思います。


 

 

【関連ブログ記事】

#動物生態学研究室研究室HPはこちら

#植物発生遺伝学研究室 #植物系統分類学研究室

#動物・植物コース

 

 

2024年6月21日金曜日

モクゲンジが咲き始めました

 学生駐車場と本館の間にあるモクゲンジ(Koelreuteria paniculata)が黄色い花を咲かせています。


モクゲンジは日本海側の沿岸地域に多いと言われていますが、宮城(特に南三陸)にも自生しており気仙沼のモクゲンジは市の天然記念物に指定されています。
そんな少し珍しいモクゲンジ、大学構内にあるのは自生したものではありませんが、なかなかの大木で見応えがあります。

雄花と雌花があり、遠目に見ると黄色ですが、花の中央部分(花弁の基部)に赤い突起状のものが存在し、小さいながらも華やかさがあります。



週末のオープンキャンパスにいらっしゃる方、特に車の方は駐車場から受付の通り道ですので、ぜひ見てみてください。



【関連ブログ記事】 

#ISU生物図鑑(ISU = Ishinomaki Senshu University)


2024年6月18日火曜日

採択率22%の狭き門を2名が突破 ベントス研の大学院生が笹川科学研究助成の助成対象者に選ばれました

 

海洋ベントス学研究室に所属する大学院修士課程1年の大見川 遥さんと小田 晴翔さんが、「2024年度笹川科学研究助成」の助成対象者に選ばれました。

笹川科学研究助成 は、公益財団法人日本科学協会が実施する若手の研究を支援する研究助成制度で、大学院生が応募できる数少ない研究助成でもあります。

今回の申請件数は全体で1,395件、採択率は22%。大見川さんと小田さんは研究計画を練り上げて申請書類を作成し、狭き門を突破しました。

2024年度笹川科学研究助成の
助成者研究一覧に掲載された2人の名前
 

本学では研究助成に申請する学生はあまり多くありませんので、研究助成に応募した経緯について紹介します。

  • 2023年1月 研究室に配属(通常の研究室配属は9月。コース教員の入れ替わりのため研究室配属時期を延期)
  • 2023年3月 大見川さんが谷津干潟(千葉県)の調査に参加し、大学院進学を決意
  • 2023年4月 卒業研究のテーマが決定
  • 2023年5月 小田さんが就職を希望していた水族館の最終面接に進むものの不採用となり、大学院進学を決意
  • 2023年7月 大見川さんと小田さんが大学院修士課程の学内推薦入学試験を受験し合格
  • ~2023年8月 フィールド調査やイベントに積極的に参加し、研究に対する興味を深めていく
  • 2023年9月 笹川科学研究助成の申請受付開始
  • 2023年9~10月 ベントス学会、動物学会、甲殻類学会に参加し、研究に対するのモチベーションが大きく向上。大学院で活発な研究活動を実施するために研究助成の申請を決断。
  • 2023年10月 1ヶ月かけて笹川科学研究助成の申請書を作成し、提出
  • 2023年11月 生態学会東北地区大会でポスター発表
  • ~2024年2月 卒業研究を実施
  • 2024年3月 笹川科学研究助成の内定決定、採択に向けて諸手続き
  • 2024年4月 笹川科学研究助成の採択決定、大学院進学


2023年4月 仙台市の蒲生干潟で研究室に配属されてから初めての干潟調査
イソシジミやハマグリなどの二枚貝がたくさん採れて大興奮

2023年5月 南三陸高校 自然科学部との合同で
志津川湾の松原干潟の調査を実施。
ベントスの同定作業中の様子

2023年7月 南三陸子ども自然史ワークショップに
サポートスタッフとして参加

2023年8月 岩手県陸前高田市の高田松原で行われたカニ観察会に参加し、
スナガニを掘る大見川さん(手前)と小田さん(奥)


 

採択された研究課題の内容も簡単にご紹介します。

 

大見川 遥さんの研究課題「海のダンゴムシはなぜ丸くなるのか?」

海岸で等脚類を探す大見川さん

研究対象とするコツブムシ類3種

ダンゴムシが丸くなるのは有名ですが、一体何のために丸くなるのでしょうか?

「防御のため」と説明されることが多いですが、どんな捕食者に対してどれくらい効果があるのか、実はこれまで検証されたことはありません。また、同じような場所に生息するワラジムシは丸くなりませんが、そうするとなぜダンゴムシだけが丸くなるのか、その進化を駆動した要因が一体何なのか、疑問が生じます。

実は海にもダンゴムシにそっくりで丸くなる特徴を持つコツブムシという生物がいます。コツブムシとダンゴムシ・ワラジムシは節足動物門の等脚類(等脚目)というグループに含まれる生物ですが、コツブムシとダンゴムシ・ワラジムシは等脚類の中で異なるグループに属しています。つまり、丸くなるという特徴は海と陸で別々に獲得された特徴といえます。

球体化するコツブムシ類

球体化するハマダンゴムシ

大見川さんは、等脚類で生じた「丸くなる」という特徴が、ハサミ型の武器を持つ捕食者に対する防御手段として有効に働くことで進化したのではないかと仮説を立て、実験的に検証しようとしています。

 

 




小田 晴翔さんの研究課題「すね毛×脚タップ=クロベンケイガニ:形態から考える社会行動の進化」


クロベンケイガニの飼育観察システムを作成中の小田さん

クロベンケイガニは石巻専修大学のキャンパス内にもたくさん生息している半陸生のカニ類で、立派な「すね毛」を持つのが大きな特徴です。ここまで「すね毛」が発達しているのは半陸生のカニ類の中でも珍しく、なぜ?という疑問が浮かびます。

この疑問に対するヒントを得るために先行研究を探していたところ、日本国内で半陸生カニ類の社会行動を観察して、様々な種類の行動の回数を記録している論文を見つけました。その論文では、調べていたカニ類の中でクロベンケイガニだけがleg-tapping(「脚タップ」)という行動を行い、さらに、クロベンケイガニの社会行動のなかで「脚タップ」の頻度が圧倒的に高いことが報告されていました。

採集された大量のクロベンケイガニ

クロベンケイガニの「すね毛」

小田さんは、この「すね毛」と「脚タップ」には何か関連があるのではないかと着想し、形態計測と行動観察の組み合わせによって「脚タップ」の意義と「すね毛」との関連性について検討を進めようとしています。

キャンパス周辺でクロベンケイガニを探す小田さんと大見川さん

 

 

大見川 遥さんと小田 晴翔さんは、4月19日にANAインターコンチネンタルホテル東京で開催された「2024年度笹川科学研究助成 研究奨励の会」に参加しました。



 採択決定の喜びを等脚類(球体化)とカニのポーズで表現しています。



 

 



指導教員:阿部博和准教授のコメント

 

大見川さんは高校時代、海洋生物の研究がしたいという強い想いで片道2時間かけて水産高校に通学するといった気合の入りようで、高校生の頃から学会で発表を行うほか、全国水産・海洋高等学校生徒研究発表大会では東北大会を勝ち抜き、全国2位の成績を収めています。

大学入学後は、フィールド実習などを通して海産等脚類に興味を持ち、早い段階で研究に対する熱意を表明していました。研究室に配属されてから文献の収集と情報の整理を進めていく中で、研究のデザインに対する考え方を身に着けていき、もともとはヒメスナホリムシという等脚類を研究したいという強い希望を持っていましたが、研究テーマを等脚類全般を視野に入れたものにシフトさせていきました。

大見川さんの純粋な好奇心から生まれる原動力はパワフルなもので、柔軟な思考と臨機応変に対応する姿勢にも目を見張るものがあります。研究を志す者の資質はすでに十分に持ち合わせていると思いますので、今後の活躍に期待しています。

 

小田さんは、大学入学当初から水族館の飼育員を目指し、就職活動も早い段階から大変頑張っていましたが、あと一歩のところで夢に届かず、辛く悔しい思いをしたことと思います。しかしながら、その後の気持ちの切り替えと前向きな方向転換は見事なもので、研究室に配属されてから心の奥底で静かに燃え上がっていた研究に対する熱意と向き合い、より上を目指したいと大学院に進学することを決意しました。

研究室に配属されてからの小田さんは、研究室のフィールド調査にも積極的に参加して甲殻類に強い興味を抱くようになり、採集してきた甲殻類の種同定を独学で進めるなど、その成長には目を見張るものがありました。

自ら進んで研究に取り組む姿が印象的な学生で、「興味を持ったことはとことん追求する」という小田さんの性格は、今後の研究活動にとっても大きな原動力になると思います。この研究助成の採択でより一層の弾みをつけて、ますます上を目指してくれることを期待したいと思います。



 

 

【大学ホームページでも紹介】

 

【関連ブログ記事】  

#学生の声  #大学院

#海洋ベントス学研究室 #海洋生物・環境コース


2024年6月13日木曜日

ヒゲカビ紹介動画を作成 本学の保存菌株数は世界ー

石巻専修大学理工学部生物科学科は、日本微生物資源学会に菌株保存機関として機関登録しています。

保存菌株は接合菌類のヒゲカビに特化しており、保存機関としてはユニークな存在です。保存菌株数では野生株および変異株ともに世界一を誇っています。

 

今回、本学会の活動PRの一環として、保存機関の紹介動画を作成する企画があり、本学科のヒゲカビ紹介も参加しました。

 

菌類発生生理学研究室(宮嵜厚教授)ではヒゲカビを研究材料として野生株と変異株を比較しながら、また環境変化に応答する有性生殖を生理学的・分子生物学的に解析しています。

 

 

 

【関連ブログ記事】

#動画 #菌類発生生理学研究室 #微生物・生命分子コース