動物生態学研究室の辻准教授が、2020年7月に『与えるサルと食べるシカ-つながりの生態学』という本を出しました。金華山でのニホンザル研究の20年の成果を紹介した、先生にとって初めての単著です。出版社のサイトはこちら。
従来のサル関係の研究が社会・発達といった行動面に重きを置いていたのに対し、辻先生は、タイトルにもなっているサルとシカの種間関係や、サルによる種子散布など、生態学的な側面にフォーカスした研究を続けています。この本は先生の研究内容の紹介が主ですが、後半では、福島原発事故の影響や外来種との交雑など、サルにまつわる最新の話題も紹介しています。
サルに限らず、野生動物相手の野外研究は成果が出るまでに時間がかかり、成果主義の昨今では敬遠されがちです。研究職のポスト不足もあり、研究者・大学院進学希望者は減少しています。この本は、野外調査を積み重ねた若手研究者の成長物語であり、またコツコツと続けていれば自ずと道は開けると、研究者の卵たちを勇気づけるエールにもなっています。
生物科学科1年生の「生物学」、そして3年生の「野生動物保護論」と関連する内容も含まれていますので、参考書にいかがですか? 大学図書館にも置いてありますので、ぜひ手に取ってくださいね。