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2021年11月18日木曜日

「生物機械工学」って? 大学院の授業のひとコマを紹介

 

「この棒に力が加わったときのストレス(応力)は …」

「上側は引っ張られて、下側は縮んで、応力は表面で最大になります。」

これは、大学院の生命科学専攻の授業でのワンシーンです。

根本研究室の小関さん(M1)
少人数のため、議論をしながら授業を進めます


  • 魚の遊泳
  • 鳥の飛翔
  • 動物の跳躍
  • 樹木の枝分かれ etc

生物の「かたち」や「うごき」について、工学的な視点から生物を眺める学問領域、それが「生物機械工学」です。

 

たとえば、棒を曲げようとすると棒にストレスがかかりますが、樹木の枝も同じこと。

ストレスに耐えるために、重いほど枝が太くなるだろうことは想像できると思います。そこで、データを取ってみると、重さと太さにキレイな規則性があることに気付きます。

学内にある立派なケヤキ
 

実は、質量が太さの2.5乗に比例します(A.D. Murray)。たとえば、太さ4倍と質量32倍が対応します。このことを「枝の 2.5 乗則」と言ったりします。

授業では、まずは大胆な仮定をして、機械工学的になぜ指数が 2.5 なのかを理解しようと試みました。数理モデルを使うことで、「種類による違いは?」「月ではどうなる?!」といった疑問へのヒントが見つかります。


生物機械工学の授業は、面白そうだから勉強してみよう!ということで始めました。 

数理モデルを使って分析していくため、ある程度の数学力が必要になります。不足している知識(今回は材料力学)を、その都度勉強していくスタイルです。


伊能教夫『生物機械工学:数理モデルで生物の不思議に迫る』コロナ社

テキストの目次には、面白そうなキーワードがたくさん並んでいます。

  • 寿命のスケーリング
  • 血管の分岐角度
  • 長骨の幾何学的関係
  • 筋肉の力学的特性
  • 2種類の生物の増減を表すモデル
  • 生物の感覚器官
  • 生物の形づくり etc

主として、バイオエンジニアリング(生物工学)、バイオメカニクス(生体力学)、バイオミメティクス(生物模倣工学)といった分野を扱っています。


院生と相談しながら、興味のある分野を読み進めていこうと思っています。科目名は「情報数理特論」です(渡辺担当)。

 
 
 
 

 自然科学コース 

来年度(令和4年度)から生物科学科が生まれ変わり、自然科学コースがスタートします!

サイエンスを幅広く

生物学は「暗記もの」というイメージが強いかもしれませんが、生物の不思議を 数学的視点、物理学的視点、化学的視点 でカガクすると面白い発見があります。

生物機械工学のように、生命現象を数理モデル化して、数学的に解析したものを生物学的に解釈するといった研究手法もあります。

自然科学コースでは、数学、物理、化学、生物などのサイエンスを幅広く学び、【生物 × 数学】【生物 × 物理】のような融合分野の研究をすることが可能です。

さらに興味を広げて、生物科学以外の自然科学の研究に取り組むことが可能となっていることも特色です。たとえば、

  • 化学をやりたい! 
  • 物理をやりたい! 
  • 数学をやりたい!

という学生の思いを実現することができます。

 

理科の教員への道をサポート

自然科学コースは 教員免許が取得しやすいカリキュラム構成 となっています。

教員免許を取得するには、他の学生よりも教職関係の科目を多く取る必要があります。カリキュラムの見直しによって、以前に比べて効率的に取得できるようになりました(その分、教員採用試験のための勉強などに時間を費やすことが可能)。

教職セミナーの様子

自然科学コースでは幅広く理科を学び、教員として必要となる科学的な思考力を養っていきます。

授業以外にも、「教職セミナー」によって、1次対策としての理科の勉強および2次対策としての面接練習など、直接的な対策を行っていきます(#教員採用試験)。同じ目標を持つ学生同士で勉強するため、モチベーションの維持にもつながります。


学生の興味に応じて、海洋生物・動物・植物・微生物など、生物系の専門科目を履修できることも自然科学コースの魅力のひとつです。 多様な分野を学ぶことで、考え方の幅が広がってくると思います。

 

 
【関連ブログ記事】
感染症の数理モデル
 

2021年8月10日火曜日

【生物 × 数学】コロナウイルスの数理モデル

本学でコロナワクチンの集団接種が行われました。8月中に、学生と教職員(の希望者)は2回打ち終わることになります。

 
 

コロナと言えば、グーグルが出している感染者数の予測(COVID-19 感染予測をご存じでしょうか?天気予報とまではいきませんが、県ごとの予測もあり、参考になります。

その予測で用いられているのが「SEIRモデル」と呼ばれる数理モデルです。人々が

  • 感染可能な人(Susceptible)
  • 潜伏期間の人(Exposed)
  • 発症した人(Infectious)
  • 回復した人(Recovered)

という風に移り変わる様子( S → E → I → R )を、数式を使ってモデル化したものです。このモデルを発展させたものと人工知能を組み合わせて予測が行われています。

βは感染率、σは発症率、γは回復率を表すパラメータ

ちょっと難しく見えるかもしれませんね…意味的には「接触が多いほど、コロナになる人が増える」といったことを表現した式になっています。
 
 

 生物科学科での数学 

さて、高校では、生物と数学は全く別の科目として考えていた人が多いと思いますが、生物の研究にも数学は活躍します。生物科学科では、

  • 1年次に「基礎数学」と「微分積分」という科目で数学の考え方をしっかりと学びます。(受験数学とは違い、)ひとつひとつ式の意味を理解していきます。高校の内容を学び直しつつ、身近な例と対応させて考えることで教養を深めていきます。基礎数学のシラバス(授業内容)
  • 数学に不安がある場合は、1年次の「生物科学基礎演習」で演習を行い、手を動かして実力を付けていきます(少人数クラス)。


  • 数理モデルの基礎は「応用数学」という科目で学ぶことができます。化石の年代測定など、少し大げさですが「タイムマシンの作り方」を学びます。
  • 3年次の実験では、数理モデルによる個体群変動のシミュレーション実験も行ったりする予定です。
  • 数理生物学研究室では最近、学生の興味に合わせて、ロックダウン効果のシミュレーション、病床数の予測モデル、ワクチンの効果予測といった卒業研究を行っています。


自然科学コースでは、数学、物理、化学、生物といったサイエンスを幅広く学び、【生物 × 数学】【生物 × 物理】のような融合分野の研究をすることが可能です。

 
「新」生物科学科には全部で20研究室あり、多様な分野の研究をすることができます。