学生同士で学び合い |
「高校までの基礎を固めたい」
「数学の苦手意識をなくしたい」
学習支援が必要な学生に対して、数学の勉強会である「寺子屋」を実施しています。将来教員を目指している学生が指導にあたっています。正規の授業ではなく、自主的な取り組みです。
対象は理工学部の学生で、昨年度(2023年度)の後期からスタートさせました。また、人間教育学科の理数モデルのプログラムを受講している学生も対象です(生物科学科の授業に混ざって数名が講義を受けたりしています)。
勉強が苦手な学生に対しての学習支援 × 教師を目指す学生に対しての教育機会の提供 |
学生による学生のための寺子屋
講義形式よりも演習形式を重視して、個人に合わせた指導ができるような、読み・書き・そろばんを教えていた「寺子屋」のようなものを目指しました。 学ぶ意欲があれば誰でも参加できます。
教職志望の学生が「先生」に 大学での授業でも模擬授業の機会は あるものの多くはありません 教育機会を提供し、実践的な学びを |
教えるのは学科教員もですが、学生が主体です。寺子屋と言うと、数学が苦手な学生に対する支援だけに聞こえそうですが、 他にも狙いがあります。
生物科学科には自然科学コースがあり、教職志望の学生が多く入学します(定員の1~2割程度)。そんな彼ら彼女らに「寺子屋サポーター」になってもらうことにしました。身近な同級生、下級生に対して数学を教えることで、実践経験を積んでいってほしいなと思っています。
教えるには、しっかりと内容を理解する必要があります。指導経験を積むと同時に、サポーターの学生自身の学びにもなるはずですね。
サポート学生による説明のあと、問題演習へ 参加学生が手を動かして、相談できる時間を 多くとるようにしました |
実際に参加した学生の声を紹介します。
初回は、サポーター15名による自己紹介 (4年生2名、3年生2名、2年生10名、助手1名) 学習状況把握のためのチェックテストも行いました |
- 中学生のころからずっと数学が苦手で、詳しく教えてくれる人も周りにいなかった。一人でやっても全く分からなくてほったらかしにしていたけど、これからは毎週寺子屋に来て、少しでも数学をできるようにしたいと思った。
- 今までなるべく数学を見ないようにしてきたので、数学の勉強のコツを学びたい。
- 今まで分からないまま何となく放置してきた所をしっかり理解していきたい。
- 基礎の基礎からできていないと思うので、今から土台を固めることができるか心配ですが、集中して取り組んでいきたいです。
参加学生は20名程度 習熟度別で2クラスに分けて実施しました |
- 高校で数学Iまでしかやってこなかったため、今後の授業では基礎知識を固め、内容を理解できるようにしていきたい。
- 今までは公式を覚えればいいと思っていたので、今後は意味を理解した上で公式を利用して、応用もできるようになりたいです。
- 過去の教科書や問題集を読み直してみて、改めて自分に何が足りないのか、どこが分からないのかを明確にし、少しでも数学への苦手意識を払拭したい。
- 将来理科の教員を目指しているので、人に教えてあげられるくらいできるように頑張っていきたいです。
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- 毎時間SAさんがわかりやすく個人での対応もしてくれるので、数学がわかるようになってきました。 ※ SA=Student Assistant
- SAさんが沢山いらっしゃったので、分からないところがあったらすぐに聞けてよかったです!
- 先輩方が丁寧に教えてくださるので、とても覚えやすかったです。
- 先生に質問できる時間が増えて良かったです。後期も参加したいです。
講義よりも机間指導がメイン |
- 基礎知識を初歩から教えてくれるところが良かったと思う。
- わからなかった問題を以前より解けるようになった。
- 微分を改めて学ぶことができて良かったと思いました。
- 基礎数学でやった内容で理解出来なかった所をこの授業を通して再確認し、理解することができたので良かったです。
- 授業で分からなかった所が復習・確認プリントの疑問を解消していくことができて楽しかった!!
指導する学生1名に対して、 指導される学生は1人もしくは2人 「ほぼ個別指導」での実施 |
どうして寺子屋をはじめたのか?
理工学部では、前期の「基礎数学」と後期の「微分積分」が必修科目となっています。どの学科でも数学は専門科目の土台になりますので、しっかり身に付けておく必要があります。
学生の出身学科は普通科だけではなく、工業系、商業系、農業系と多様です。通信出身の学生も毎年います。
中学や高校の数学に苦手意識のある学生も多くいます。たとえ算数であっても、計算できるだけで意味を忘れてしまう(意味を考えていない)ことは社会人でも良くあることでしょう。
基本となるのは、中学や高校の教科書 |
本学の(特に1年次の)授業では、数学以外でも、中学高校の内容を確認しながら進めていくのが普通ではありますが、それでも苦戦するのは仕方ないかもしれません。
落ちこぼれを見逃さず、大学での授業の内容をしっかり理解して単位を修得してもらいたい、そして、教職志望の学生に教育の実践力を身に付けてもらいたい、という願いから「寺子屋」を立ち上げました。
中学・高校の数学の確認から 大学の授業内容の復習まで幅広く対応 |
生物科学科では「生物科学基礎演習」という科目で少人数の補修授業を行っています。寺子屋はそれに重ねての自主的な補習授業です。
また、今年は「フレッシュマンセミナーA」でも学習支援の時間を設けました(中間テスト前と期末テスト前)。 こちらは、担任を中心に学科教員でサポートしました。
数学の知識そのものというよりも、将来役立つ「数学的な考え方」を身につけてくれたらと思っています。徐々にではありますが、成果も表れてきています。
今後も学生・教員で協力して取り組んでいきます。
2024年度前期のサポート学生は14名!(情報電子工学科の学生1名を含みます)
- 授業を練って実演するのも楽しかったし、個別対応で各学生のレベルに合わせて教えるのも良い経験になった。
- 最初はどのような感じで見回りしたり教えたりしたら良いのか分からなかったが、回数を重ねるにつれて寺子屋参加者とコミュニケーションが取れるようになり、臨機応変に対応できるようになったと思う。
- 後輩とコミュニケーションをとれる数少ない場でもあるので、良い経験になっています。
- 実際に授業をしてみるのは緊張したし、言おうと思っていたことが言えなかった。塾などのアルバイトをしていないので、とても良い経験になった。
- 導入・展開・終結ができているのかを確認するなど、 様々なことを学ぶことができて良かった。他の人の授業を聞いて、私も真似したいと思える授業をしている人がいて参考になった。
初年度は、まずは1年生に限定して、学科でクラスを分けて実施してみました(生物科学科は月曜5限、機械工学科・情報電子工学科は金曜3限)。
サポーターとして、4年生2名、3年生4名、および平田助手が手伝ってくれました(学年は当時)。
2023年度(令和5年度)の寺子屋の取り組みは、学長裁量経費の助成を受けたものです。
- 令和5年度教育改革支援助成「数学教育質向上のための学生ボランティアによる教育支援プログラム」
授業後は、サポート学生同士で反省会 次回の予定も相談しました |
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