6月8日(土)に野外生物実習(海洋生物系)が行われました。
1年次の野外生物実習は「海洋系・動物系・植物系」の実習をそれぞれ実施。1年生全員が3回の実習に参加し、実践的に生物科学を学びます。
海洋系の野外生物実習は人数の関係もあり、渡波海岸と万石浦の二手に分かれて実施しました。
渡波海岸チームには4名の教員と10名のアシスタントの学生(4年生、大学院生)、そして64名の1年生が参加しました。
大学からバスを走らせ20分、サン・ファン・バウティスタパークの駐車場に到着。そこから実習地まで徒歩で向かいます。
この日は最大干潮が 10:47 で、潮位は何とマイナス7 cm!
実習地に到着すると、満潮時には水に浸っている海岸が広く干出していました。暑すぎず寒すぎず、天気も良くて、絶好の調査日和です。
1年生は10班に分かれ、岩礁潮間帯における付着生物の鉛直分布調査と、海岸生物の自由観察を行いました。
付着生物の鉛直分布調査では、コドラートと呼ばれる方形枠を使用して枠内に生息する生物の被度を求め、各生物種の生息状況を定量的に評価する方法を学びました。
潮上帯、潮間帯上部、潮間帯中部、潮間帯下部の4つのゾーンにコドラートを設け、ゾーン間の生物の生息状況を比較することで、水面からどの高さまで生物が分布しているかや、各種の分布の特徴について調査しました。
上の方はフジツボ類やマガキが付着して白っぽく、下の方は緑藻類が付着して緑色に、その間にはムラサキインコガイが多く黒っぽい色になっています。
環境の鉛直的な変化に応じて、生物の帯状分布が形成されています。
よく観察すると、それ以外にもオオヘビガイ、マンジュウボヤ類、カイメン類や、貝類の卵なども見られることに気づきます。
オオヘビガイ |
マンジュウボヤ類(左下)とカイメン類(右上) |
カラマツガイとその卵 |
肉食性巻貝類(おそらくイボニシ)の卵 |
潮上帯には生物が付着しない裸地が広がりますが、そこに点々とアラレタマキビが生息しています。
海岸生物の自由観察では、それぞれ思い思いに生物を採集し、生息している生き物の種類や採集した生物の形や動きについて観察していました。
海で生物調査をするのは初めてという学生も多く、見慣れぬ生物との出会いに目を輝かせ、楽しんでいる様子でした。
1年生が採集した魚(アゴハゼの稚魚?) |
ナマコや海藻類 |
魚を釣って観察しようと頑張る学生も |
渡波海岸は狭い範囲に多種多様な環境が存在し、多くの海岸生物が生息していますが、その年、その時々で見られる生物種に変化が見られる面白い場所です。
今年は潮が良く引いたおかげか、スカシガイ、シワオウギガニ、テッポウエビ、ウバガイ(ホッキガイ)など、昨年の実習ではあまり見られなかった生物も見つかっていました。
スカシガイ |
シワオウギガニ |
テッポウエビ |
ウチムラサキ |
こちらは渡波海岸に定番のメンバーですが、初めて見たという1年生も多く、興味津々の様子でした。
タテジマイソギンチャク |
イシガニ |
ミズヒキゴカイ類 |
ウロコムシ類 |
潮が引いている間の短い時間だけでしたが、実際にフィールドに足を運び五感を研ぎ澄ませて観察することで、多くの気づきや不思議の発見があったことと思います。
大学生活は始まったばかりですが、フィールドからの学びと講義での学びを有機的に結び付け、学習に相乗効果がもたらされることを期待しています。
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