2026年6月16日火曜日

海洋生物ラボの生き物たち (2) ~ ヒメタツ ~

1号館1階にある「海洋生物ウェットラボ」は、研究に用いる生物を飼育・維持する場です。

前回はミズクラゲと海産等脚類を紹介。 今回は「ヒメタツ」を大学院生の畠山さん(2025年度時点)に紹介してもらいました。

学会の懇親会で談笑する畠山さん(右)
そのときのブログ記事はこちら


今回紹介する生き物は、タツノオトシゴの仲間「ヒメタツ」です。

ヒメタツは2017年に新種として登録されたタツノオトシゴの仲間で、学名はHippocampus haemaといいます。大型で15 cm以上になるクロウミウマなどとくらべると小型で、最大でも10 cm程度の大きさにしかなりません。

ウェットラボではこのヒメタツの繁殖と、ヒメタツ稚魚を健全に成長させるために飼育実験を行っています。

現在飼育しているヒメタツは宮城県で採取されたもので、5月に70匹以上の赤ちゃんを出産しました。タツノオトシゴはメスがオスの育児嚢(卵から稚魚まで成長させる袋状の構造)に卵を産み付け、オスが卵を孵化するまで抱えます。

 

ヒメタツの出産シーン

 

飼育に関しては、仙台うみの杜水族館で飼育員をされている石巻専修大学OGの佐藤光優さんから、餌の栄養強化の仕方やヒメタツが繁殖行動を行えるような水槽の形状など、非常にためになるご指導をいただきました。



小型のヒメタツは大型のタツノオトシゴの仲間と比べて、生まれる稚魚のサイズが大きく、生まれた直後から着底(尻尾で何かに巻き付くこと)します。初期餌料には休眠卵から孵化させたアルテミア幼生を与えました。

稚魚の飼育は比較的簡単でしたが、稚魚が成長するにつれて餌をアルテミア幼生からより大きなイサザアミ(アミ類)へと餌を変えていかなくてはいけません。

生きたイサザアミを常時確保することは難しいので、基本的には冷凍のイサザアミを代用しますが、ヒメタツは動くものにしか反応しないため、冷凍イサザアミを食べてもらう一工夫として、アルテミア幼生も同時に与えました。

冷凍イサザアミは水槽の水をひどく汚してしまうのでろ過装置を使いたいところですが、そうするとアルテミア幼生までが吸われてしまいます。そのため、良い餌環境を保つのに頻繁に水替えを行わねばならず、安定してヒメタツを成長させるには労力とともに根気と愛情が必要でした。

仙台うみの杜水族館にて
 

そんなウェットラボで生まれたヒメタツも、親とほぼ同じ大きさになりました。次の世代の繁殖を目指してこれからも奮闘していきます!

また、仙台うみの杜水族館さんでもウェットラボで生まれたヒメタツ達が展示されているので、ぜひ足をお運びください!!



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