11月1日(土)に、3年生の動物学実習の一部として、フィールドワークを行いました。参加者は8名でした。
この日の目的は「シカの採食圧が森林生態系に与える影響を評価すること」です。
シカの影響をあまり受けていない大学演習林と、シカが高密度で生息する牡鹿半島の森林をそれぞれ歩き、植物の生育状況について実感してもらうことを目的としています。
大学演習林(大学から徒歩5分)
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| ガイダンスの後、大学から歩いて演習林へ 「さあ、出発!」 |
大学演習林はシカの生息密度が低いため、アオキなどの常緑広葉樹が比較的多く残っています。下層植生もそこそこ残っています。
動物生態学研究室の学生がここで調査するときは、ナタを携帯し、時々ヤブを払って進みます。
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| アオキ (Aucuba japonica) 緑の葉と真っ赤な果実のコントラストが特徴 シカが好んで採食します |
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| うげ、クモの巣だ |
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| 「藤原先生、これは何の虫ですか?」 |
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| 3年生の鳥畑君が、この森林でスタートさせたばかりの 自分の研究について紹介しました |
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| 演習林の散策は終了 「おーい、みんないるかー?」 |
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| 大学から徒歩5分に調査地があるというのは、 石巻専修大の大きな強みです |
牡鹿半島・清崎憩いの森
バスに乗って1時間、こちらは牡鹿半島先端部に位置する、清崎憩いの森です。
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| ミツバアケビ (Akebia trifoliata) |
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| サルナシ (Actinidia arguta) どちらも、森の動物たちの大好物です |
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| サンショウ (Zanthoxylum piperitum) 樹皮にするどいトゲが映えているのがシカが好まず 林内に高密度で生育しています シカが高密度で生息する半島部には、 このようなトゲ植物や 毒のある植物が数を増やします。 |
途中で休憩しました。
大学構内で夏に採取されたハチミツを、みんなで試食しました。夏の花々の濃厚な味わいが口に広がります。今回はチーズクラッカーをハチミツのお供にしました。
網でそっとすくってみると、なんとずっしりと重い巨大なモクズガニです(でかっ!)。さすが生粋のフィールドワーカーですね。
それにしても立派なハサミです。モクズガニはハサミにびっしりと「藻屑(もくず)」のような柔らかい毛が生えているのが特徴です。
注意:海岸での生物採集は、地元の漁協に事前に許可を得て行い、観察後は元の場所に放しました。無断採集は禁じられていますので、ご注意ください。
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| おや、学生たちと藤原先生が朽ち木を崩し始めました |
なんと、コガネムシ(甲虫)の仲間の幼虫が10匹以上でてきました!
たった1本の朽ち木に、こんなにたくさんの幼虫がいるとは驚きです。よほど住み心地がよいのでしょうか?
幼虫を何匹か持って帰った横山君(藤原研)は、自宅で飼育体制を整えて来年の羽化に挑戦することにしたそうです。どんな姿の成虫が羽化してくるか、楽しみですね。
学生の感想(一部抜粋)
- シカが増えすぎるとそのエリアから植物が消失してしまうほどの影響があることを学んだ。シカの影響が異なる場所を回ったことで、動物と植物双方に興味を持つことができた。
- 講義で学んだシカの採食圧を実際の環境で観察することができ、理解が深まった。
- シカが植生に与える影響を実感できた。
- 清崎では、シカのフンがたくさん落ちていたので驚いた。
- 昼休憩の時間に出されたハチミツはとてもおいしかった。セイヨウミツバチと二ホンミツバチで味や香りに違いがあることも分かった。
- 舗装されていない演習林を歩くことで、自然を観察できてとても貴重な経験だった。
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