2025年9月8日月曜日

1年次の野外生物実習(海洋生物)を実施! 石巻魚市場・ホエールタウンおしかの見学

5月31日(土)に野外生物実習(海洋生物系)が行われました。

当初は石巻市渡波にある海岸で岩礁潮間帯における付着生物の鉛直分布調査と、海岸生物の自由観察を行う予定でしたが、当日は暴風警報が出る悪天候。

急遽予定を変更して、大学の近隣施設の見学を行いました。

 

 

 
石巻魚市場

降りしきる雨の中、まずは石巻市魚町にある石巻魚市場に向かいました。

 

3班に分かれ、石巻魚市場の場内見学、石巻市水産総合振興センターの見学、石巻魚市場についての座学を行いました。

石巻魚市場に到着

石巻魚市場が位置する石巻漁港は全国に3000以上ある漁港から13港のみが指定されている「特定第3種漁港」の1つ。

特定第3種漁港は最も重要かつ用途が全国的な漁港が指定され、この13漁港だけで日本全国の水揚げ量の約30%を占めています。

 

場内の見学

石巻魚市場の主要な水揚げ魚種はサバ、マイワシ、銀鮭、カツオ等で、2023年の水揚数量は全国6位で、水揚金額は全国7位です。


魚市場の場内を歩きながら見学し、世界一長い魚市場としてギネスに登録された全長875.47mの長さを体感。

歩いても歩いても端っこまでたどり着きません
 
すでに陸揚げされた水産物の仕分けやセリ、出荷の作業が終わってしまっている時間だったため、魚の姿はありませんでしたが、衛生管理や放射能汚染検査システムなどの先進的な魚市場の施設を見学させていただきました。


連続個別非破壊放射能測定システム

座学では、本学生物科学科卒業生の佐藤遼さん(2015年卒)に魚市場の概要について説明していただきました。

卒業生による座学

世界三大漁場の三陸沖では、暖かい黒潮と冷たい親潮が交わることで栄養豊富なプランクトンが発生し、多種多様な魚介類が集まること、この自然の恵みによって、石巻魚市場には毎日新鮮で高品質な多種多様な魚が水揚げされ全国の食卓へと届けられていることを学びました。

 

魚市場に隣接する石巻市水産総合振興センターへ

情報資料室では石巻漁港で水揚げされる水産物や
水産加工技術が紹介されていました


石巻魚市場は世界三大漁場の海の恵みを実感できる場所でした。


 

 

ホエールタウンおしか

石巻魚市場の見学のあとは、再びバスに乗車して石巻市鮎川浜にあるホエールタウンおしかに向かいました。

ホエールタウンおしかは、牡鹿半島ビジターセンター、おしかホエールランド、観光物産交流施設 Cottu(こっつ)の3つの施設からなる牡鹿半島の観光交流拠点施設です。

またまた3班にわかれて3つの施設を見学

 

牡鹿半島ビジターセンターでは、本学生物科学科卒業生の「キノコ佐藤」こと佐藤慶治さん(2019年卒)に施設を案内いただきました。

卒業生からお話を聞けるのは良い刺激になります

牡鹿半島ビジターセンターは、三陸復興国立公園の南端となる牡鹿半島エリアの自然の恵みや自然とともに生きる人々の暮らしについて紹介する施設。牡鹿半島に生息する生物が展示されています。

飼育しているヤマビルの解説

牡鹿半島はシカが多く、その影響でヤマビルも多い地域。「山の中で突然出会うとびっくりしてしまうかもしれませんが、ここでは安全な距離でじっくり観察することができます」とのこと。

 

おしかホエールランドでは、学芸員の「クジラ先生」こと山本龍治さんに解説していただきました。

骨格標本でマッコウクジラやコククジラの
体のつくりを解説する山本龍治さん

山本さんは東京海洋大学鯨類学研究室出身のクジラのスペシャリスト。

クジラとイルカの違いについてや、クジラの体のつくりや生態について説明していただきました。イルカ・クジラ好きな学生も少なくないため、とても刺激的な時間となったようです。

クジラヒゲを実際に触らせてもらいました
ヒトにクジラヒゲが生えたらこんなサイズ感

クジラの体表に寄生するクジラジラミの標本と記念撮影


観光物産交流施設 Cottuでは、鯨のまち鮎川浜の鯨料理や加工品、マッコウクジラの歯を材料にした工芸品や牡鹿の海産物などを見学しました。


インフォメーションコーナーに設置されたミニ水族館では
地元で採れた魚が飼育されていました
魚好きの学生たちはくぎ付け

生簀にも魚が泳いでいました



ホエールタウンおしかの見学中に雨・風はどんどん強くなり、大雨暴風の中、バスで大学まで戻りました。



今回、悪天候により当初予定していた海岸での生物観察の実習を行うことができなかったのは残念でしたが、大学の近隣施設を巡ることで、石巻地域の自然と人との関わりを学ぶ貴重な機会になったと感じました。実際に運んで感覚で味わうことで、多くの気づきや発見があったことと思います。

これからの大学生活では知識を身につけるだけではなく、自分の目で見て納得するという経験をたくさんしてほしいと期待しています。

急なお願いにも関わらず快く施設の案内をしてくださった、石巻魚市場、おしかホエールランド、牡鹿半島ビジターセンターのみなさま、本当にありがとうございました!



実習に参加した1年生からのコメント

  • 魚専門でギネス認定されるほど大きい市場が宮城県にあることに驚いた。とても広かったが、清潔で物の配置も無駄がなく動線が確保されていて驚いた。


  • 牡鹿半島ビジターセンターでは、自然と歴史の両面から地域を知ることができました。美しい自然の中で人々がどのように生きてきたのか、古くからの文化にも触れることができ、地域の奥深さを実感しました。
  • 牡鹿半島ビジターセンターでは、ヒルに自分の血を吸わせるのを楽しんでいる職員に驚いたが、その方が石巻専修大学の卒業生だったのでさらに驚いた。石巻専修大学を卒業後も石巻で働いている先輩方の存在を知り、改めて石巻がそれだけ魅力的なのだと気づいた。


  • 今回初めておしかホエールランドに行ったが鯨の骨格標本の大きさは想像以上だった。骨格にするまでに一度土に埋める過程があるとは思っていなかったので驚いた。
  • おしかホエールランドでは、実際にクジラの歯やひげを触らせて貰えました。クジラの標本は凄く大きくて、そのクジラの標本を使ってクジラの親指はどっち側にあって小指はどっちだろうとか、クジラは実は4本足で歩いていて、現在は海にいるからクジラの体には後足の骨盤痕跡骨として残っている部分が標本にあって詳しく教えてもらえて面白かったです。

  • ホエールタウンでは、捕鯨の歴史や人々の暮らしが丁寧に紹介されており、クジラが単なる漁業資源ではなく、人々の生活や文化と深く結びついていたことを知りました。特に印象的だったのは、クジラを「いただく」ことへの感謝の心が、捕鯨文化に深く根付いているという点です。それを知ってから、クジラという生き物自体に強く興味を持つようになりました。種類の違いや生態など、もっと詳しく知りたいと思うようになったのは、自分でも意外な発見でした。


  • この2つの場所(石巻魚市場とホエールタウンおしか)は石巻のことを知るのにとてもいい場所だと思う。海に調査に行きたかったけど、施設見学も面白かった。これからも石巻の魅力に気づくために様々な場所に行きたい。
  • この見学を通して、食の大切さや漁業の役割について深く考えることができ、将来の進路や地域貢献について改めて考えるきっかけとなりました。今後もこの経験を活かし、学びを広げていきたいと思います。




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#実験・実習 #学生の声  #卒業生 #海洋生物・環境コース

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