海岸には、どんな生き物が暮らしているのでしょうか?
6月20日(土)、1年生を対象とした野外生物実習(海洋生物編)が実施されました。
今回の実習では、岩場に生息する生物の分布を調べたり、カニやヒトデなどの海岸生物を観察したりしながら、実際のフィールドで海洋生物の生態を学びました。
野外生物実習は5月23日に第1弾の植物実習、6月6日に第2弾の動物実習が実施され、第3弾の海洋実習で最終回となります。
海岸へ出発!
| 朝は北門のロータリーに集合 |
大学に集合してからバスを走らせること20分。サンファン・バウティスタパークで駐車場をお借りして、実習地まで徒歩で移動しました。
渡波(わたのは)の海岸に到着すると、1年生が13班に分かれて調査をスタート!
今回の実習では、大きく2つのテーマに取り組みました。
- テーマ1 「岩礁域潮間帯の生物分布調査」
- テーマ2 「海岸生物の自由観察」
| 実習地の渡波海岸 |
実習には、教員4名に加えて3名の助手が参加してくれて大活躍。
さらに、各班にはSA(Student assistant:4年生)やTA(Teaching assistant:大学院生)の先輩が1名ずつ配置され、学生たちの調査をサポートしました。
テーマ1「岩礁域潮間帯の生物分布調査」
最初のテーマは、磯の潮間帯に見られる生物の「帯状分布」を調べることです。
潮間帯(ちょうかんたい)とは、潮が満ちたり引いたりすることで、海水につかったり、空気中に現れたりする場所のこと。高い位置ほど空気中に晒されている時間が長くなるため、高さによって環境の勾配が顕著に現れます。
高さによって生息する生物種が変わってくるため、同じ高さには同じ種の個体が多く見られるという帯状の分布が形成されます。
| 上からイワフジツボ、マガキ、 ムラサキインコガイ、緑藻類が帯状分布 |
コドラート法で生物の分布を調査
実習では、鉛直方向における生物の変化を定量的に評価するために「コドラート法」と呼ばれる手法を用います。
岩場に方形枠(コドラート)を設置し、その枠の中にどのような生物が、どのくらいの割合で生息しているのか(被度)を調べます。各生物種の被度を求め、
- 潮上帯
- 潮間帯上部
- 潮間帯中部
- 潮間帯下部
の4つのゾーンで、比較する調査を行いました。
| 岩場にコドラートを設置して被度を算出 |
各班で
- コドラート設置
- 被度の算出
- 海面からの高さの計測
- 記録
など、それぞれ役割を分担。正確かつ効率的に調査を進めるため、チームワークを発揮させていました。
| 標尺を用いて海面からの高さを計測 |
| 班ごとに計測の仕方に個性がみられます |
| 「人間水平器」も大活躍! |
| コドラート内にみられる生物の種類を 解説しているのは高橋計介先生(二枚貝生理学) |
| 学生たちも自分で生物種を見分け 目視で大まかな被度を計算しています |
テーマ2「海岸生物の自由観察」
学生たちは、事前に考えてきたテーマや、実際に海岸で生物を観察する中で思いついた疑問をもとに、五感を研ぎ澄まして自由に観察や実験を行いました。
| 実習地では、岩と砂泥底からなる潮間帯が広がります |
| 石をひっくり返したり、網を使ったりして 様々な生物を採集しました |
カニ、ヒトデ、ナベカ …
さまざまな生き物を発見!
自由観察では、さまざまな生物が見つかりました。
見つけた生物の種類や生態を調べる学生もいれば、カニ類やイトマキヒトデ、タテジマイソギンチャクなどの特定の生物に着目して、生息場所や模様の違い、行動の特徴について観察を行った学生も。
一人ひとりが興味を持ったテーマに取り組み、個性を発揮した課題が展開されていました。
| イトマキヒトデとイソガニとヒライソガニ |
| イソガニとヒライソガニとイワムシ |
イトマキヒトデ、イソガニ、 |
| 模様が美しいギンポの仲間「ナベカ」 |
| 海底から触糸と鰓糸(さいし)を出している ミズヒキゴカイの仲間 |
この日は、最大干潮の潮位が25 cmとあまり潮の引きが良い日ではありませんでした。それでも多くの生物が観察でき、学生たちは見慣れぬ生物との出会いに目を輝かせていました。
実習の終盤には小雨に降られてしまいましたが、無事に実施できて一安心。
昨年は悪天候でフィールド実習を行うことができず、石巻魚市場・ホエールタウンおしかの見学に急遽変更していました。
海岸で生物を観察すること自体が初めてという学生も多く、普段の授業とは違った、発見に満ちた一日となったのではないかと思います。
実習を終えた学生たちからは、こんな声が寄せられました。
「同じ岩でも、たった数十センチ違うだけで…」
- 今回の実習では、潮間帯の生物を新しい視点で見ることができた。今までも磯場で生き物を探すことはあったが、今回のように、それぞれの位置ごとにどんな生き物が生息しているかを細かく調べたことはなかったので新鮮だった。思っていたよりも、潮間帯の生物の構成やそれぞれの種間の関係は複雑なものだと感じた。
- 同じ岩でもたった数十センチ違うだけで、生息している生き物に大きな違いがあることに驚いた。
「見方が変わった」
- 今まで海に行くのは釣りのためであり、足元の岩場などには目を向けたことがなかったため、今回の実習では新たな発見が多くありました。今まで生き物ではないと思っていたものが、実は生きているものだと知り驚きました。
- 今回の海洋実習を通して特に印象に残ったのは、小さな岩や貝の周りだけでも多くの生物が共存し、それぞれの環境で生活していることだ。
「自ら観察する姿勢を、これからの学びへ」
- 実際に自分の目で観察することで、生物の特徴や行動への理解が深まり、座学では得られない貴重な経験となった。
- 実際に生き物に触れたり、動く様子を観察したりすることで、教科書だけでは分からない発見がたくさんありました。また、なぜこのような形をしているのか、どのように生きているのかなど、多くの疑問も生まれました。
- 今回の経験で得た「自らフィールドに足を運び、五感を研ぎ澄まして観察・記録する」という姿勢を、今後の生物科学の学びや研究に大いに活かしていきたいと思います。
今回の実習では、海岸に生息する生物を観察するだけでなく、生物の分布を調べ、データを取り、環境との関係を考えるという、生物科学らしい学びを体験しました。
「なぜ、ここにこの生物がいるのか?」
実際にフィールドに出て、自分の目で観察することで、教科書だけでは気づきにくい「なぜ」が生まれます。
その疑問を自ら調べ、考えることが、生物科学を学ぶ大切な一歩です。
生物科学科をもっと知る
- 海洋生物・環境コースの紹介はこちら 「プランクトンから深海魚まで、海の生き物の生態や生息環境について学ぶ」
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