2024年2月27日火曜日

本学在学生が、41年ぶりの大発見!

ミヤマダイコクコガネ♂(イラスト:成田歩)
無断転載を禁ず


動物生態学研究室の4年生、成田歩君は、卒業研究としてニホンザルが排泄するフンに集まるコガネムシ(糞虫類)の生態を研究しています。

2023年5月、調査地である金華山島で落とし穴トラップのベイトとして使うサルのフンを探していたところ、成田君は見慣れない糞虫を捕まえました。

金華山島で糞虫を採集する成田君

サル糞を入れたプラスチックコップを埋めておくと、糞虫が落ちてくるので(ピットフォールトラップ)、これを採集します。 



成田君が採集した「謎」の糞虫類

捕獲個体は現在、
本学科の標本展示室に収蔵されています
 

この虫に興味を持った成田君は、2023年8月と9月に追加の調査を行い、さらに5匹の捕獲に成功しました。

昆虫の専門家に同定してもらったところ、この虫は全国的に分布が限られている希少種、ミヤマダイコクコガネ (Copris pecuarius) であることが分かりました。

実は金華山では1980年代に本種の採集記録がありますが、それ以降は記録が途絶えており、実に41年ぶりの発見となりました。

 

専門家の助言を得て、成田君はこの発見を昆虫専門の雑誌に報告することにしました。卒業研究と並行しての執筆作業となりましたが、2024年1月に報告文が掲載されました。

在学中の学生による専門誌への報告は、快挙と言えます。

雑誌に掲載された報告文
この原稿は、成田君がほぼ一人で執筆しました


「研究」というと、なんだか遠い世界のようなイメージがあるかもしれません。

しかし自然に対する愛情と「知りたい」という情熱、そしてちょっとした幸運が重なれば、たとえ学部生であっても科学の世界に貢献できるのだということを、成田君は示してくれました。

みなさんも、身近な自然に隠れている謎の解明にぜひチャレンジしてください。


ミヤマダイコクコガネは体長が約23 mmと、わが国では最大クラスの糞虫です。

オスにはカブトムシのようなかっこいい角があります。山間部に見られ、平地の牧場等に生息するダイコクコガネとの住み分けが見られるそうです。 




  成田君へのインタビュー
 

Q  珍しい昆虫の採集記録を報告した感想は? 大変だったことは?

A  大変だったのは標本の作製でした。展脚がうまくできず苦労しましたが、楽しみながら作業できたと思います。

また、近縁種のダイコクコガネ(C. ochus)は、駆虫剤の影響によって絶滅危惧種(絶滅危惧Ⅱ類, 環境省)に指定されており、本種も全国的に生息数が減少しつつあります。それでも本種が40年以上にわたって金華山で生息し続けることができたのは、この島が国立公園に指定されており、人間活動の影響が少ないためだと考えられます。

そうした観点から今回の発見は、生物多様性保全の意義を、改めて実感させられる経験になったと感じています。

 

Q 金華山の調査で印象的だったことは?

A 昆虫類をはじめとする小さな生き物が豊富で多様だったことです。こうした生き物たちは、多くの動物の食物となるだけでなく、サルやシカの生息環境を支えています。

私のように、生き物同士のかかわり・つながりを研究したいと考えるなら、金華山は最高の環境であると思います。


Q これから卒業研究に取り組む後輩へメッセージをお願いします

A 調査自体は一時的・肉体的苦労がありましたが、得られたデータが何を意味するのかについては、多くの時間悩みました。しかし、生き物たちのつながり(私の場合、糞虫類 × サル × 植物)が明快になるにつれ、自分の研究テーマが一番面白いのではと思うようになりました。

卒業研究に臨むにあたって、基礎知識や先行研究などの学習は不可欠ですが、さらに重要なのは自分の研究テーマを楽しむことだと思います。




2024年2月5日に開催された動物コースの卒研発表会で、成田君はメインの研究成果を発表。野外調査と室内実験を組み合わせた、完成度の高い研究でした!お疲れさま。





調査のひとコマ
 

金華山島は山小屋での生活となるので、基本的に自炊をします。小屋での語らいの時間も楽しいです。

さて…これは何をしているのでしょう?実は「トイレの汲み取り」です(食事中の方、ごめんなさい)。

山小屋のトイレはいわゆる「ぼっとん便所」です。山にはバキュームカーなど来てくれませんから、定期的にみんなで汲み取り汲み掃除をしなければなりません。小屋のメンテナンスも、調査のうちです。

野外調査では、自分の研究のことだけ考えていればいいわけではありません。共に過ごす仲間が気持ちよく過ごせるように、気遣いが大切なのです。




動物画家としての一面も

成田君は素晴らしいイラストの描き手で、本学科の各種イベントのイメージイラストの作成に活躍してくれています。

今回は、彼の卒業研究のパートナーでもあったオオセンチコガネと、彼が大好きなオランウータンのイラストを紹介します。


オオセンチコガネ(イラスト:成田歩)
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タパヌリオランウータン(イラスト:成田歩)
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「私立大学1・2・3」に取り上げられました




海洋生物ラボは完成済。フィールド調査で採集した生物の行動観察や飼育実験など、学生が主体となった取り組みが活発に行われています。