2025年6月18日水曜日

学習支援 × 教育実践「寺子屋」 約40名の学生と12名の寺子屋サポーターが学び合い

 

年度初めの慌ただしさも落ち着いた5月に、2025年度前期の「寺子屋」がスタートしました。

 

寺子屋は始めて3年目。学びたい学生を支援する理工学部独自のプログラムです。

軌道に乗ってきたこともあり、今年度の参加者は約40名! これに対して2年生以上の学生12名(寺子屋サポーター)が指導にあたっています。教員2名は教える側、教えられる側の両方を指導。

 

正規の授業ではなく、自主的な活動であるにも関わらず、生物科学科1年生の2割~3割程度の学生が参加して勉強に励んでいます。

2年生以上の学生も参加しています。生物科学科の参加者数は昨年度に比べて倍増しました。

 

 

初回はチェックテスト & 寺子屋サポーターの自己紹介


初回はクラス分けのためのチェックテストを行いました
自分のどこに知識の抜けがあるのかの確認も

学生をサポートしてくれる先輩学生+教員の自己紹介

 4年:菊地
 3年:猪狩、内海、加藤、工藤、服部、新倉
 2年:武藤、伊藤、廣部、青山
 助手:成田、元助手:平田、教員:渡辺 

次回以降に向けての作戦会議
クラス分けの相談、実施内容の検討


参加学生の声(初回のアンケート結果を抜粋) 

  • 高校ではテストのために理解できないところを暗記で覚えていたので、分からないところも理解できるまで時間をかけて勉強したいです。 
  • 苦手だからといって後回しにするのではなく、きちんと復習をして解けるようにしていきたいと思います。 
  • 中学生のときから数学の「分からない」「解けない」を放置してしまっていたので、学び直して基礎数学の単位を落とさないように頑張りたいです。
  • 数学で何が分からないかが分からないので、自分を知り、数学を得意にしたいです。 
  • 寺子屋では知ったかぶりになったり諦めたりせず、基礎力を身に付けられるように努力します。 
  • 今まで数学は公式だけ見て覚えてきたので、小学生・中学生の最初に習った基礎的なやり方を復習して、説明できるようにしたいです。 
  • 今までは数学がつまらなくて、その場しのぎの暗記で何とかしてきました。これからは、10年経過しても忘れないくらい、数式や記号の由来などを関連付けて楽しみながら学びを深めたいです。  

  • 小さなことの積み重ねが分かる分からないにつながると思うので、気を抜かずに、楽しく、数学と向き合っていきたいです。また、教員になるかは分かりませんが、教員免許を取ろうと考えているので、教わる教える目線も養っていきたいと思います。
  • 自分のためだけではなく、人のためにもなるよう、基礎からじっくりと学び直したいと思っています。中学生に教えられるようになりたいです。 
  • 理屈を考えずにただ回数だけこなしてすぐ忘れる…という効率の悪い勉強をしてきてしまったので、大学では理屈や原理をしっかりとおさえた上で、質の良い勉強をしたいです。また、教職を目指しているので、自分の言葉で分かりやすく人に教えるという練習もしてみたいです。そのために、まず自分がしっかり理解できるように日々演習していきます。 


 

 

2回目以降は2クラスに分かれて

毎週金曜の5限に、2210教室と2211教室で実施しています。途中参加、歓迎します。先生方の様子見も歓迎です。 

クラスごとに毎回メインの担当者を決めて「ポイント解説→問題演習」を繰り返します。たとえば、前半がチェックテストの基本事項確認で、後半が基礎数学の内容の確認といった具合。 

この日は、前半が直線の方程式の確認で、
後半がサインとコサインの求め方の確認

演習の時間を多く取るようにしています

前に出て書いてもらったり、当てて答えてもらったり、
いろいろなスタイルで行っています


武藤先生(中央、微生物資源学)が顔を出してくれました
数学の演習科目である「生物科学基礎演習」を担当中です

学生によっては、基礎数学の時間とは別に
生物科学基礎演習と寺子屋で週2回、数学を特訓!

サポート学生は積極的に話しかけてくれます

授業で分からなかった部分も寺子屋で解決

間違いやすいポイントを経験者の視点で

基礎数学の中間テストの結果で
再度クラス分けをするかも?

・テスト内容をイチから確認するクラス
・テストも確認しつつ、新しい範囲の演習を行うクラス



教える側は教育実践の場として

サポート学生はSAとして雇っているため、ある程度の責任が伴います(SA=Student Assistant)。もちろん行き当たりばったりで授業を行っている訳ではなく、しっかりと準備をして臨んでいます。

なお、教える側の学生も授業がありますので、テスト期間は勉強タイム&質問タイムにすることで継続しています。 

普段は Teams を使って、寺子屋の内容の検討や報告を行っています(毎回の授業後に軽く相談したうえで)。

メインの担当者は事前に板書計画などの具体的な内容を共有して、チェックを受けます。授業後も事後報告を行い、次に活かします。

毎回の授業ではサポート学生全員にコメントシートを配布して、良かった点や改善点、そして学生の様子や自分の反省点などを書いて提出してもらっています。たとえば、次のようなものです。

  • 声が大きくて聞き取りやすかった。
  • 全員を指したためか、皆さんが質問を積極的にしてくれたように思う。 
  • 解き方を2パターン解説したりと、学生の理解度が高まったと思う。 
  • 早く解き終わった学生用に、別の問題を用意しておいても良いかも。
  • ノートの取り方についても教えた方が良いと感じた。グラフは大きくかく、自分が間違えた跡は消さずに残す、など。

これらも Teams で共有し、良い部分は取り込んでもらい、改善点は次に活かすということを行っています。

 


 

石巻専修大学・中長期ビジョンの実現に向けて

石巻専修大学・第2次中長期ビジョン には7つの行動目標があります。その1番目には「学生支援の強化による学生活動実績の向上」が挙げられており、寺子屋はその目標に向けた取り組みになっています。

寺子屋は自主的な活動ですが、来年度以降は科目化し、継続的に実施。(卒業単位に含まれない)自由科目として、理工基礎演習I(前期)、理工基礎演習II(後期)という名称で開講予定です。

大学HPより

 

 

【関連ブログ記事】 

 

2025年6月16日月曜日

1年次の野外生物実習(植物)を実施!「実際に見て触れて学ぶことの大切さを知った」

5月24日(土)、1年生にとって初めての野外生物実習となる植物実習を実施しました。実習地は、宮城県北西部に位置する栗原市の花山です。

1年生は、所属コースに関係なく、全員が海洋生物・動物・植物の合計3回の「野外生物実習」に参加。石巻・宮城のフィールドを活かした実習が展開されています。

 

植物実習の担当教員は、根本、依田、宮嵜、中川、渡辺、武藤、成田の7名。

そして、大学院生や4年生8名がSAとしてサポートしてくれました(高橋、小林、西村、加藤、照井、宮林、千葉、下沢)。※ SA = Student Assistant


 

バス4台で花山へ


点呼を取って出発! 大学からは7:00発

 
大学のほか、石巻駅、涌谷駅、小牛田駅、古川駅が出発点

 

約2時間で到着
雨が心配でしたが、何とか持ちこたえました

宮城県民にとってはお馴染みの?
国立花山青少年自然の家


御駒山(おこまやま、標高522m)を登ります

 

 

 

登山開始!


御駒山は比較的登りやすい山で、さまざまな植物を観察することができます。

温帯は暖温帯、中間温帯、冷温帯に分かれますが、ここは中間温帯林(イヌブナ、コナラなど)から冷温帯温林(ブナ、ミズナラなど)のふたつの植生帯の移行帯となっています。 

特徴的な植物が見つかったら、
根本先生がそのつど説明

葉の付き方を観察
「これは単葉?複葉?互生?対生?」
※互い違いに付くのが互生、対になって付くのが対生

コシアブラは掌状複葉
これで1枚の葉っぱです
 

野外生物実習の目的は、授業で学んだ知識をもとに、野外に出て直接生物を観察し、その生息環境を観測することで、生物の営みについて深く学ぶこと。

植物実習は、森の種類(植生)を見分けること、森の構成種の特徴を見分けること、そして森の地形(尾根と谷)を読むことが目的です。 

 

何を見た?何を聞いた?何を触った?何を嗅いだ?

五感を使って積極的に学び取り、後日レポートにまとめて提出します

シダの葉を裏返して胞子を確認


植物だけではなく、虫も観察したり…
食欲旺盛ですね


依田先生が樹木の特徴を説明

4グループに分かれて行動しました
 

ギンリョウソウの大群落が見つかり、写真撮影大会

緑と茶色の世界にポツンと白の世界が
光合成を行わない腐生植物です

 花の中をよく観察すると
青い雌しべと黄色の雄しべが 


他の木に絡みつくことで上を目指すヤマフジ
絞め殺し植物の一つです
 

ジュウモンジシダを手に説明する中川先生
 

根本研の学生が運んできてくれた秘密兵器?
高枝切りバサミで、葉を採集

可憐なツリバナ
山ならではの花の一つです

 


お昼休憩のあとは、沢に沿って下るコースと、さらに登山するコースに分かれて


有志は「さらに登山コース」へ

こちらは「沢沿いコース」


帰りも植物を観察しながら

「タゴガエル?」

大学院生の高橋さんはネズミの死体を見つけて、
調査用に回収していました


「着いたぁ!」

たまたま「さらに登山コース」と「沢沿いコース」が
同じタイミングで到着

「先生!言ってたのと違うじゃないですかぁ(笑)」と
意外と大変だった模様

おつかれさまでした!

  


学生の感想

  • 実際に植物を見て説明を受けることで、図鑑やネットの写真では分からないことまで理解することができた。 
  • 花山のほんの一部のハイキングコースであっても、そこにある植物は多様で、日当たりや湿り気などのほんの少しの環境の差で異なる植物を見たり知ったりする楽しさを学べた。 
  • 前は綺麗な花が咲いていてもただ見ているだけだったが、実習中に単葉や複葉、互生対生を理解してから、葉の裏側まで見るようになり、今までとは違う視点で観察をするようになった。
  • 見つけた植物について調べていくうちに植生について興味が湧いたので、実習の経験を活かして今後の学びにつなげていきたい。 

  • 実習が終わってからも、植物の葉や花、実などを見ては「これは~かな」「~っぽいな」というように今まで見ていた景色がより一層鮮やかに見え、いつも通る道が楽しく感じられるようになった。
  • ニワトコの独特な香りや、ウツギの名前の由来、フジの力強さ、見たことのないくらい大きなシダなど、色々なものに興味をそそられ、実際に見て触れて学ぶことの大切さを知りました。
  • 植物を専門としている先生方が、生き生きとして山の中を突き進んで行き、目を輝かせながら説明する姿がとても印象に残っています。今後の大学生活を通して、先生方のように自分の好きなものに真剣に向き合い、本気で楽しむことができる人間へと成長していきたいです。



  

 【関連ブログ記事】 #実験・実習 #動画 #学生の声

 

 

1年次の「野外生物実習」

所属コースに関係なく、全員が海洋系・動物系・植物系の合計3回の実習に参加。石巻・宮城のフィールドを活かした実習が展開されています。

  • 5月24日(土) 植物系の実習  落葉広葉樹林での植物観察(栗原市花山)
  • 5月31日(土) 海洋系の実習  潮間帯の生物分布調査(渡波海岸) 悪天候で予定変更:石巻魚市場、おしかホエールランドの見学
  • 6月 7日(土) 動物系の実習  微生物・昆虫観察、水質調査、野生動物調査(北上川、大学演習林)
 
 
 

2025年6月12日木曜日

野外生物実習「海・川・山での野外活動・野外採集の注意点」について、フィールドワークの専門家が講義

 

生物科学科では1年次の5月から6月にかけて3回の野外生物実習が行われます。

その事前学習として4月に、フィールドワークの専門家である4名の教員による「野外活動・野外採集にあたっての注意点」の講義が行われました。
 

  • 陸上動物の専門家である辻大和先生は
    「フィールドワークを行う際の注意事項と野生鳥獣の捕獲についての注意」
  • 植物の専門家である根本智行先生は
    「植物採集の注意点と植物標本作成について」
  • 海の生物の専門家である阿部博和先生は
    「野外採集にあたっての注意点ー海洋生物編ー」
  • 川の生物の専門家の久米学先生は
    「河川で採集を安全にするために」


野外活動での安全対策から生物採集に関する法律まで、自分の身を守るために知っておかなければならないことが盛り沢山の講習会となりました。

 


学術目的の鳥獣捕獲申請は国や都道府県の審査を経て
許可が出るまで1ヶ月かかります

許可せず捕獲すると本人は勿論、
大学全体が処罰を受けることになります

獲ってはいけない動物は絶対に獲らないように!!!

これは卒研での演習林のネズミの捕獲の申請書

目的、方法、捕獲後の処理など
詳しい情報が求められます


大学の演習林には国の特別天然記念物であるカモシカがいますが
捕獲どころか死体の持ち去りも法律違反になります




植物の種類を勉強する近道は
植物標本を作製することです
押し葉標本を作製し図鑑で同定します

千里の道も1枚の標本から

国立公園、国定公園だけでなく
自然公園、自然環境保全地域では
植物だけでなく動物の採取も許可が必要です

自然公園法に基づく指定植物は
採取だけでなく損傷もしてはいけません

食べたら危険なだけでなく
かぶれたり皮膚炎を起こす植物も多くあります

特にウルシとヌルデは要注意
森では脚を出さないように気をつけましょう




宮城県の海岸は牡鹿半島を境に南北で様相が異なります

石巻専修大学は南北の性質の異なる海岸へのアクセスが良く
北上川河口からも近いという大変良い立地です

採りたい海洋生物はいっぱいいるけれど
法律は絶対に守らなければなりません
特に漁業法は守らないと大変なことになります

許可を得ている漁業者以外は
使用していい漁具も漁法も
県によって決められています

漁業者や許可を得ている場合でも
種によっては捕獲禁止期間や
捕獲禁止サイズが県により設定されています
アワビ・ナマコ・シラスウナギは
絶対に採らない!!!

掴むのも見られたら危険
絶対に絶対に獲ってはいけません!!!!!!

宮城県の採捕禁止期間のある魚類

特にウナギとサケは周年で採捕禁止です
アユもイワナもサクラマスもヤマメも
釣り人に人気の魚種ですが
大きさと時期に気をつけましょう
国の天然記念物も当然採捕禁止です
特定外来生物は放流禁止
生きたままの持ち運び厳禁
この辺りは生物科学科の学生なら常識ですね

あと、釣り餌は海に捨てないでください
外来種による生態系の撹乱が起こります

外来種の新たな侵入経路
金魚水槽




河川での採集は海とはまた違う楽しさと危険があります

河川で安全に採集するためには
・適切な装備 
・天候に注意する
・都道府県の定めた規則を守る

雨天時の増水と雷には細心の注意を払いましょう
雷が鳴ったらすぐ退避!!!
河川ですっ転ぶと
足だけ浮いてしまって
起き上がれないことも
こうやって頭を持ち上げて
起こしてあげましょう

胴長は正しく装備しないと
中に水が入って大変危険です

 

生物科学科の学生は自主的に野外での生物採集に行くことも多いですが、安全にかつ法律を守って行う必要があります。

5月からの野外実習もみなさん、ご安全に!!!

 


【参考】 石巻専修大学 野外安全対策マニュアル(ver.1.1)[PDF]


 【関連ブログ記事】 #実験・実習

 

1年次の「野外生物実習」

所属コースに関係なく、全員が海洋系・動物系・植物系の合計3回の実習に参加。石巻・宮城のフィールドを活かした実習が展開されています。

  • 5月24日(土) 植物系の実習  落葉広葉樹林での植物観察(栗原市花山)
  • 5月31日(土) 海洋系の実習  潮間帯の生物分布調査(渡波海岸) 悪天候で予定変更:石巻魚市場、おしかホエールランドの見学
  • 6月 7日(土) 動物系の実習  微生物・昆虫観察、水質調査、野生動物調査(北上川、大学演習林)