新たに4コース体制に

2025年6月12日木曜日

野外生物実習「海・川・山での野外活動・野外採集の注意点」について、フィールドワークの専門家が講義

 

生物科学科では1年次の5月から6月にかけて3回の野外生物実習が行われます。

その事前学習として4月に、フィールドワークの専門家である4名の教員による「野外活動・野外採集にあたっての注意点」の講義が行われました。
 

  • 陸上動物の専門家である辻大和先生は
    「フィールドワークを行う際の注意事項と野生鳥獣の捕獲についての注意」
  • 植物の専門家である根本智行先生は
    「植物採集の注意点と植物標本作成について」
  • 海の生物の専門家である阿部博和先生は
    「野外採集にあたっての注意点ー海洋生物編ー」
  • 川の生物の専門家の久米学先生は
    「河川で採集を安全にするために」


野外活動での安全対策から生物採集に関する法律まで、自分の身を守るために知っておかなければならないことが盛り沢山の講習会となりました。

 


学術目的の鳥獣捕獲申請は国や都道府県の審査を経て
許可が出るまで1ヶ月かかります

許可せず捕獲すると本人は勿論、
大学全体が処罰を受けることになります

獲ってはいけない動物は絶対に獲らないように!!!

これは卒研での演習林のネズミの捕獲の申請書

目的、方法、捕獲後の処理など
詳しい情報が求められます


大学の演習林には国の特別天然記念物であるカモシカがいますが
捕獲どころか死体の持ち去りも法律違反になります




植物の種類を勉強する近道は
植物標本を作製することです
押し葉標本を作製し図鑑で同定します

千里の道も1枚の標本から

国立公園、国定公園だけでなく
自然公園、自然環境保全地域では
植物だけでなく動物の採取も許可が必要です

自然公園法に基づく指定植物は
採取だけでなく損傷もしてはいけません

食べたら危険なだけでなく
かぶれたり皮膚炎を起こす植物も多くあります

特にウルシとヌルデは要注意
森では脚を出さないように気をつけましょう




宮城県の海岸は牡鹿半島を境に南北で様相が異なります

石巻専修大学は南北の性質の異なる海岸へのアクセスが良く
北上川河口からも近いという大変良い立地です

採りたい海洋生物はいっぱいいるけれど
法律は絶対に守らなければなりません
特に漁業法は守らないと大変なことになります

許可を得ている漁業者以外は
使用していい漁具も漁法も
県によって決められています

漁業者や許可を得ている場合でも
種によっては捕獲禁止期間や
捕獲禁止サイズが県により設定されています
アワビ・ナマコ・シラスウナギは
絶対に採らない!!!

掴むのも見られたら危険
絶対に絶対に獲ってはいけません!!!!!!

宮城県の採捕禁止期間のある魚類

特にウナギとサケは周年で採捕禁止です
アユもイワナもサクラマスもヤマメも
釣り人に人気の魚種ですが
大きさと時期に気をつけましょう
国の天然記念物も当然採捕禁止です
特定外来生物は放流禁止
生きたままの持ち運び厳禁
この辺りは生物科学科の学生なら常識ですね

あと、釣り餌は海に捨てないでください
外来種による生態系の撹乱が起こります

外来種の新たな侵入経路
金魚水槽




河川での採集は海とはまた違う楽しさと危険があります

河川で安全に採集するためには
・適切な装備 
・天候に注意する
・都道府県の定めた規則を守る

雨天時の増水と雷には細心の注意を払いましょう
雷が鳴ったらすぐ退避!!!
河川ですっ転ぶと
足だけ浮いてしまって
起き上がれないことも
こうやって頭を持ち上げて
起こしてあげましょう

胴長は正しく装備しないと
中に水が入って大変危険です

 

生物科学科の学生は自主的に野外での生物採集に行くことも多いですが、安全にかつ法律を守って行う必要があります。

5月からの野外実習もみなさん、ご安全に!!!

 


【参考】 石巻専修大学 野外安全対策マニュアル(ver.1.1)[PDF]


 【関連ブログ記事】 #実験・実習

 

1年次の「野外生物実習」

所属コースに関係なく、全員が海洋系・動物系・植物系の合計3回の実習に参加。石巻・宮城のフィールドを活かした実習が展開されています。

  • 5月24日(土) 植物系の実習  落葉広葉樹林での植物観察(栗原市花山)
  • 5月31日(土) 海洋系の実習  潮間帯の生物分布調査(渡波海岸) 悪天候で予定変更:石巻魚市場、おしかホエールランドの見学
  • 6月 7日(土) 動物系の実習  微生物・昆虫観察、水質調査、野生動物調査(北上川、大学演習林)