5/19(月)に 麻布大学いのちの博物館の高槻成紀先生をゲストにお招きし、特別セミナーを開催しました。
動物生態学(3年次)の受講生を中心に、教員・学部生・大学院生合わせて60名以上の参加者がありました。
高槻先生のご専門はシカの生態学。大学近くの金華山島で、40年以上研究を続けておられます。定年退職した後も、精力的に論文を発表しておられるパワフルな研究者です。
特別セミナーでは、まず高槻先生とその調査グループによる長期的なモニタリングの成果が紹介されました。
島のシカ個体数は過去に数回大きく減ったことがあるものの、おおむね500-600頭程度で維持されています。シカの生息密度増加に伴い、島の植生も少しずつ変化しています。
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金華山のニホンジカ(撮影:高槻成紀氏) |
本土側に生息するシカとの比較では、金華山島のシカの体格が小さいこと、角が細く中身がスカスカであること、なども紹介され、多くの学生が聞き入っていました。
発表中、高槻先生から突然の「質問タイム」があり、指名された学生は、緊張しながらもデータから読み取れることを述べていました。
研究活動では「自分の頭でしっかり考えること」が求められます。得られたデータを自分なりに解釈し、第三者に伝える、という経験を積みかさねることで、論理的な思考が養われるのです。
発表後に、学生たちが先生に個人的な質問をしていました。外部の研究者との交わりは、本学の学生たちに刺激になったようで何よりです。
入学前教育で高槻先生の著書を読んだ1年生は、本にサインを頂いていました。こういうのって、思い出になりますね。
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『動物を守りたい君へ』岩波ジュニア新書 |
セミナー前に、根本先生と談笑する高槻先生(実はお二人は大学院時代の先輩・後輩の間柄です)。思い出話に花が咲きます(ええと…共同研究の打ち合わせは…(笑))。
レクチャーの合間に、本学の骨格標本展示室も見ていただきました(5号館3階の学生ホール)。
高槻先生は麻布大学での博物館設置に尽力された経験もお持ちで、骨格標本には非常に思い入れがあります。
セミナー翌日、動物生態学研究室の学生が個人的な技術指導を受けました。
高槻先生は全国各地でシカの食性を調べており、植物の部位の識別のポイントについて、丁寧に説明していただきました。
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フン分析の技術を教わる4年生の岩渕友哉君 事前に高槻先生の論文を読んで、 糞分析の方法を予習してきましたが、 本人の前で若干緊張気味…。 |
研究者との交流では、普段の授業では学べないようなことを学ぶことができ、とても良い刺激となりました。
特別セミナーでは金華山に生息するシカの長期モニタリングで分かったことや食性、グラフの読み取り方を教えて頂きました。また、動物の食性を調べる方法であるポイント枠法の方法やシカ糞に含まれる植物片の見分け方を学びました。
2日目は演習林に行き、シカが利用する植物や見分け方などを教えて頂きました。今回教えて頂いたことを活かし、良い卒業研究ができるようにしていきたいと思っております。
高槻先生は、ここ数年はタヌキの食性評価にも力を入れています。修士1年生の高橋尭大君は、タヌキの食性評価についてレクチャーを受けました。

(おまけ) 学生も交えて、セミナーの打ち上げをやりました。石巻のおいしい魚を召し上がっていただきました。高槻先生、またお越しください!
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